表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/104

第54話


「うがーーーー!!!! 肉食わせるぉーーーーーー!!!!」

「はいどーんどん。どーんどん」

「うま、うま! おいしー! おいしーぉー!! 苦味以外の味があるぉー!!」


 突然現れたピンク髪の儚げな少女が、豪快に肉にかぶりつく。

 まぁ口調からして明らかに同僚である。何て名前の子だって言ってたっけ? ミカだかニケだか言ってたような……あ、ニカちゃんだったな。


「はぁ、はぁ……落ち着いたぉー」

「お帰りっすアルト氏。何日ぶりっすか?」

「…………半年」


 えっ。


「半年ぶりだぉ……うう、苦痛すぎたぉ……」

「何それ怖い。ちなみにこっちだと多分1時間だぞ」

「何それ怖いぉ。懲役刑かぉ……ボクが営業じゃなかったら廃人になってたぉ」


 懲役が寿命越えるヤツは電脳化した上で加速使ってそうやって調整するって話だよな。脳がボロボロになって結局死ぬんだからもう死刑の方が優しいってやつ。

 まぁ実際執行された話聞いたことないから、都市伝説みたいなもんだけど。


「アルト、一週間って言ってなかったか?」

「それが……最初の一週間はお試しだったんだぉ。それでリアルの準備させてキャラ死亡かクリアまでログアウト不可にする算段だったんだぉ……! 恐ろしいゲームだぉ……」


 それでアルト体感で半年かかったらしい。こいつが攻略するのに半年かかるとか、どんだけ鬼畜なシナリオだったんだよ……


「ニカちゃんがもやしっ子だったから、筋トレ自体は無理しない程度に頑張ったんだぉ……食い物『穢れ』しかなかったし。せめてサラダチキンかプロテインがあれば2カ月で行けたぉ」


 やっぱり食べ物は身体を作るうえで大事な要素だぉ、と頷く。

 スライムも完全同意でそう思います。まぁこっちは鉄でもなんでも溶かして食って体積増やしてただけだけど。


「食べ物が『穢れ』しかないってのはほんとキツイな」

「結局折れてSPで『苦味耐性』とったぉ……それでも多少マシになる程度だったけど……ああうん、ニカちゃんのご褒美だったんだぉ。わかったぉ、わかったぉ。ペンペン、甘い物あるかぉ?」

「はいはい、トリア氏に聞いて作っといたっすよ、新作のアップルパイっす」

「じゃ、ニカちゃんにくれてやってくれぉ。アルトの身体使うぉ」

「はい精霊様! どうぞ!」


 と、アルトの身体に移動する同僚。光輪(ハイロゥ)の光具合が変わった。


「精霊様……これおいしい、凄くおいしいよぉ! ああ、諦めないでよかった……っ、え、あ、ここが天の国……? わた、私、死んでた?」

「ぉっぉっぉ。生きてるぉ。だからたーんとお上がりだぉ。ペンペン、thx(サンクス)だぉ」


 ボロボロ泣きながらアップルパイにかじりつくニカちゃん。

 ペンペンがそっとアップルパイにアイスクリームを落としていた。何それ俺も食べたい。アツアツと冷んやりで甘々の神じゃん。甘々神降臨じゃん。


「一体どんだけマズかったんだ? 穢れって」

「耐性ないと死ぬほどのたうち回るぉ。ちょっと持ってきたから食べてみるかぉ?」

「怖いもの見たさの興味はあるっすね」


 ペンペンが皿を持ってきて、アルトが皿に一滴、『穢れ』をぽとりと落とした。

 皿が腐った。陶器の白い皿が。


「……あ、ダメだこれ。食ったら死ぬぉ」

「よくこれを食えたな?」

「もうこのお皿使えないっすね。……床におとさないでくださいっすよ?」

「生まれつき穢れ耐性がある子が『巫女』にされてたみたいだぉねー。じゃあこれは食べて処分するぉ。あーん……って今はアルトちゃんだったぉ! あぶねっ!」

「ちょっと味見ー」


 あ、こら! と、止める前にミーティちゃんがそっと手を伸ばしてツンとつついた。直後に指をポトリと分離して切り離した。指分のスライムがじゅわっと溶けて風化していった。


「うげぇ、にがにがぁ……精霊様、これあいつらがD装備って言ってたやつっぽい」

「人間がグズグズに溶けるやつじゃん怖っ。アルトちゃん死ぬとこだったぞマジで」

「その子指取れたぉ!? 大丈夫かぉ!?」


 あ、こっちもこっちで自己紹介しないとな。


  * * *


「スライムのミーティです! みんなを妹にしてお姉ちゃん王になるよ!」

「巫女のニカだよ。天使様がいっぱいいる……やっぱり天の国?」

「銀狐獣人の銀子です。ギンちゃんとお呼びください。メイドです」


 改めて2キャラ目達の自己紹介をさせてみた。

 お姉ちゃん王ってなんだよ。


「研究所をぶっ壊して研究員皆殺しにしてきたよっ!」

「へぇいいね。私は最終的に町をひとつ滅ぼしたよ」

「……自分は貴族一家を族滅しただけです。くっ、負けた」


 自己紹介が物騒だな。絶望から救う云々言ってたと思うんだけど、こいつらが別の絶望産み出してない? 大丈夫?


「特技は分裂! 2人になれるよ!」

「えっと、筋トレ……かな? あと、なんでも食べられるのが特技?」

「掃除とお洗濯が得意です」


 ミーティちゃんも「あたしだって何でも食べてきれいに掃除できるし、お姉ちゃんだよ!」と張り合っている。なにその言い分。可愛い。


「ニカちゃん、石や鉄は食べられないでしょ。あたしは食べられるからあたしがお姉ちゃんだね」

「石や鉄はそもそも食べ物じゃないよ。人間が食べられるものをもってきてよ。食べられるのと美味しく食べられるのは別物だよ?」

「あの『穢れ』も人間は食べられないと思います」


 うんうん、とりあえず3人とも仲良くなれそうで何よりだね?


「いやぁ、あの自我の無かったミーティちゃんがこんなにハキハキに喋るようになるなんて……いっぱい人を食べた甲斐があったなぁ」

「諦めの境地で死すら諦めて化け物になるのを待つだけだったニカちゃんにこんな素敵なお友達が……筋トレは全てを解決するぉ!」

「瀕死で声も出せなかったギンちゃんがこんな元気に……以下略っす」


 略すなよペンペン。2人目の子の大事な成長だろ。

 ともあれこうして俺達に2人目がそれぞれ合流し、6人になった。さて、次は何をしよう。さすがに3人目の追加はまだできそうにない。


 ……さしあたり、ペンペン農場のお手伝いかな?

 あ、ウチもホーム解放できるんだった。それもいいなー。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
元研究所がホームになるんでしょうかね。
ホーム…スライムのホーム…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ