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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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第41話



「なん、だこれは!?」


 家主が帰ってきた。手を拭いていたのでどうやらトイレだった模様。

 ちなみに俺、ミーティちゃんは床下に隠れ済みである。


「何があった、どうして部屋の中に何もない!? 机も、椅子も、棚も、実験機材も!!」


 ごちそうさまでーした。いやー、ミッションだったからね。仕方ないね。

 ちなみに達成報酬でSP貰えたので、ホーム習得に足りている。今はまだ他でSP使いそうな気がするから取ってないけど、無事に帰還出来たら習得したい所存。というか、早速『小型化』のスキル習得に使っておく。

 流石に体がデカいと隠れるのが、というか動くのが大変だからね。10SPだからレベル4上がればお釣りが来るよ。


 さてさて、何もない部屋だと床の穴にもすぐ気づくだろう。できればこのまま床下から脱出したいところだが、どうやらここは地下室のようで。

 床下には実験機材の配管があっただけだった。これも食べておこうかなー。もっぐもっぐ。金属味。


 この配管を通って隣の部屋とかに移動できないかな。……あ、コアがつっかえるね。ちょっと食べ過ぎたかもしれん……

 と、ここで早速SPスキル、『小型化』を発動! ぽゆん! 目の前のパイプが倍のサイズになった……いや、これは俺が小さくなったんだな。

 水まんじゅうなスライムボディ全体で大体バスケットボールくらいのサイズ。コアも直径十センチくらい。携帯端末が入るような穴なら入れそうだ。

 しかも手を伸ばす分には元の体積が有効なようで、圧縮された分をびろーんと伸ばす感覚でいくらでも伸びていく。これは楽しい。まるでヨガの達人になった気分だ。


 さて、それじゃ配管を伝って別の部屋に行きますかね。ハゲが床板べりべり剥がしてきたし!



 空洞だったパイプの中を進んでいく途中、次のミッションが表示された。


 『ミッション! 研究員を襲撃しよう!』


 ……これアレだね。映画とかでモンスターが配管やダクトや床下から襲い掛かるやつ。

 まさか自分がモンスター側になるとは……絶対に楽しい奴じゃーん?

 ってか資料を見るに違法研究を国ぐるみでやってるような研究所だし、つまりこの研究所の人達を全員襲ってしまえってことだよね?

 そして、すべてをもぐもぐしろと。


 いいねいいね。楽しいよコレは。

 でも配管の中からだと外が一切見えなくて状況が分からん。そろそろ外に出たい……あ、そうだ。マップ機能があるんだった。えーっと、今の場所は……うん、最初の部屋から3部屋分くらい離れた部屋の壁の中だな。


 ぱきん、とパイプに穴をあけ、さらに壁にも穴をあける。

 お部屋拝見……おっ。倉庫っぽい。ラッキー、食べ放題ビュッフェじゃーん!


 穴を広げてぶるんと抜け出し、手当たり次第に倉庫の中身を食べていく。

 小麦とか塩とか、普通の食糧庫だ。干し肉もゲットだぜ。いえーい天然肉……固っ。しゃぶるように溶かして食べるか。味も無茶苦茶塩辛い。食べられないことはないけど口が痛いカンジだ……

 それと野菜はタマネギと芋しかないね。ビタミンタブレットの保管庫は別かな?


 いやー食べきれないなぁコレは。インベントリにもいれとこ。ビュッフェでタッパー使うくらいの反則だがゲームなので合法です、ってな。


 さて、食糧庫の中を平らげた。いっぱい食べてまた大きくなった……かとおもいきや、体積が増えてる感はあるけど『小型化』のおかげで実サイズは変わらなかった。

 やっぱこれ取っといて正解だったね。なかったら今頃部屋からでろんと溢れてるよ。


 レベルも9になった。そろそろ研究員を襲撃しよう……と、扉の外が凄く騒がしい。

 ぺたりと扉に身体をくっつけて外の音を聞く。


「緊急事態発生、緊急事態発生! 実験生物が脱走! 緊急事態発生、緊急事態発生――」

「敵はスライム亜種と推定、各員特殊装備D! 見つけ次第撃ち込め! ハッチ閉じたか! 隔離処理は――」

「研究資料の退避完了しました! 引き続き避難を――」


 あー。流石にバレたっていうか、部屋の中すっからかんにしてきちゃってバレない筈がない。

 あのハゲの研究員がちゃんと対応したんだろう。まぁ、隠蔽するにも無理がある被害だったもんなー。



 と、急にバタンと扉が開かれてぷちゅっと壁と扉の間に潰された。コアは無事なのでノーダメである。


「報告!! 食料庫がやられています!!」

「馬鹿な、どこから入り込んだ!?」


 ドタドタドタと防護服のような装備を身に着けた兵士のような連中が部屋に入ってきた。

 銃のようなものを手にしている。


「隊長! 壁に穴が開いてます!」

「壁裏に入り込まれていたか……だが見つけたぞ! この倉庫の中身を食ったなら相当デカくなっているはずだ、やっこさん身動きが取れなくなっているに違いない! 壁に薬液を注入後、穴を広げる! 反撃に気を付けろ!!」

「イエッサー!」


 そう言って兵士たちは銃らしきもので薬液をぶしゅっと穴に打ち込んだ後、ガガガガ、と工具らしきものを壁に当てて穴を広げ始めた。アレが特殊装備Dとやらか。……崩壊因子的な? 近寄ったらまずそうだ。

 今のうちに倉庫から脱出しとくかぁ。そろーりそろり、と天井側に移動だ。スライムの粘着力でくっ付きながら……騒音に紛れて天井にカリカリ穴をあけて、そこにしゅるんっと逃げ込んだ。


 ふぅ、一安心。

 ……あ。壁裏に『分裂』したダミーを仕込んでおけばよかった。もう遅いけど。


『っていうか、ハッチがどうのとか言ってたな。もしかして隔離された? 逃げ道ないのはキツイぞ。アレ全部相手しないといけないのか……固まられたらアウトだな』


 と思いつつ、さらに上に向かってカリカリと齧る。と、鉄板があった。

 ……鉄板ならいけるな。じゅわー、もぐもぐ。はい貫通。上のフロアの床下へ移動成功。


 いやぁ、ヌルい隔離だねぇ。はっはっは!


「キメラスライムは間違いなく処分した! 崩壊因子を投与し、死骸も確認したぞ!」

「だがこうしてなにもかもが消えている!」

「フラスコの破片も消えていた! 敵はスライムではなく、何か別のものだ!!」


 と、床上から怒鳴り声。片方はあの部屋の主で、もう一人は兵士か?

 ……ふむ。これは研究員襲撃ミッション達成のチャンスですわ。まず奇襲で兵士を仕留めて、それから研究員を……いや順番逆の方が良いか? でも兵士に反撃されたら厄介だし……


「お、おい見ろ! そこの床に魔法陣が浮かんでるぞ!!」

「なんだ? 苦し紛れの言い訳か? 何もないぞ」


 あっぶね。少し見つかっちった。すぐひっこめたから研究員以外には見つからなかったみたいだけど……

 ってか光輪(ハイロゥ)が床貫通しちゃう上に目撃判定あるのバグだろこれー。





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― 新着の感想 ―
人間もぐもぐするんか…味覚もきちんと有るっていうのに…
こっちもとうとう入ころしか……もう戻れないな……
まさかのハイロゥが邪魔w 精霊憑きである証みたいなもんだから全身を隠蔽できるスキルでもないと隠せないのかな?
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