第46話
とりあえずアネットちゃんの妹が捕らわれていそうな部屋はないのか調べてみるとしよう。……いやー、子供の死体もあったし、完全にアウトだよなぁこの研究所。
あの研究員のハゲ以外も皆殺しちゃっていいかな? うん。いいよね。
っていうか誰だよ飯で人間食わそうって言ったヤツ。絶対殺してお前を俺のゴハンにしてやるしかねぇよな。……食べやすいといいんだけど。今度はオッサンでも我慢して食うか……うん。
この研究所の連中を綺麗に始末して、研究も続けられないように全部綺麗にしてしまいたい。するべきだろう。
『ミーティちゃん、頑張って食べようね!』
『…………あい』
……!?
今返事した!? ミーティちゃん返事した!?
と、そのときメニューウィンドウが開いた。
『追加ミッション! 人間を食べよう 2/25』
……おいおいおい、そういうの入ってきたかぁ。
つまりミーティちゃん育てるのに人間食べるの必須じゃんかこれ。じゃあ仕方ないね。ゲームがやれと言っているんだもの。
っていうかカウント2なんだけど。もしかしてハゲもカウントされてんのかこれ。……ってことは全部食べなくても一部だけ齧る、とかでも大丈夫なのかな? 悪人の頭食べて悪い影響とか受けたくないしなぁ。
まぁ、徐々に食べて行ってカウントが増えるタイミングを見ておけば分かるか。
まずはしっかりと研究所について把握し、探索し、食べられそうなものを食べて強化していくとしよう。あまり激しく食い散らかすとバレるので気を付けつつ。
あ、それとアネットちゃんにご飯を持って行ってあげないとな。ご飯があるとしてもまた人かもしれないし。
「まずは妹ちゃんを見つけたいが……うーん。この部屋にもいないなぁ……」
天井裏からカリカリと穴をあけて覗き込んでいく。
巨大なカプセルのような、ポッドのような筒に魔獣が浮かんでいる部屋。
書類やら薬品やらの実験室。
魔法陣に祭壇のある部屋。
魔物素材の集められた部屋。
先日食べ尽くした食糧庫には修理中の壁や空棚が目立っている。
だいぶ進んだ技術力をもっているような、それでいて所々中世的で、錬金術や魔術による禁断の研究を行っているような、ただならぬ雰囲気だ。
行き止まりになってしまった。多分この地下フロア――階段を見つけて、そこの表記から推測して地下2階の部屋には居ないようだ。
そして、ここより下のフロアもあるし、もちろん上のフロアもある。まずは上のフロアから探索して、退路を確保しておくべきだろう。
……階段は2ヶ所だけ、しかもフロア内の離れたところに登りと下りの階段がそれぞれしかない。ハッチやシャッターもある。フロアをしっかり通らないと下の階へ進めないような、そんな構造だ。
うーん、こういう階段を直通で登って移動できないってのはゲーム的な構造だよねぇ。リアルのビルだと階段だけで上の階にいけるもんだしさ。
あ。何かあったら隔離しやすいようになっているのかも?
ともあれ、アネットちゃんはミーティちゃんと違って壁の中を移動できないから、こういう構造だと逃亡がキツイかもなぁ。
タイミングを見計らって、一気に殲滅して、その上で悠々と脱出……がいいかな。なら今は準備期間だ。少なくともマップは作っておきたい……もぐもぐ。通りすがりのネズミ、不味。
地下1階を探索していこう。要領は先ほどのフロアと同じだ。天井裏に回り込んで、一部屋一部屋覗き穴を作って確認。……ハゲを事情聴取していた尋問室の他、地下1階には警備用の施設がある。独房もだ。今は空だね。
んん? これは警備ゴーレム? これ脱走したら襲ってきそうだよな。脱走する直前に壊しておきたいね。……あと、使用人部屋も地下一階か。
うーん、研究員じゃなくてただ雇われてる使用人は食べなくても良い気がしなくも……だけども。うーん。積極的には襲わない、くらいにしとくか? ミッションを研究員だけでこなせたら、だけど……まぁ一旦保留。アネットちゃんの妹らしき獣人の子とかは居ないな。
そしていよいよ1階だ。地上に出た。……地上だー! 太陽の光!
太陽に透明なスライムボディがキラリと輝く。
「太陽……だなぁ」
『……あい』
お、またミーティちゃんから返事があった。いいね。
……折角なので屋根の上にでも登ってみようかな。
外に出てみると、3階くらいあるデカい赤いレンガの建物だった。灰色の高い壁に囲まれており出入り口が絞られているな。ここらへんの脱出ルートもちゃんと考えた方がよさそうだ。
俺達だけならともかく、アネットちゃんとその妹は壁に貼り付けないだろうからね。
一応周りの目を気にしつつ、屋根の上に登る。……うん。青銅板の屋根が焼けるように痛い、というか焼けて痛いので屋根の上に登り切れない。水分が蒸発するねこれ。
うん、熱耐性を取っておくべきだろうか。モンスターアクション的に活躍するためにも、どうにか取得しておきたいな。




