表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/6

第6話


「トリアちゃん、ただいまー」


 仕事を終えてゲームに戻ってくると、子亀が死んでいた。

 子亀といってもテーブルくらいある大きさなわけだが……死体を前にしゃがみ、立ち、ジャンプ。しゃがみ、立ち、ジャンプを続けていた模様。

 モザイクかかってるんだが。子亀。わー、甲羅割れてる。


 そしてちゃんとステータスがそれなりに伸びていた。格闘スキルの熟練も。


「さて、今日は周囲の探索だな。目指せ冒険者ギルド!」


 子亀の死体を始め、周囲を探る。

 まだ新鮮な子亀の死体から剥ぎ取りだ。道具がないので素手で。


 甲羅の破片、亀肉(鮮度:並)、子亀の内臓(鮮度:悪)、亀の骨等が入手できた。インベントリに突っ込んでおこう。

 ……内臓は鮮度早く落ちるようだね。焼いたら食べられたりしないかなぁ? ま、インベントリの中でも鮮度が落ちるのかどうかは確認できるかな。


 剥ぎ取りを終えたら子亀は跡形もなく消えた。こういうあたりはゲームだな、と思いつつも、手が血まみれなので妙なとこにこだわりがあるようだ。


「水場で洗わないとなー。でもあれだ、子亀を1匹狩れたということは、1匹ずつなら狩れるってことか」


 水場はさておき、子亀を探して積極的に狩って経験値を稼いでいくのもいいだろう。さっさと冒険者ギルドを目指して旅に出るという選択肢もあるわけだが……レベルは上げておくに越したことは無い。


「2匹以上に囲まれたらわからんが、まず1匹を実際に狩ってみないとなんとも言えんな。まずは子亀を探そう」


 俺はトリアを操作して、周囲の子亀を探した。


 …………

 崖下に水場があり、そこに見つけることができた。しかし、いたのは子亀だけではなかった。

 ため池のような場所があり、水場を占拠していたのは大亀。

 子亀を凶悪にしつつ、大型トラック並みに大きくしたような姿だ。甲羅のフチがノコギリのようにトゲトゲしている。

 サイズを考えるとノコギリというより剣が並んでいるようなもんなのだが、亀のサイズ感がおかしくて遠近感が狂う。

 とりまきの子亀がちゃんと子供の亀に見えるのだ。


 ランドドラゴンとか言われても納得せざるをえないぞアレは。

 こりゃ勝てない。少なくとも今は。


「……何かしら遠距離攻撃を覚えてチマチマ攻めるか、圧倒的に格闘を鍛えて正面からぶち抜くかしないとな」


 つまりは、子亀を狩ってレベル上げである。


「いうても最初のフィールドのボスだ。一晩かければ勝てるだろ。よし、今日の予定は子亀狩りに決定!」


 というわけで、投げるのに手頃そうな石を拾いつつ、他にはぐれている子亀が居ないかを探し、狩り始めた。


   * * *


 崖下の水場に居る亀をみて、トリアは肝を冷やした。いや、今は光輪(ハイロウ)なので内臓はなかったが、それくらいに恐怖を覚えた。

 どう見ても勝てそうにないバケモノ。厳つい顔の大亀様がそこにいた。……祠の場所からそう離れておらず、そんな場所で子亀を倒してのんびりトレーニングしていて、よく無事だったものだ。


「……何かしら遠距離攻撃を覚えてチマチマ攻めるか、圧倒的に格闘を鍛えて正面からぶち抜くかしないとな」


 だが、精霊様は全く心折れる様子はない。

 むしろ好戦的に、どうやって仕留めようかを考えている。


「いうても最初のフィールドのボスだ。一晩かければ勝てるだろ。よし、今日の予定は子亀狩りに決定!」


 凄い自信だった。恐らく根拠もあるのだろう。

 そして、子亀狩りが始まった。




 最初の1匹は、見つけるのに山を走り回った上に、殴り倒すのにかなりかかった。甲羅が固くてなかなかダメージが通らず……しかし無事倒すことができた。

 精霊様は「エンカウントに30分、討伐に10分か……ゲームとしてどうなんだよ」とボヤいていた。多分私がふがいないが故の不満だろう。申し訳なくて、もっと身体を鍛えないとと心に決める。


 剥ぎ取りも行い、新鮮な肉と内臓を手に入れることができた。また、精霊様が仕舞いこんだ亜空間の中にある肉の状態が悪くなっていたらしく、肉は早めに処理するかと言っていた。


 また、子亀が反撃をしてこなかったことに、精霊様は首をかしげていた。本来なら反撃があるべきだろうと予測していたのだろうが、都合が良いので一旦考えずに置いておくようだ。「たぶんチュートリアルだからサンドバッグなんだろうな!」と言っていた。


 そして2匹目。2匹でいたところにずかずかと割り込んで、子亀を殴り始めた。しかし今度はもう一匹の子亀が噛みついてこようとして、慌てて逃げ出す。

 避けたところにあった岩がガリッと齧られており、流石に分が悪いとみたか逃げることにした模様。


「1匹ずつじゃなきゃ反撃してくるのか。殴ってるところが見えるからかな? 動きは鈍いが、攻撃力がある。釣りのチュートリアルってことかな? やっぱり1匹ずつやるか」


 遠くから亀が落ち着くのを待つ。そののちに、小石を投げて1匹だけ気を引き呼び寄せた。餌として子亀の内臓をつかっていたのはどうなのかと思ったが、子亀は構わず寄ってきていた。共食いは気にしないしやはり肉、それもハラワタを食べるらしい。

 精霊様はそれを知っていたか見抜いたのだろう、流石の慧眼だ。


 あとは、1匹目と同じように殴って倒す。1匹だけなら子亀は反撃せず殻に引きこもりやり過ごそうとした。そして死んだ。


「ふう……さっきより早く倒せたかな?」


 精霊様の言う通り、先ほどよりは早かった気がする。具体的には「10分から8分か」と言っていた。

 さらに2匹組だったもう1匹も殴り倒す。今度は6分になっていたらしい。


「うん、順調に育ってる、というかステータスが爆上がりしてるな……本来倒せるレベルじゃない相手ってことか?」


 そう呟く精霊様に、トリアは頷きたくなった。そもそも魔物どころか動物とすら戦ったことがない少女だった。子亀は魔物であり、それを倒すことによる成長は計り知れない。

 それに精霊様から授けられた手足は頑丈で、子亀の硬い甲羅すら破壊できる。元の手なら間違いなく手の方が砕けているだろう。


 なので、早くここを離れて安全な場所に逃げるべきではないかと考えるトリアだが、精霊様の考えは違った。


「――つまり、ボーナスエネミー! 旨い狩場って事だなぁ! 多少無理してもここで稼いだ方が後々楽と見た、亀狩り祭り決定!!」


 そういうことに、なった。

 きっと精霊様の考えの方が正しいのだろう。


「おっと、折角だから亀肉も使っちゃいたいな。内臓は釣り餌にするとして……肉は焼いて食べられないかなぁ? こういうゲームだと魔物肉を素材にしたらバフ料理ができるとかも定番だしな」


 え、魔物、食べるの? とトリアは思ったが、これもきっと精霊様の考えが正しいのだろう……いままでの自分の常識なんて、きっともう役に立たないのだ。



 だって、いままでの常識だと自分が光輪(ハイロゥ)になることも、魔物を倒すことも考えられなかったもの。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ