閑話:色町へ行こう!
なんやかんやツードンに戻って、さらに色町に来たわけである。
遊びに来たわけである!
もちろんマナーとして事前にシャワーを浴びて身体を綺麗にし済みだ、抜かりはない。
そしてコンフィグを念入りに調べたがチャイルドロックや倫理フィルター解除のような項目は無かったので、完全にエロのお店は断念せざるを得ないだろう。
あったとしても肝心なシーンを意識カットされるのは想像に容易い。
「キャバクラ的なお店にいくぉ! 女の子侍らせて豪遊するぉー! あわよくばおさわりできるかだぉ! プレイヤー同士だったから触れなかった可能性あるしぉ!」
「それは可能性としてあり得る。検証しないとな、ああ、検証しないと! いくぞー! おー!」
「私はおつまみとかが気になるっすねー。あ、でも酒については多分リアルの方が美味いっすよ」
ペンペン、料理する都合で酒はもう味見したらしい。
酒、飲めるのか……まぁペンペンは飲めるよな。身体大人なの一目瞭然だもんな。
一方俺、トリアちゃんは肉体年齢的にセーフティーなフィルターが入るかもしれないレベル。アルトはギリギリなラインだろうが、飲めなくはなさそう。
「ぇー、そうなのかぉ?」
「たぶん冷蔵庫普及してないから冷却魔法使える魔法使いが居ないと冷えた酒にならないっすね。カクテルも無さげ。ドワーフの火酒ってのがあるらしいっすけど」
「ちなみにペンペン氏は? 冷却魔法は習得ぅー……?」
「済みっすよ?」
「さっすがペンペン氏! そこにシビれる憧れるぉ! さぁ一緒に行くぉー!」
色町も、みんなで行けば怖くない。
まぁ元々怖いモノなしだけど。所詮ゲームだし。
「すみませーん。3人なんですけど入れます?」
「……申し訳ありません、ただいま満席でして……」
「3人だぉ! いけるかぉ?」
「本日はご予約で貸し切りとなっていまして……」
「あのー、3人なんすけどー。大丈夫っすかねー?」
「君、ウチで働か……ないよね! いやー、今日は定休日でねぇ!」
なんということでしょう。お店はあるのに行けません。
どうなってんだコレぇ。
「なんか避けられてる気がするんだが……?」
「もしかしてお店が未実装なのかぉ……?」
「あー。お店がいっぱい並んでても実際に入れるのは1件だけ、みたいなヤツなんすかねー?」
あり得る。そういうのたまにある。……ぐぬぬ。
折角のVRモードなのにこのゲーム作り込みが甘いぞチクショウ!
「なら、次の店でどこならやってるか聞くぉ! そのぐらいのヒントはあってしかるべきだぉ! すみませーん。3人だぉー! いけますかぉー!?」
「はーい……どうぞ、いらっしゃいませお客様」
……どうやらアタリはこの店だったようだ。
俺達3人は店員のボーイさんに案内され、ソファー席に着く。
薄暗い店内で、テーブルの上のライトがぼうっと明るく光っていた。
「女! 酒! 食い物ー!」
「こ、こういうお店初めてでドキドキしてきた……」
「まぁお金あるなら怖いトコじゃないっすよ、大丈夫っすトリア氏。ボッタクリだったらアレっすけど……あ、おさわりOKな女の子3人よろっす! 酒とツマミもテキトーに……あとこの子にはジュースで」
ペンペンはなんか手馴れてるな? こういう店リアルでよく行ったりしてるんだろうか。
しばらく大人しく待っていると、ペンペンが頼んだ3人の女の子が席にやってきた。飲み物と食べ物の載ったワゴンも一緒に。わー、夜の店のお姉さんって感じで色っぽい。
「お、お邪魔しまーす」
「今日はよろしくお願いします」
「とりあえず乾杯、します?」
3人は俺達3人の間に割り込むようにそれぞれの左側に座った。
ふぁお、夜のお姉さんな香水のニオイ。花の香りがネットリしてるぅ。夜の花って感じだ……
「んじゃ、冷やし終わったんで最初だけ音頭とってあとは各自っすねー。トリア氏因縁の亀退治成功に、かんぱーい!」
かんぱーい! と皆でガラスのコップに入ったお酒を掲げた。
……いつの間にか配られていたガラスのコップに注がれたお酒。て、手際が良いぞ!? どうなってんの!? こ、このトリアの目をしても見抜けなかった!
「あ、トリア氏はジュースっすよ。さすがに。おかわり冷やしたくなったら言ってくださいっす、冷却魔法あるんで」
「……この身体だからね、仕方ないね」
トリアちゃんの健全な成育のために、お酒は控えておくべきだろうからね。うん。まぁゲームだから関係ないっていったらそれまでなんだけど、ロールプレイって大事だからね。
『精霊様、トリアはお酒を飲んでも構いません。むしろ飲んでみたいです、から、えと、遠慮なくどうぞ』
「いやいやいや。そういうわけにはいかないからね」
「ん? どしたぉー? ひっく」
おいアルトは早速飲んで酔ってるなコレ。
「ふあぁー、ホカホカするぉ。おねーさん、ちゅーするぉー」
「あ、あの、困りますお客様」
「おいおいアルト。やりすぎてお店の人に迷惑かけんなよ?」
「……いや、検証だぉ? ホントだぉ?」
「だとしても段階をちゃんと踏むべきっすよアルト氏。こういうのはキャストの気分が一番大事なんすよ? ねー」
そう言いながら、ペンペンはお店のお姉さんと「ねー」と手を握り合っていた。恋人繋ぎと呼ばれる、指を交互に組み合わせる握り方で。
ペンペン担当のお姉さん、まんざらじゃなさそうなんだが? ノリノリなんだが? え、すご。
「私ら実は呪いみたいなのがあってっすねー、人との触れ合いができるかどうかわからないんすよ。あ、危ないもんじゃなくて、単にエッチそうなトコが結界で触れない感じっす。ほら、不思議っすよね?」
「えー、そうなのー? ホントだ不思議ー」
「試しに私の身体、色々とどこが触れるか試してもらっていいっすか?」
「うん、じゃあまずは頭を撫でたり?」
「お、これはできるっすね! 私からはできるっすかねー? できたー!」
「わー、おめでとー!」
ペンペン、ホントすごいな!? 自分の胸触れないの見せてから頭なでなでしあってるぞ!? なんという手慣れた所作……!
ん? なんですかお姉さん?
「お嬢さま、フルーツどうぞ。あーん」
「ふぉ!? あ、あーんっ、もぐっ」
カットされたフルーツをピックで。お姉さんからのあーんである! 断る理由? ないね。あーん。もぐっ。
あ、これ多分リンゴだ! リンゴ味で食べた味だから多分リンゴ! 甘ぁい。
「……か、かわいい……ま、まだありますよお嬢様」
「んにゅ? もぐ、ごくんっ。あーんっ」
雛鳥の給餌の如く、お姉さんからあーんでフルーツを食べさせられる俺。
ふぉー。うまうま。
「じゃあ次はブドウを。はい、あーん」
「あむっ」
っと、勢い余って指まではむっと食べてしまった。ちゅるんっ。……なるほど、指舐めはOKらしい。と、アルトを見る。
「……おっぱいは触れんぉねー。フトモモはどうかぉー? うりうりー」
「ほ、本当に触れないんですねぇ」
「だからそう言ってるぉ。不思議だぉねー? ちゅーもできねーな」
「んっ、ち、近……か、顔が良い……っ」
アルトはアルトで検証が進んでいる様子。フトモモやキスはダメかぁ。
あ、ペンペンの方を見るに、膝はいけるっぽいなぁ。楽しそうにキャッキャうふふしてるわペンペン。
……ん? 何ですかお姉さん?
「あの、お嬢様。口移し……してみます?」
「えっ! い、いいんですか!?」
「じゃあまずこのリンゴを……」
検証! これは検証だから!!
……あ、ブドウ粒は小さいと口移しダメでした。
あれ、アルトお尻叩かれてる。アリなのそれ!? おしり駄目だったのに……服の上からならOKっぽさそう? おそらく戦闘判定? へぇー!……ってそれだとこっちから叩くと下手すりゃ死ぬな? 受けるだけにしとけよ?
ってペンペンはお姉さんとハグしてる。え、俺もしていいんですかー!?
そんなこんなで、検証は捗り、なんやかんや夜のお店を楽しんだ。
最終的に料金は金貨1枚と銀貨13枚になった。……ちょっとゴタゴタもあったりアルトがアレだったりしてね。うん。滅茶苦茶飲んで吐いてたからね。迷惑料も考えると妥当だろうね。
今日は楽しかったよ、また来るねー!
(次回、別視点)




