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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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第39話


 ぱちくり。


 目玉はないが視界良好。光輪(ハイロゥ)の視点から見ると、どうやら俺は巨大なフラスコの中にいる模様。そこは研究室だった。

 見える椅子のサイズから推測するに、小人の研究室というのでなければこのフラスコはドラム缶くらいのサイズがある。


 SF系というよりはスチームパンクっぽい研究室で、羊皮紙のメモとかが壁に貼られている。素材であろう何かの角とか羽とかの魔物素材が棚におかれているあたり、錬金術師の工房なのだろう。

 ガラスの向こう側に、そんな無人の研究室が見えた。



 ……どうやら今は人が居ないようだ。

 脱出にはおあつらえ向きということ。こっそり抜け出して逃げろ、ということに違いない。

 ペンペンもスニーキングミッションだったらしいが、こちらは脱出系だな。

 スライムの色を透明にしたのは正解だったようだ。

 ……

 しまった、光輪(ハイロゥ)が思いの他目立つなコレ……消せないかなぁ。透明化とかそういうスキル覚えないとダメっぽい? うーん、頑張って隠れよう。


 ちなみにこのスライムちゃんの名前だが、ミーティとした。

 未来は未定、という気持ちを込めての未定(ミーティ)である。

 最強を目指すか、万能を目指すか、工作特化を目指すか……でもあの棚の素材とか絶対捕食しようね。きっと強くはなれるよ!



 さて。それじゃあ早速だがフラスコの中から抜け出そうと試みる。

 ……うん、みっちみち。触手1本出せる気がしない。フタもしっかり閉まっている。


 あ。でも。身体が少し溶けている感触がある。上の方……フタに近いトコだな。なんかもにょもにょする。

 そういえば崩壊因子、だったっけ? うーん、身体を崩壊させたらスペース出来んのかな。


『あ、まてよ?』


 いいことを思いついた。早速試してみる。

 ぽゆん。と『分裂』スキルを使って崩壊因子を取り込んでしまっている部分を分離。ここまでは当初の予定通り。

 ……しばらく待つと、分裂した側が急激に崩壊して溶けた。

 あぶね。ほっといたらこっちもこうなっていたところだったか。


 そして、ここからが思いつきのところだ。分離したボディをインベントリへ収納!

 ……成功! 体積の半分が『スライム溶液』としてインベントリに入った。

 そしてその分フラスコに空きが生まれた。


 これで体を動かせるぜ! いやぁ、焦った。詰んだかと思った。

 まさかシステム利用した謎解き要素もあるとはね。こういうギミックも嫌いじゃないぜ。


 あとは、うまいこと、身体を動かして……びったん、びったん、びったん! とフラスコを揺らしてやる。

 人が入るくらいの巨大フラスコ。そのフラスコにみっちみちに詰まっていた俺。

 成分がほぼ水だとしても、半分の容量ってかなりの重量だ。


 それが揺れる。


 洗濯機、って知ってるか?

 あれ、中の洗濯物が偏るとすっげぇグワングワン揺れるんだぜ。つまり――


 ガタッ。ゴト、ごろんっ、がっしゃーーーーーん!!


 フラスコが倒れ、支えから落ちて、床にブチ当たって割れた。

 いえーい脱出成功!!


 だが同時に「ジリリリリリリリ!!!!」と、けたたましいベル音が響く。


『やっべ、これ絶対俺だよな。隠れなきゃ……! と、偽装工作!』


 ぺっ、とインベントリから先ほど収納した崩壊スライムボディこと『スライム溶液』を割れたフラスコの上にぶちまけておく。

 あとは……よいしょ、よいしょっと。本棚の上、天井の方に張り付いて隠れておこう……うわ、ホコリで触手滑る。しっかり掃除しとけよなもう! ぺっ!(ホコリをまとめて吐いた音)



 ちょうど隠れ終わって一息ついたところで、研究室の扉がガコンと開いて、白衣を着た禿げ頭のオッサンが入ってきた。


「うわ! なんだこれは。まったく、スライムのくせに生意気にも暴れたのか?」


 フラスコの破片を手にとり、ぬちゃっとしたスライム溶液を見て、やれやれとため息をつく。ベルを止め、研究室の椅子にふんぞり返って座った。偉そうである。まぁこの研究室の(あるじ)ってことなら偉いのかもしれないけど。


「おい! 誰かこい! 掃除だ!」


 パンパンと手を叩きながらそう叫ぶ男。すぐに使用人がやってきて片付け始める。

 その間、男はなにやら書類を読んでぶつくさ文句を垂れていた。フラスコが修理できないものかと眉間に皺を寄せている。頑丈だったしやっぱりコレ高かったんだね。

 だけど盛大に割れ切ってるので、もう溶かして素材にしなおすしかなさそうだ。ため息をつきながら「フラスコの破片は分けてまとめておけ」と指示していた。


「……基本のデータは揃った。次はいよいよ人間を……先に孤児で試すか? いや、素材も安くない……」


 ん? あれ。ミーティちゃんは人間じゃなかったんですかね。

 それとも獣人を人間とカウントしないタイプ? あるいは人型モンスターだった?

 まぁいいか。どうでも。それより棚の素材をつまみ食いしたい……



 そういやミーティちゃんどのくらいの戦闘力なんかな。

 まだLv1だから相当弱いと思うけど。スライムの特性を使えば戦えないこともないと思うんだよね。

 今はまだ様子見しておくけど。じっと待機だ。……このハゲ、さっさとどっかいけよー。




 と、イライラしていると、目の前にウィンドウが表示された。


 『ミッション! 家主にバレないように、部屋のすべてを飲み込もう!』


 ほう。コレって部屋の中の物全部食べちゃっていいって事ね?

 ……でも、まずは家主のハゲが邪魔だからさっさと消えてくれぃ!




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― 新着の感想 ―
実験体、ミーティ・・・う、頭が・・・
そういえば崩壊因子とやらで死ぬ直前で選択肢出た訳だけど、つまり死ぬ直前(数分前?)にならなければどんだけ詰んでて絶望的で苦痛があっても救いは無いってことですよなぁ。て一瞬思ったけどペンペンの例とか考え…
全ては腹の中……そう全て……
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