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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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第72話



「ねぇお兄さん。お馬さんって可愛いね! じゅるっ」

「そ、そうですね」


 にこやかに若い商人のお兄さんと会話をするミーティちゃん。

 まだ商人の顔は引きつっている。


 そんな二人を見守りつつ、俺達は俺達でペンペンお手製のカードゲーム(商標権等は一旦置いておくものとする)で時間を潰していた。


「あ、UN○だぉ」

「ドロー2」

「ドロー2コンボっす」

「てめぇらやりやがったぉね! やってくれやがったぉねぇぇ!?」


 いやー、ペンペンってばこんなアイテムまでクラフトできるだなんて。すごいね。

 他にもチェスやリバーシ、ガイ○ターとか有名どころのボドゲも持ってきていたらしいけど、これは馬車でガタンッってなるとすぐ崩れるので残念ながらまた今度。馬車では基本手に持って遊べるカードゲームが安定だね。

 もちろんトランプもある。


「今日ホーム戻ったら駒にマグネット、ボードに鉄板仕込むっす……! んにしてもこのゲーム、色々作れてホント楽しいんすよね。まぁゲーム作っても遊ぶ相手が居ないと持ち腐れっすけど」

「ゲームの中でゲーム作って遊ぶってのも凄いよな」

「もはや何がゲームだか分からなくなってくるぉね。ゲームのゲシュタルト崩壊だぉ」

「ゲームの中で別のゲーム作って遊ぶのも、クラフト系だとたまによくあるっすからね」


 ゲームシステムを駆使して勝手に作っちゃうのとかね。

 ……ん? おっとこいつは……


「あっ。お兄さんあぶなーい」

「えっ」


 若商人に向かって矢が飛んできて、それをミーティちゃんが庇った。

 ミーティちゃんの腕に矢がぶっ刺さり、少し貫通して商人のわずか数cmのところで矢が止まっている。


「ひぇ……!? あ、ありが、だ、大丈夫!?」

「戦闘だぉーーーー!!! 誰一人として逃がさんぉーーーーー!!」


 アルトが馬車から喜び勇んで躍り出た。

 実は矢が飛んでくる少し前から準備万端である。だってフィールドマップに赤い点がモロに出てるんだもの。

 ミーティちゃん、わざとギリギリで身体を張って止めたな?


「じゃ、私は逃げようとするヤツ探るっす。盗賊の財産はドロップ品っすよー」

「俺は馬車の防衛しとくよ。とはいえ多分今回の戦闘ではもう出番無いな」


 アルトが逃げる盗賊の背中を容赦なく撃ち抜くだろう。

 高ランク冒険者だと実力がギルドに保証されているアルト。はたしてレベル上げをがっつりやっているプレイヤーに、ただの盗賊が勝てるだろうか?

 ……まぁそれは盗賊のレベル次第か。ゲームだと無駄に強い盗賊とかも出て来ることがあるから気は抜けない。

 お前冒険者やった方が稼げるだろ絶対、っていう強者も盗賊やってたりするもんだからな。


 とはいえ、盗賊達の反応を見るに、こいつらは本当に大した敵じゃなさそうだ。マップの赤い点を見るに、アルトが飛び出た瞬間に怯えて逃げている。


「おーい、可愛い子が居たら生け捕りだぞー?」

「ハッ! そうだったぉ!……いねぇから皆殺しだぉ!!」


 居ねぇなら仕方ない。可愛くないのに襲い掛かってきたお前らが悪い、死すべし。生き残りたかったら美少女に生まれ変わって出直してこい。


 え、理不尽? いきなり殺しにかかってくる方が理不尽じゃろがい!!

 しばらくしてアルトたちが戻ってきた。


「というわけで収獲はありませんでしたぉー」

「残念。剥ぎ取りは?」

「めぼしい物持ってないっすね。一応弓矢だけ貰っとくっすかねー」

「精霊様、残り物食べてきていい?」

「まぁ先を急ぐ旅でもないし……盗賊(シーフ)技能覚えられるかもしれないし、いいか」

「よーし、ミーティちゃん、トリアから許可出たからいってくるがいいぉ! もぐもぐしてくるんだぉ!」

「わーい! もぐもぐタイムだー!」


 と、今度はミーティちゃんが手に矢を刺したまま走って行った。


「あ、行商人さん。ちょっとこっち来るっす。怪我してないっすか? 診るっすよー」

「え、あの、あの子の方が重傷じゃ……腕に矢が刺さって」

「アレは平気っす。私らは特殊な鍛え方してるっすからねー。はいこっち向いてー」


 そしてミーティちゃんの好感度が落ちないようにそっと商人の目を物理的に逸らすギンちゃん(ペンペン)

 うんうん、ミーティちゃんと仲良くなる方に賭けてるもんな。

 顔をがっしり掴んで捕食シーンを見せず、ニッコリと笑顔で誤魔化している。


「動いちゃダメっすよー。どーれどれっと」

「は、はい」


 ……これギンちゃんに惚れちゃうんじゃね? 看護師や衛生兵ってモテるって言うしなぁ。


「うーん、回復魔法かけるほどじゃないっすねー? 無傷っぽいっすけどー」

「あ、あの。頭が動かないんですがあだだだだ」

「動いちゃダメって言ってるっすよー?」

「もう少し力をゆるめ、緩めてください、潰れちゃいますぅ!?」

「潰れるのは不味いっすね」


 あ、これは惚れないな。大丈夫そうだ。


 その後、色々食べ終えたミーティちゃんが戻ってきたので商人の頭は解放された。

 ついでに腕に刺さっていた矢も食べたのかちゃんと消えていた。


「お兄さん大丈夫だった?」

「あ、う、うん。ありがとう、助かったよ。……腕大丈夫だった?」

「大丈夫だよ! あたし、可愛いからね!」

「???」


 可愛くても矢が刺さったら普通は無事じゃないと思うな。まぁ好感度はちゃんと上がったっぽい。






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