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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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73/104

IF:バレンタインSS

(バレンタインのときに書いたやつで、今回の内容は本編に影響はないものとします。IFなので)



 トリアはアルトにとある話をしにやってきた。

 ふたりの精霊様達はログアウト中であり、自由に動ける。その間に相談したいことがあったのだ。


「アルト。ペンペン様に聞いたんだけど、精霊様の世界にはバレンタインというものがあるらしい」

「ばれんたいん……? どんなモンスターかしら?」

「ちがう。好きな人になにかこう、プレゼントする日らしい」

「……つまり精霊様にプレゼントをあげる日というわけね!」

「うん、プレゼント。トリアは精霊様になにかさしあげたいと思う」

「それは素晴らしい案ね」


 うんうん、と頷くアルト。


「でもそれならミーティとも相談するべきよね? あとニカも」

「ん。トリア達だけで精霊様たちにプレゼントをして、『2人目』達に一歩リードするため」

「へぇ。良いわ。その答え、気に入った。私達だけで精霊様にプレゼントを用意しましょう」


 ニィ、と笑うアルトに、トリアも想定通りと頷く。

 精霊様に気に入られるのは『1人目』の自分達であるべきなのだ。別に『2人目』が嫌いというわけではない。むしろ精霊様を慕い、同じ精霊様に身も心も魂も全てを捧げた同志だ。


 だが。

 だが、だからこそ、精霊様により好かれたい。そう思うのは精霊憑き達の習性と言っても過言ではない。

 彼女達にとって、精霊様は文字通り『全て』なのだから。


 全てを懸けて愛し敬う。あらゆる意味で全力で。

 『2人目』という比較対象は丁度いい物差しなのだ。



 それはそれとして。トリアはリボンを取り出した。

 ペンペンの精霊様から話を聞いたときに頂いたものだった。


「『プレゼントはわ・た・し』とかいうのが良いらしい。リボンを貰った」

「まってトリア。私達は既に精霊様のモノだから、プレゼントにはできなくない?」

「! たしかに。そうだった……!」


 プレゼントより前に、とっくに全てを捧げている。精霊様に上げるモノが残っていなかった。少なくとも、『わ・た・し』は渡せない。


「せっかくペンペン様からリボンを貰ったのに使えないか……むむむ」

「そもそも精霊様が何を好むか……という所を考えないと、プレゼントは難しいわ」

「……ろぐぼ!」

「うん?」

「精霊様は『ろぐぼ』というのが好きだと聞いた! ついつい集めてしまう、とか」

「ろぐぼ……知らないアイテムね。けど確かに精霊様同士でそう話していたのを思い出したわ」


 集めるということは、大量にあるものなのだろう。それならトリアやアルトがなんとか手に入れることもできるかもしれない。

 ……ログボ……大量にある……ついつい集めてしまう嬉しいもの……


「つまり『ろぐぼ』とは……なんだろう?」

「そうね。私は長い棒だと思うわ」

「長い棒? なんで?」

「ロング棒、略して『ログぼ』よ。それに、棒はいろいろと便利だもの」

「いちりある」


 だが、棒を集めている精霊様を見たこともない。……いや、まて。


「アルト。その推測はとても惜しい。精霊様が好むのは、たぶん木の棒。『ろぐぼ』も木の枝のこと。良い感じに落ちている木の枝。これは集める」

「ふむ。そういえば木の家のことを『ログハウス』、というらしいものね。ログとは木の事を指しているに違いないわ。トリアの推測もあながち間違いではないかも……」

「そう、きっとそう。だから『いいカンジの木の枝』を集める!」


 ふんす、と意気込んで鼻息を吐くトリア。

 しかしアルトは一つ思い出した。


「そもそもペンペン様はなぜそのリボンをトリアに渡したのかしら」

「『プレゼントはわ・た・し』のため?」

「うん。そうよ、そうなのよ。言い出した私が言うのもなんだけど、実は『ばれんたいん』のプレゼントとして、トリアが選択肢に入るということ」

「……つまり?」

「『ろぐぼ』とは、私達だった……!?」


 そもそもバレンタインの話にログボは全く関係なく好きなものという繋がりの話だけだったのだが、いつのまにか二人はそれを混同していた。


「命を。心臓を捧げるのが本来のプレゼントってことじゃないかしら?」

「なるほど。でもトリア達の心臓は捧げられない。それはやはり精霊様のもの」

「狩りにいきましょう。モンスターの心臓なら沢山手に入るし、魔石も素材になる。精霊様に喜んでいただけるはずよ」

「おぉ……それが精霊様の好きな『ろぐぼ』に違いない。きっとそう」


 かくして二人は『ろぐぼ』を手に入れるため、モンスターを狩りに出かけた。

 経験値稼ぎは精霊様から言われている『オートモード中にやっておいて欲しい事』の一つなので、それにも適う。



 かくして、テーブルに魔物の心臓と魔石が山積みとなった。

 ちょっとした……いや、かなりのホラーで心臓に悪い光景である。


「よし。あとはここに……アルト。文字書いて。『ばれんたいんのろぐぼ』って」

「任せなさい」


  * * *


「おーいアルト。バレンタインのログボ貰ったんだが」

「うちも貰ったぉ。魔物の心臓が山積みで」


 バレンタイン。ハートのチョコレートを渡すイベントだという伝説である。

 ハートってことはつまり心臓。

 血が渇いて茶色い様は、あたかもチョコレートに見えなくも……ない……?


「……なるほど、バレンタインのログボだな」

「だぉね。はぁー、学生時代を全く思い出さないぉー」

「むしろ山積みの心臓で学生時代を思い出したらヤベーやつだからな?」


 それはそうだ、とアルトは頷いたが、とりあえずバレンタインのログボはありがたく頂いておいた。




「……ところでバレンタインって昨日だぉね?」

「俺の記憶が確かなら今日は2/15だな」


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― 新着の感想 ―
そんな未来にも日本独自の風習(しいて言うなら韓国だけが追従)が残ってるなんて… (本来は家族や親友同士でプレゼントを贈り合う日)
おのれモロゾフ! ※モロゾフとは、日本におけるバレンタインチョコの発祥とされる神戸の洋菓子店ですw
転載だからバレンタインかんけーねーw
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