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第13話 ルーメン
ソウくんは、別れの朝、私の黒い左腕に、小さな革の紐を結びつけた。
「お守り。砂の民のやつ。……凪さんが、また、泣かないように」
「もう、直してもらったから、平気だよ」
「でも、お守り」
言い張る瞳が、あまりにまっすぐで、私は、黙って紐を撫でた。
涙の故障は、隊の整備士さんたちと、渉と澪が、三人がかりで砂を掻き出して、直してくれていた。
それでも、あの嵐の日の頬の熱さは、まだ、どこかに残っている。
砂漠を離れて、北へ。
六日目から、空気が、変わった。
乾いた熱気が、澄んだ冷たさに入れ替わる。
足もとの砂が、細かな砂利になり、やがて、苔むした石になった。
背の高い針葉樹が、道の両側に、壁のように並びはじめる。
遠くの山の斜面に、白い霧が、ゆっくりと、流れていた。




