↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
琴陵姉妹の異世界日記・改訂版  作者: 此花サギリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/13

第八話:兵站の拡張と十五の従属者

王都グランでの『次元間交易センター』の開業から二週間。


店舗の売上は衰えるどころか、Sランク冒険者ヴォルグの専属契約や、シルフィード公爵家・商業ギルドとの強固なアライアンスによって幾何級数的な伸びを見せていた。一階のレジカウンターと二階の金庫には、毎日収まりきらないほどの金貨や大銀貨、そして希少な魔導鉱石の原石が雪崩のように流れ込んできている。


だが、急速すぎるビジネスの拡大は、必然的にひとつの巨大なボトルネック(障害)を浮き彫りにさせていた。


「――人手が、圧倒的に足りないわ」


ガルド商会を改修した店舗の二階オフィス。


容子は、日本から持ち込んだポータブルプリンターで打ち出した最新の『業務・人員効率化シート』をデスクに叩きつけ、深く溜息をついた。


「一階のレジ打ちはガルドさんの連れてきた現地の給仕三人で回しているけれど、在庫の検品、商品のパッキング、真空パック機の操作、そして何より……日本から持ち込んだ機材や薬品の管理、さらにはヴォルグたちが持ち込んでくる高価値素材の一次選別まで手が回っていないわ」


デスクの向かいでは、宥子が白蛇の『紅白』と『赤白』に特製ハーブのクッキーを与えながら、のんびりと首をかしげていた。


「えぇ〜? ガルドさんたち、すっごく頑張ってくれてるよ〜?」


「頑張りの問題じゃないの、効率と情報漏洩のリスクの問題よ」


容子は眼鏡のブリッジを指先で押し上げた。


「私たちが扱っているのは、現代日本の工業製品や、苛性ソーダや無水エタノールといった化学薬品、そして何より『異世界間貿易』という絶対の機密よ。そこらの日雇い従業員や、王都の普通の市民を大量雇用したらどうなると思う? どこかの裏ギルドや他国のスパイに買収されて、技術や拠点の構造が一日で漏洩するわ」


「うぐっ……確かに、前に『黒い蠍』の刺客が来た時も怖かったしねぇ……」


「だからこそ、私たちが求めているのは『高い作業能力』と『絶対的な口の硬さ』、そして『契約に対する絶対の服従性』を持った従業員よ」


そこへ、冷たい麦茶の入ったピッチャーを持ったガルドがドアを開けて入ってきた。


「嬢ちゃんたち、人手不足の件なら……やはりサイエスにおける定番の手法を使うべきではないか?」


容子は眉をひそめた。


「定番の手法……?」


「奴隷(従属契約者)の購入じゃよ」


「……奴隷?」


「そうじゃ。サイエスにおける『従属奴隷』は、単なる虐げられた存在ではない。法的な『奴隷契約の紋章』を刻むことで、雇用主に対する裏切りや機密漏洩が物理的・魔導的に完全に不可能となる。その代わり、主人は食料と住居、そして正当な人権と給与を保障する……いわば『完全身元保証付きの終身雇用労働者』のようなものじゃな」


容子の『構造解析』の思考回路が、超高速で回転した。


(裏切りが不可能な、契約に基づく絶対の守秘義務。雇用主からの生活保障と引換にした完全な兵站の管理……。法的な拘束力が魔導的に担保されているなら、現代のNDA(秘密保持契約)や終身雇用制度の上位互換と言えるわね)


「ガルドさん。王都で最も規模が大きく、手厚い管理を行っている信頼できる奴隷商を紹介しなさい」


「任せろ。王都の北区にある『カルナック商会』じゃ。あそこの当主は元・王室の法務官でな、身元がしっかりした訳ありの元職人や、没落貴族の優秀な使用人ばかりを扱っておる」


「よし。それと……店舗の三階だけじゃ、これから雇う十五人規模の従業員を住まわせるスペースがないわね」


容子は立ち上がり、ダッフルバッグから重々しい金貨袋を持ち上げた。


「ガルドさん。店舗の近くで、広い庭と地下室がついた『大型の住居物件』も手配して。今日一日で、家と十五名の従業員をすべて揃えるわよ」


大型屋敷の購入と兵站基地の獲得

午後一番。


ガルドの案内で訪れたのは、王都グランの中央区と北区の境界に位置する、広大な敷地を誇る一軒の旧貴族邸宅だった。


高さ三メートルを超える堅牢な石造りの外壁に囲まれた敷地内には、三建ての重厚な本館、別館の使用人小屋、そして大型馬車が二台収まる車庫と、広々とした中庭が存在していた。


「ほう……ここは元・子爵家の本邸だった場所じゃ。子爵家が事業に失敗して手放した物件でな、頑丈な石造りで地下には広いワインセラー(地下倉庫)もある」


容子は歩きながら『構造解析』を起動させた。


視界に青い建築構造ラインが広がり、壁の厚み、耐久度、地下室の気密性、そして敷地全体を囲む防護結界の波形がリアルタイムでスキャンされていく。


【構造解析完了】


・本館:地上三階、部屋数二十二。壁面耐震度:極めて良好。


・地下室:二重気密構造、面積約百二十平米。防音・防振性に優れる。


・セキュリティ:外壁に古代風防護結界の基盤あり(現代のセンサーと補強可能)。


「合格ね」


容子は同行していた不動産仲介人に、躊躇なく金貨の詰まった革袋を提示した。


「この物件、金貨八十枚で即金で買い取るわ。契約書を作成しなさい」


「は、はいぃっ!? 即金で金貨八十枚……!? か、かしこまりました! 今すぐ権利書をお渡しいたします!」


不動産仲介人が額から汗を噴き出させながら手形を記入する横で、宥子が「すごーい! 今日からここが私たちの王都のおうちなんだねぇ!」と目を輝かせて中庭を走り回っていた。


「浮かれてる場合じゃないわよ、宥子。地下室にソーラー蓄電ユニットと大型3Dプリンター、そして化学精製設備を移設して、ここを私たちの『絶対防衛兵站基地』へと改装するわ。……次は、ここを動かす従業員の調達よ」


カルナック商会と十五名の「訳あり」従属者たち

王都北区の閑静な街並みに佇む『カルナック商会』。


重厚な鉄の門をくぐり、通された接見室で出迎えたのは、白髪を綺麗に整えた老紳士――当主のカルナックだった。


「お噂は伺っております、琴陵容子様、宥子様。王都を席巻する『次元間交易センター』の店主様方が、我が商会をお選びいただけるとは光栄の極み」


カルナックは深々と一礼し、上質な紅茶を差し出した。


「単刀直入に言うわ、カルナックさん」


容子は冷たい視線で老商を見つめた。


「私たちが求めているのは、過酷な肉体労働に耐える奴隷ではないわ。高い知性、精密な作業能力、あるいは特殊なクラフト技能を持ちながら、理不尽な事情で立場を失った『十五名』の従属者よ。条件は以下の通り」


機密保持の徹底:『従属契約の紋章』による裏切り・情報漏洩の絶対的禁止。


高い基礎能力:読み書き、計算、または鍛冶・調合・裁縫・建築などの専門技能を持つこと。


身体の健全性:病気や怪我があっても構わない(私たちが完治させるため)。


カルナックは細い目をわずかに見開き、感嘆の笑みを浮かべた。


「ほう……ただの労働力ではなく、工房と店舗を統括する『幹部候補』をお探しというわけですな。……素晴らしい。ちょうど本日、王都の政争や倒産によって行き場を失った、最高の十五名が揃っております」


カルナックが合図を送ると、広い訓練場の扉が開き、十五人の男女が静かに姿を現した。


彼らの身なりは粗末な衣服に包まれていたが、その瞳には奴隷特有の諦観だけでなく、強い誇りと知性の光が残っていた。


カルナックが一人ずつ解説を加える。


「まずはこちらの五名――元・王都大錬金術工房の特級錬金助手および薬調合師たちです。工房の派閥争いに巻き込まれ、濡れ衣を着せられて借金奴隷となりましたが、調合の精度と薬品の知識は折り紙付きです」


「次はこちらの四名――倒産した王都大商会の元・高級出納係と帳簿管理士。複式簿記と暗算、そして大規模な物流管理の経験がございます」


「そしてこちらの四名――元・宮廷仕立て屋の裁縫師と、ドワーフの血を引く精密金属加工職人。服飾や細密工芸の技術は王都でも屈指です」


「最後の二名は……元・Bランク冒険者の双子の剣士。主君を守り抜いて腕を痛め、引退を余儀なくされましたが、館の警備と護衛にはうってつけでしょう」


容子は『構造解析』を発動させ、十五人の全身のステータス、健康状態、そして脳の思考波形を瞬時にスキャンした。


【構造解析完了】


・全員、知能指数および技術熟練度:極めて高い(上位1%レベル)。


・健康状態:慢性的な栄養失調、および数名に過去の戦闘・作業による関節障害・視力低下あり(※日本の現代医療品で100%治癒可能)。


・精神状態:忠誠心・倫理観が高く、理不尽な服従ではなく「正当な評価」を強く求めている。


「素晴らしいわ……」


容子は口角を釣り上げた。


「完璧な人材宝庫じゃない。全員買い取るわ」


カルナックは驚愕した。


「全、全員ですか……!? これほどの技能を持つ従属者は、一人あたり金貨十枚……十五名で金貨百五十枚という巨額になりますが……!」


「払うわ」


容子は金貨百五十枚の詰まった重々しい革袋を、ドスンとテーブルの上に置いた。


「ただし、契約の条件をひとつ変更させてもらうわ」


「変更……と申しますと?」


容子は十五人の従属者たちの前へと歩み寄り、彼らの顔を一人一人見つめながら、ハッキリとした声で宣言した。


「私と宥子が結ぶ『従属契約』は、あなたたちを非人道的に縛り付けるためのものではないわ。……裏切りと情報漏洩を物理的に防ぐための『絶対不可侵の秘密保持契約(NDA)』としてのみ紋章機能を使用する。その代わり――」


容子は手元の紙を提示した。


住環境と食の保障:購入した子爵邸の本館・使用人棟を与え、現代レベルの清潔な衣食住を提供する。


正当な対価(給与):一般の王都の職人の『二倍の給料(月給大銀貨十枚〜)』を支給する。


労働時間の規定:一日八時間労働、週休二日制。超過勤務には手当を支給する。


年限の解除(奴隷解放):五年間の誠実な勤務を果たした者には、本人の希望に応じて契約を解除し、正当な王都市民権と開店資金を贈与する。


十五人の従属者たちが、静まり返った。


彼らは耳を疑うように目を見開き、信じられないものを見る目で容子を見つめた。


「な……なんですと……!?」


元・高級出納係の男――エリックが、震える声で尋ねた。


「奴隷に対して……給料を払い、週に二日の休みを与え……さらには五年で解放する……!? そんな夢のような条件……信じられません……!」


「信じる必要はないわ。結果で証明してみせるから」


容子は隣の宥子の肩を抱き寄せた。


「私は琴陵容子。こちらは姉の宥子。私たちは理不尽な神や運命の糸を断ち切り、自分たちの手で本当の成果を組み上げる者よ。……私に仕え、最高の仕事で応える気があるなら、手を出出しなさい」


十五人は互いに顔を見合わせ、目から溢れる涙を拭うと、一斉に容子と宥子の前で膝をついた。


「我が主(マスター)容子様、宥子様……! この命と技術、すべてをお二人と『次元間交易センター』のために捧げます!!」


【十五名との『特約付き従属契約』が成立しました】


【琴陵容子・琴陵宥子の兵站組織『琴陵ファミリア』が結成されました】


医療革新と「琴陵ファミリア」の誕生

購入した子爵邸へ移動した容子と宥子は、即座に十五人の従属者たちの『身体改革』に着手した。


広々とした本館の大ホールに並べられた簡易ベッド。


容子は日本から持ち込んだ『超高濃度栄養補給ゼリー』『総合抗生物質』『視力回復・関節炎症抑制ナノ軟膏』、そして宥子が特製調合した『精霊のハーブ栄養剤』を全員へ配布した。


「まず、全員これを飲みなさい。そしてこの軟膏を傷ついた関節と目に塗り込むのよ」


「は、はいっ!」


元・Bランク冒険者の双子剣士が、半信半疑でナノ軟膏を古い剣傷が残る肩と膝に塗り込んだ。


直後――


「な……なんだこれはぁぁぁっ!?」


双子の兄・カイが絶叫した。


「膝の痛みが……重い痺れが一瞬で消えていく……! 手首の痛みが消えて、十代の頃みたいに軽く動くぞ……!?」


元・特級錬金助手の少女・リザも、目薬をさした瞬間に歓声を上げた。


「目が見える……! 長年、薬品の煙で霞んでいた視界が、まるで水晶のようにくっきりと見えます……! 容子様、これはどんな神レベルの回復魔法ですか!?」


「ただの現代科学と、宥子のクラフトハーブのシナジー効果よ」


容子は満足げに頷いた。


「これで全員のコンディションは百パーセントに復元されたわ。……さあ、今日からここがあなたたちの家であり、私たちの最高機密基地よ」


容子は地下室への重厚な扉を開け放った。


そこには、ポータブル電源から伸びたLED照明が煌々と照らし出す中、日本から持ち込んだ最新型3Dプリンター、真空パック機、精密化学蒸留器、そして大型ポータブル冷蔵庫が整然と並んでいた。


十五人の元・職人や錬金助手たちは、その未知の光景に顎が外れるほど驚愕した。


「こ、これは……精霊の自動錬金炉……!? 上質なガラス器具が、一切の歪みなく並んでいる……!」


「よし、役割分担を発表するわ」


容子はホワイトボード(日本から持ち込んだもの)にマーカーで手際よく組織図を書き込んだ。


製造・品質管理部門(リザたち元錬金助手五名)


・宥子の指示のもと、ハーブ石鹸や化粧水の一次調合、およびポータブル蒸留器の管理を担当。


会計・兵站管理部門(エリックたち元出納係四名)


・一階店舗のレジ売上の集計、顧客データの管理、および日本から持ち込んだ現代資材の在庫目録(インベントリ)の厳重管理。


製品加工・パッケージ部門(元裁縫師・ドワーフ職人四名)


・3Dプリンターの基本操作、および真空パック機を使った商品のパッケージング、高級ギフト箱の組み立て。


館・兵站警備部門(双子剣士カイ&リク二名)


・子爵邸および店舗の夜間警備。容子が手渡す『パルス・ブレイカー(電極銃)』と防弾ベストの運用。


「全員、自分の担当を理解したかしら?」


「はいっ!! 容子様!!」


十五人の瞳には、敗残者としての暗さは微塵もなく、最先端の技術と手厚い環境を与えられた職人としての誇りと熱意が漲っていた。


こうして、琴陵容子と宥子の足元に、強固で裏切りのあり得ない最強の精鋭兵站チーム『琴陵ファミリア』が爆誕生したのだった。


爆発的生産性と『第二店舗』の計画

十五人の精鋭スタッフが稼働し始めた翌日。


『次元間交易センター』の生産性と業務効率は、従来の『五十倍以上』という驚異的な数値を叩き出した。


これまでは容子と宥子が夜な夜な手作業で行っていた化粧水のボトル詰めやパッキング作業が、リザたちの完璧な分業体制によって、わずか一時間で数百本規模で完了していく。


エリックたちの手によって作成された『顧客データベース』により、王都のどの貴族がどの頻度でハーブ石鹸を購入しているかが完全に可視化され、予約注文の自動割り振りシステムが完成した。


「容子様! 本日の店舗の売上集計が完了いたしました!」


エリックが恭しく提示した帳簿を見て、ガルドが目玉を飛び出させた。


「金貨百二十枚……!? たった一日で金貨百二十枚の売上だと……!? 王都の大規模商会の一ヶ月分の利益じゃぞ!!」


「まあ、生産量が五十倍になったんだから当然の結果ね」


容子は冷たい麦茶を飲みながら、さらりと告げた。


「ガルドさん、エリック。現状の一店舗だけでは、この爆発的な需要と供給を捌ききれないわ。……王都グランの南区と東区に、それぞれ『第二店舗』と『高級サロン専門店』を出店するわ」


「な……なにぃ!? もう多店舗展開(チェーン化)を始めるというのか!?」


「当たり前でしょ。資本は留めておいたら腐るのよ。流動させて拡大し、市場全体を私たちのエコシステム(生態系)で包み込むの」


容子は地下室のデスクに向かい、完成したばかりの新しいデバイスを手に取った。


それは、ドワーフ職人とリザたちが3Dプリンターを使って共同制作した――【自律型・魔導防犯防犯カメラ】だった。


サイエスの『遠視の魔導石』の欠片と、日本の超小型CCDカメラ・SDカード録画ユニットを融合させたもので、店舗や屋敷の防犯映像を、容子のスマートフォンへリアルタイムで転送することができる。


「これで、王都のどこに店舗を増やしても、セキュリティと管理は私の手元で一元化できるわ」


宥子の『縁結び』が引き寄せた新たな絆

その日の夕方。


新しく購入した子爵邸の中庭で、温かい夕空を見上げながら、宥子と十五人の従業員たちが賑やかに夕食のテーブルを囲んでいた。


テーブルの上に並んでいるのは、容子が腕を振るった大鍋特製チキンカレーと、新鮮な野菜のサラダ、そして日本から持ち込んだ美味しいジュースだ。


「おいしーいっ! 容子様の料理、世界一です!」


双子の剣士カイが、お代わりのカレーを口いっぱいに頬張って叫んだ。


「ふふん、でしょー! 容子の手料理を食べたら、もう他のご飯は食べられなくなっちゃうんだから!」


宥子が誇らしげに胸を張り、白蛇の『紅白』と『赤白』も楽しそうにテーブルの上でダンスを踊っていた。


リザが感極まったように涙を浮かべ、宥子の手をとった。


「宥子様……私たち、本当に幸せです。奴隷として買われた時は、もう人生が終わったと思っていましたのに……こんなに温かい家と、美味しいご飯と、やりがいのあるお仕事をいただけるなんて……」


「ううん、みんなが頑張ってくれたからだよ!」


宥子は優しく微笑み、リザの手をギュッと握り返した。


「私ね、琴陵の『縁結び』の力で分かるんだ。……みんなと私たちはね、ただの主人と従業員じゃなくて、不当な運命を一緒に跳ね返す『最高の家族(ファミリア)』として結ばれたんだよ!」


その言葉に、十五人の従属者たちは涙を流して頷き合った。


遠くからその光景を眺めていた容子は、ふっと優しく口角を緩めた。


(……まったく。相変わらず甘い考えなんだから)


容子は手元のスマートフォンで、子爵邸のセキュリティシステムと、王都中に配置された『不敬の祠』の構造解析データをチェックした。


(でも……悪くないわね。裏切らない絶対の仲間と、完璧な兵站基地。これで、私たちがサイエスで描く『未来の計画』の基礎は、完全に固まったわ)


自称神アーラマンユが企む陰湿な神力吸い上げ計画。

そして、いずれ訪れる遠い未来の決戦。


だが、今の琴陵姉妹には、恐れるものは何一つなかった。


圧倒的な現代科学、異世界の魔導技術、無限の資金力、そして固い絆で結ばれた『琴陵ファミリア』の仲間たち。


二人の双子の美味しく、逞しく、そして圧倒的な次元超越ライフは、新たな家族とともに、さらに大きな未来へと向かって進んでいくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。