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空前絶後! 第十一回! 異世界ぐるりウルティモクイズ!  作者: 袴田八峰
第八BF:ザ・バレー 届け魂の叫び! こだまでしょうか? いいえ、上位存在です

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第八BF:ザ・バレー 5


 そこから意志の強い連中が立て続けに勝ち抜けた。


「垂須くん!」「パラボラアンテナ」ぴんぽんぴんぽんぴんぽん!


「衿衣ちゃん!」「たけのこきのこ」ぴんぽんぴんぽんぴんぽん!


「椰子泉さん!」「ラルカンシエル」ぴんぽんぴんぽんぴんぽん!


「港ヶ陸くん!」「造花の18期生」ぴんぽんぴんぽんぴんぽん!


 実はこの問題。全部俺も叫んでた。

 でも届かなかった。

 わかってる。

 所詮黄石への怒りなんて、彼等が溜めてた情念や時間を考えたら小さいものだ。

 寧ろ彼等に想いが勝っちゃったらなんか申し訳ない想いを抱いてしまったろう。


 だから俺にとっては、ここからが本番。


「さあ、勝者席は半分埋まったぞ」


 黄石が問題読みを中断し、MCタイムに突入。

 つまりは俺たちに発破と言う名の弄びをするわけだ。


「どうしたどうした茂侍くん。君とママとの絆はそんなもんか?」

「違う!」


 剥きになって歯を剥く茂侍。

 俺は解答席の下、カメラから見えない位置で茂侍の膝を軽くポンと叩く。


「あ…… 済みません」

「熱くなるのは真剣な証拠! だが落ち着いて行こう!」


 黄石の方向調整も相まって、クールダウン成功。

 茂侍は俺に小さく一礼。


 まあ、思いの強さをどうこう言うのもあれだけど。

 想いを抱ける許容量とか、持続時間とか。

 そういう容積にもたぶん、個人差があるわけで。

 累積経験値とかもありそうで。


 そういうの加味すると。

 多分ものごとをなぁなぁで済ませて、逃げてきた俺とか。

 白黒理屈の世界の殻をこの旅まで破れなかった茂侍とか。

 心のキャパシティ、たぶん小さいんだ。


 だから茂侍、俯くな。

 お前が抱いてる想いの数値(・・)は、誰かより小さくても、

 お前が抱いてる想いの割合(・・)は、きっと誰より高いはずだ。


「市籠くんはさぁ…… さっきから結構大声チャレンジしてるのに、全然目鼻耳口様に拾って貰えないな? ひょっとして僕の事、けっこう好きなんじゃないか?」

「黄石畜生」

《おういしちくしょう》

「「…………」」

 謎のお見合い三秒。


「次行こうか」


 黄石、折れた。


「舞網ちゃんどうしたどうした……っつっても君はちょっと他と違う理由だな」

「うん! 全然わかる問題がない!」

「笑顔でいうことか!」


 そうなんだ。

 ハナさんの強運がまだこのクイズでは炸裂していない。

 俺の記憶がたしかなら、彼女が声を上げたのは第一問のみ。

 そりゃ形を持った意志・衿衣越えはできないって。


 だがFORTUNE3ケタ。

 多分どっかで炸裂はする。

 これまでハナさんはそれだけで勝ち進んできたんだから。


「ボーイ…… うーん、ボーーーーイ!」

「ボーイって呼ぶな!」

「……ほらこだまが返ってこない。君本当に、心底、ボーイって呼ばれるの嫌なのかぁ?」

「それは…… そう…… なんすけど」


 あんな無機質なコズミック存在に愚痴るのもあれだけど。

 もうすこし、こう、さぁ。

 汲んでやれよ。

 クイズの回答権争ってるタイミングじゃないんだし。


「李野くんもそう。本当にクイズ作家になりたいのかぁ?」

「自信を持ってはいと言い切れますぞ!」


 幸節はまだ元気。

 こいつはきっと思い切りが足りないだけ。

 思慮深さとかすぐ気が散っちゃうところが邪魔してる。


「墨市くん。残ったメンツの中で一番声出してるんだけどなぁ」

「……早押し機が恋しい」


 ナンバーツー、早くも折れ気味。

 余りの憔悴具合にをさすがの黄石も気の毒に感じたか、

 それともオンエア的にあまり悲壮を映したくはないゆえか、

 ともかく淡白に墨市氏いじりは終わった。


「じゃ、元気出して後半戦いくぞ。問題。虻蜂カルタ。始まりの「あ」は虻蜂取らず――」


 あ、これ誰でもわかるやつ。

 では終わりの「ん」は何か?

 で来るはず。


「僕はここにいます!」


 あ、ナンバーツーに先越された!

 競わねば!


「黄石畜生!」「ママ!」


「――では終わり――」


「黄石畜生!」「ママ!」「ボーイって呼ぶな!」

「クイズ作家になりたい!」「僕はここにいます!」


「――の「ん」は何か?」


「黄石畜生!」「ママ!」「みんななかよし」「ボーイって呼ぶな!」

「クイズ作家になりたい!」「僕はここにいます!!」


「さあ答えろ、制限時間は10秒間だ」


「黄石畜生!」「ママ!」「みんななかよし」「ボーイって呼ぶな!」

「クイズ作家になりたい!」「僕はここにいます!!!」


「黄石畜生この野郎!」「ママァ!」「みんななかよし」「ボーイって、呼ぶなァ!」

「クイズ作家になりたーい!」「僕は! ここに! います!!」


「黄石畜生この野郎こん畜生!!」「ママァーーーッ!」「みんななかよし」

「ボーイ、って、呼ぶなーーーーッ!!」

「クイズ作家になりたーーーい!」「僕はっ! ここにっ! いますっ!!」


 ピー!


「タイムアップ!」


 あれ?

 なんかおかしなことが起きたぞ?


 俺も茂侍も一問取ってるよな?

 ハナさんや幸節だって裏表ないはずだぞ?


 幼一郎みたいにワードと魂にずれがあるやつがこだまされないのはわかる。


 想いの強い順に反応して。

 想いの強い奴から勝ち抜けて。

 だったら残ってるやつの中で一番想いの強い言葉に反応するはずだろ?


 なのになんで?


 今、誰もこだまされなかったんだ?


 ……なんで?


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