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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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第71話


 翌日、行商人の若い商人が幌馬車と共にやってきた。


「ど、ど、ど、どうも、よろしくお願いします」

「うん、よろしく」


 馬車と中身はいつもの商人さんが用意してくれたらしい。

 一応馬車の中には俺達が座れるスペースはあるようだ。

 ……


「よく考えたら、これインベントリに入れとけばゴロゴロできるくらいに広くなるんじゃね?」

「おとり用の荷物なんだから、ちゃんと詰んでないとダメじゃないかぉ?」

「少しくらいはいいんじゃないっすか?」


 ちなみに今回は俺はミーティちゃんで、アルトはアルトちゃんで、ペンペンはギンちゃんの身体で行くことになった。


 俺の方はホームがミーティちゃんの所有で、ミーティちゃんが行かないとホームを使ったワープができないので。

 アルトは射撃があるから盗賊共を逃がさない為。

 ペンペンの方はギンちゃんの方が戦闘に向いていて、あとホームもペンペンちゃん所有なので。


 それぞれの理由はそんなところだ。


「……トリアも行きたかった、です」

「お、お留守番、だね。トリアちゃん、ニカちゃん」

「そうだねペンペンちゃん。精霊様いってらっしゃい」


 というわけで、3人に見送られつつ馬車に乗り込み、早速出発した。




 馬車は思いの外狭かったので、早速中身を一部インベントリに入れた。

 なんやかんや言っても快適性重視なのである。


 猫耳獣人スライム(俺)、狐耳メイド(ギンちゃん)、黒髪ツインテ(アルト)がみっちり詰まった馬車は、荷物を椅子代わりに座って寛げる程度には広くなった。

 こういう馬車だと、縦の空間も貴重な『空間』なんだねぇ。


「……インベントリ使えばもっと大量に物資があっても余裕で運べるぉ?」

「そもそもホーム使えば輸送距離がほぼ0になるから」

「あはは、リアルでやったら輸送革命どころじゃないっすねー。火星でも送料無料っすよ」

「確かにだぉ。じゃあ別に今やる必要ないぉねー」


 馬車の中でゴロゴロしつつ、ゴトゴト運ばれていく。ちゃんとした街道なので、揺れはそれほどではないらしい。

 そして御者をしている若商人は何か硬い表情……何をそんなに緊張しているのだろう? あ、もしかして俺達が美少女だから?

 この旅が終わるころには打ち解けられるだろうか。


「あ、俺スライムになっとくわ。小さくなれるし」

「わぁ、そういやミーティちゃんのスライム姿、レアっすね! プルンプルンで可愛いっすねぇ!」

「ぉっぉ、触手伸ばせるんだぉそれ? えっちなやつ?」

「エッチなヤツじゃないよ。倫理フィルターあるからね」


 ぷるんと饅頭型のスライムになっておく。……あ、そうだ。御者の若商人の表情が硬い理由が分かったぞ。


「おーい、商人さん」

「ひっ、あ、は、はい。なんでしょうか? 何かご不満でも……」

「いやさ、よく考えたらそこ危ないんだったよね? こっちきなよ。御者はこっちでやるからさ。馬車の中で道の指示だけしてくれればいいよ」


 そう。御者台は盗賊達に真っ先に襲われる可能性のある、命の危険がある場所だったのだ!

 いやぁ商人さんからその話を聞いていたのにすっかり忘れてたぜ。命の危険があるっていうならそりゃ表情も硬くなるさ。


「ぉ? でも光輪(ハイロゥ)あると囮にならなくねぇかぉ?」

「ああ、分裂した方には光輪(ハイロゥ)がつかないからね。頼むぞミーティちゃん」

「はーい! がんばるね精霊様っ!」

「おお、それ便利っすねぇ!」

「なるほど、侍らす以外にも使い道あるんだぉね!」


 ミーティちゃんを御者台に座らせる。さ、交代してくれたまへ。


「ひぃい!? あ、あの、だ、大丈夫なんでっ! お、俺はここで構わないので!」

「は? 精霊様が馬車の中に入れっていってるんだよ? 従わないの? じゃあ、敵かな? もぐもぐしちゃおうかな?」

「敵じゃないから仲良くするんだぞミーティちゃん」

「精霊様がそう言うなら仲良くするね!……ねぇお馬さんの動かし方教えて? 覚えたらあたしもっと精霊様の役に立てるよね」

「は、はい……教えます」


 初手の印象最悪かもしれないが、まぁそれならこれから上がるしかないだろう!


「……上がるよね?」

「ボクはさらに下に行くに賭けるぉ!」

「いや、ミーティちゃん可愛いからほだされるに一票っす!」

「うちの子で賭けするんじゃぁないよ……あ、俺は上がる方に賭けるね。上がったら『ご褒美パンケーキ』でも奢ってもらおうか?」

「ちょ、SPアイテムは勘弁してくれぉ!? ホーム取得優先だぉ!」


 まぁそれももっともなので、賭けるモノはちょっとしたアイテムになった。

 単なるお遊びである。


「……ふーん?」

「あ、あの。お嬢さん?」

「あ、ううん。なんでもないよ? 精霊様達が仲良しでいいなって!……ね、あたしたちも、仲良くしようね?」

「は、はい」

「ねぇ。精霊様を勝たせるんだから、あたしのこと嫌ったらユルさないからね……?」

「ひぇっ」


 ミーティちゃん、それは逆効果だぞー?

 うーん、白熱の賭けになりそうだ。こりゃあいい時間つぶしができたわ。





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― 新着の感想 ―
あーこれ、悪徳っぽい商人さんにかなり良い含められておりますなー。吉と出るか凶と出るか。
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