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空前絶後! 第十一回! 異世界ぐるりウルティモクイズ!  作者: 袴田八峰
第三BF:ステックソン ジョブ別つなひき 一問多答リレークイズ

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第三BF:ステックソン 3


 早速一戦目。


 の前に、綱引きの配置を決める段階で、それは発覚した。


「このチーム、弱いっすね」


 ボーイ、言い方。

 でも否定できないのがまた嫌なところ。


「まず男女比が4:4」


 ここで男女差別反対というような人は流石にいない。

 というか、今さらそういう建前を持ち出す空気でもない。

 単純に「引けるかどうか」だ。


 因みに戦闘職チームは5:3ではあるものの、後さんと塩湖さんと言う

 パワータッグが揃っている。

 あれ、あの二人が並んでるだけでロープが可哀想になるレベルだ。

 実際、軽く肩回してるだけで、周囲の空気が一段階重くなる。


 一般職チームは男女比6:2。

 ヒョロガリの茂侍を除いた男性陣は筋骨隆々とは言わないまでも、普段から体を動かしてる雰囲気がある。


「次に李野先輩がいるっす」


「これで実質男女比3:5だな」


「ひどい」


「だが事実だ」


 李野くん、もう完全にそういうポジションで固定されてるな。

 本人も嘆くが否定しないあたり、潔いのか諦めてるのか。


「それで市籠、お前はどうなんだ」


 目線。口調。問い。重圧。

 全部いっぺんに来た。


「それなりに」


「またそれか」


「こればかりはそれなりとしか言えない。平均的。スポーツやってる人には勝てない」


 自分で言ってて、なんか就活の面接みたいだなと思う。

 無難で、角が立たなくて、でも何も残らない答え。


「戦力として数えるか」


 キングは一瞬だけ俺を見て、それ以上何も言わなかった。

 評価されたのか、切り捨てられたのか、よく分からない沈黙。


「技法に移る。まずはスニーカーかスポーツシューズでない奴。脱げ」


「椰子泉さーん。このデブ横暴です!」


 毛利井がビーチサンダルで反論。


「合理的判断なので却下」


 すでにヒールを脱いでいた機内トップが切り捨てる。


「次にフォームを統一する。ボーイ、手本」


「ういっす。こうやって腰を落とし、ロープは握り込むんじゃなくて抱え込んで。顎というか上半身は上向きに、斜め後ろの空を見上げる感じっす」


 ボーイ、妙に慣れてる。

 というか、説明がやたら具体的だ。


「随分具体的ね」


「我がソサエティーで散々研究と実践を重ねた。体育科の連中からもお墨付きだ」


 ああ、そういうやつか。

 クイズだけじゃなくて、こういう番組形式を見越した攻略法も用意してくるタイプ。

 大声測定器なんてのも自作してたしな。

 本気が過ぎるぜ関西クイズソサエティー。


「従いましょう」


 椰子泉さんが頷くと、それだけで全員の動きが揃う。

 この人、なんだかんだでチームの軸になってるよな。


「掛け声はイチ、ニッ、サン! サンのタイミングでぎゅっと力を入れて引く」


 荒火の指導に合わせるかのように、Aチームからも同じ掛け声。

 茂侍。

 声だけで分かる。

 あっちはあっちで、ちゃんと仕上げてきてる。


「茂侍先輩も勝ちに来てるっすね」


「奴も立派なクイズ戦士だ。たとえ俺が相手でも本気で挑んでくるさ」


 キングの声は淡々としてる。

 それでもどこか嬉しそうな気配が漂う。

 その裏にあるものは、なんとなく分かる。

 本気で来いってやつだ。


「さー、そろそろ本番始めるぞ」


 さっきまで折り畳み椅子に腰かけてた黄石が立ち上がる。

 あの人の声が入ると、一気に「番組」になる。

 さっきまでの準備が、全部前フリだったみたいに。


 その背後で若手スタッフが掲げるカンペには、相談タイムはあと1分であると記された。


「最後に大事な決め事だ。読み上げられた問題が分からなかったら、綱から手を離して放棄!と声を上げろ。そうしたらその問題は捨てる。綱は引かない」


「敵は問題よりも環境。体力の損耗が最大の障害なのですぞ」


 実にシンプルで実に割り切った作戦。

 つまり、分からない問題で無理に粘ると、ただ力を消耗して。

 綱を引く力がどんどんと弱まっていくということ。


 選ぶゲーム。

 捨てるゲーム。


 二つの太陽の照り付けに、長い髪を汗で乱しながら。

 それでも威風堂々、不敵な表情に一切の揺らぎ無いライオンキング。

 荒火、やっぱカリスマってあるわ。

 実力と知識が伴えばなおのこと。

 完成してるわ。

 少年漫画の章ボスの方向に。


「つまり、コンセプトは、こうだ」


 もうキングに逆らおうなんてやつは一人もいない。

 というか、逆らう理由がない。

 合理的で、勝つための動きしかしてないから。


「狙うのは一撃必殺。勝てる問題にだけ全力を注ぐ」


 その言葉が、妙に刺さった。


 就活の面接で、似たようなこと聞いた気がする。

 自分の強みをどう活かしますかみたいな。

 あの時は適当に答えたけど、今は、そのお手本を目の前にお出しされた感じだ。


「「「イエス! キング!」」」


 声が揃う。

 俺も、遅れて口だけ合わせる。


 イエス、キング。


 ……なんか、ダサいな。

 でも、今はそれでいい気もする。


 うちの先頭はがんばるボーイ。


 ロープの先頭で、もうすでに腰を落として構えてる。

 あいつ、こういう「体使うやつ」になると、途端に頼もしく見えるから不思議だ。

 普段は警策で打たれてるのに。


 次いで呪殺ナースで、俺三番目。


 この並び、字面だけ見るとなんか妙だな。

 体育祭の綱引きっていうより、RPGのパーティみたいだ。


 最後尾には不動の黒ジャン。


 後ろから全部を支える位置。

 一番力がかかる場所に、迷いなく奴がいる。


 しっかりスニーカーも黒に染めてる。

 どこまで徹底するんだろうな、この人。

 色だけじゃなくて、立ち方とか視線とか、全部王様仕様だ。


「いくぞ問題!」


 黄石のコール。

 一瞬で空気が締まる。


 ついに戦いが始まる。

 さっきまでの雑談みたいな雰囲気が、すっと引いていく。


「我らがTV曲が月曜九時、2クールのドラマを定番化して8年が経ちますが、この枠のドラマのタイトルを列挙せよ」


 よりによってそこか。

 分かる人には分かるけど、知らない人にはどうしようもないタイプ。

 あまり恋愛系に興味の無かった俺としては、

 複数回答中2コ、良くて3コは分かるかなといった問題。


 ピッ!


 綱の接合点、鉄輪の脇でチーフスタッフさん(山男風四十路)がホイッスルを吹いて綱引き開始。

 あなたも…… その、なんだ。

 赤白帽なんですね。


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