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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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第63話


 依頼を受けると、メニューの『現在受けているクエスト』に『緊急。井戸の毒の完全除去』が追加された。クリア報酬も3SPと書いてある。


 緊急だけど、いつまでにやればいいかは分からない。

 が、とりあえず『依頼開始』というボタンがあったので押してみる。


 すると、ミーティちゃんクリア時の時と同じようなゲートが開いて俺を飲み込んだ。



 気が付けばどこか見知らぬ村の前に立っていた。

 毒々しい雰囲気の紫色の(もや)が漂っている。間違いなくここが毒の井戸のある依頼の村だろう。

 ……ふむ。どうやら依頼を開始すると現場にワープさせてくれるタイプの特殊な依頼らしい。報酬がSPな依頼は普通の依頼とは何か違うってことか。


 そしてタイムリミットが表示されている。残り、1時間。


「なるほど、緊急ってこういう事ね」

『精霊様、がんばろー!』


 ミーティちゃんもやる気だ。


 ところでこれ、問題の井戸はどこにあるんだろう?

 俺は村の門の前で昼寝している男に話しかけてみた。


「あ、すみませーん。冒険者ギルドで依頼受けてきたんですけど」

「み、水……」


 うーん。井戸探すところからやらなきゃダメなのかなぁ。


「井戸ってどこにあります? 掃除に来たんですけど」

「……毒……飲むな……」

「うん、だからその毒をね、掃除しにね?」

「……」

「もしもしー?」


 あれ、これ以上の会話してくれない感じ? せめて井戸の場所を指さして教えてくれないかなぁ。と思いつつ、村の中に入る。

 そこには何人もの兵士が横たわっていた。……寝てんじゃなくて倒れてんのかコイツら。


『精霊様、井戸あっちみたい! あっちの方が倒れてる人多いよ!』

「だな」


 そもそも井戸は目立つところにあるみたいだ。そうだよね、利便性悪いところには作らないよね。むしろ井戸が使いやすいように建物も建てていくだろうし、あっさり見つかった。


 井戸には屋根と滑車とひも付きの桶がついていた。

 まるで大昔の井戸……いや井戸自体が大昔の存在だったな。今の時代、井戸なんて存在しないし。歴史博物館とかならあるかもな。


「はいはい、それじゃ早速掃除始めちゃいますねー」


 近くに転がっていた兵士どもを横に退け、井戸の中を覗き込む。

 うん。まっくら。……普通に入るか。

 井戸はこの桶吊るしてるロープを伝って降りるもので、中に人が隠れ住んでたりもするんだよな? ゲームで見たことあるよ。


「ライトの魔法とか覚えてなかったなそう言えば」

『たいまつ作る? インベントリに素材あるから作れるよ』

「そうだね、作ろうか」


 作業台とかも必要なく炭と木で作れるみたいなので、パパッと作った。

 ……火種なかったけど、なぜか手に持った時点で火が付いてるなぁ。

 とりあえず一部スライムに戻って、頭に挿しておく。


「明るくなったけど……うわ、なんかネズミの水死体が浮いてる」

『お肉?』

「まぁ食べても良いか。ミーティちゃんには毒吸収あるし」

『食べる―……不味いね!』


 変な病気になったら嫌だなぁ、と思いつつ、ミーティちゃんの「小型化」を解除して井戸の中でミチッと広がる。

 ……お腹の下あたりがひんやり冷たい感覚ぅ。


 幸い透明なミーティちゃんなのでたいまつの灯りは身体を通り抜けて井戸の中を照らしている。

 ……この水、ネズミの死体ももちろんながら毒水なんだよなぁ。一旦全部吸収しちゃうか。あ、井戸の底にもなんか死体があるな。片付けて、と。


 ごくごくごく…………飲んでもなくならない……

 ……毒吸収の効果でHP回復してる感じがある。


「あ、井戸だから追加で水が湧いてるのか。そりゃそうか……ごくごく。全部飲み干したりはしなくてよさそうだな」

『腐ったお肉消化して、壁もぺろぺろして綺麗にしてー。にがっ』


 HPが回復する感じがしなくなるまでそれを続ける。

 ……よし! 掃除完了! タイムは5分。あと50分も残ってるぞ。


「よいしょっと……改めて擬態っと」


 井戸からにゅるんと出て、人擬態モードに戻る。

 さっき退けた兵士に声をかける。兜をぺいっと外して頬をぺちぺち叩いて起こす。あれ、コイツ猫耳じゃん。おっさん獣人か。


「おーい、井戸の掃除終わったよ」

「…………」

「返事がない、ただのしかばねのようだ」

「み、み、ず……」


 おや、ミミズが食べたいのか……じゃなくて、水が飲みたいのか。はいはい。

 さっき大量に飲んだ分から毒を除いた分を指からぴゅーっと出して飲ませてやる。


「……!!」

「うわ吸い付くな!?」

「す、すまない! 感謝する……!?」


 俺の事を見て驚く兵士。


「……天使、様……? 俺は、死んだのか……?」

「は? っていうか、水くらい魔法で出せばいいのに」

「あ、ああ。……魔法……?」


 なんだ、獣人は魔法が使えないのか?

 ……そんなことないよな? ギンちゃん普通に魔法習得してたよ?


「んじゃ、井戸も掃除し終わったし依頼達成ってことで帰るね」

「ま、まってくれ。ここの他にあと4か所、ある……」


 うげ、あと4か所か。時間は……まぁ余裕だな。

 面倒だが、依頼だし仕方ないなぁ。ゲームなので1ヶ所5分で終わるからいいけど、リアルだったらどんだけ時間がかかる事やら。

 それでも4か所、5分ずつで20分かぁ。面倒くさいな……井戸掃除、実質放置だし……VRモード切ってごはんタイムにするべきか?


『手分けする?』

「そうか、分裂したらいいな」


 毒をもぐもぐするくらいなら意識なしの囮スライムでもいけるだろう。

 ミーティちゃんと手分けすればあっという間だ。


「おい、井戸の場所を教えろ」

「……あっち、それとあっちに2つ……それとあっちだ」

「はいはい。じゃあ掃除してくるね」


 にしても、兵士はいるが村人が居ないんだが?

 特に死体も転がっていない……この兵士たちが侵略してきて、井戸罠にかかった感じかなぁ?


 とりあえず依頼だから掃除はしておくね。井戸発見、スライム分離ぽいっ。次の井戸いくかー。






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― 新着の感想 ―
まあミッション終わったら元の場所に戻されるんだろうし兵士が何者でも問題ないんだろうけど マップくらいは見ておきたいよね
あれ? そこが兵士が侵略した村だとしたら村民が兵士撃退の為に移動に毒入れてた感じじゃない? なのに毒を除去して良いの? あと、毒排除して助けても恩を仇で返すが如く襲って来る可能性だってあるよね? 大丈…
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