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異世界人育成ゲーム ~生贄の少女たち~  作者: 鬼影スパナ


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第27話



「ろ、ログアウトは可能なんすか?」

「あ、そういや試してなかったな」

「一番大事なところじゃないっすか! えぇー、あの、ホント嘘っすよね? 私をかついでるんすよね? ドッキリっすよね?」


 色町よりも先にそっちの心配をするべきだったよな。すっかり忘れてたぜ。


「そうだったぉ! もしログアウトできなかったら確かに仕事が大変なことになっちまうぉ!?」

「じゃあちょっとVR表示解除してみるか。ちょっと待ってて」

「待つぉ! 逆に、この世界に戻ってこれない可能性はあるかぉ!?」

「……それはもう分らん。そもそもどうしてどうやってゲームに入ってるのか分からんし……」

「……く、戻れることを祈って帰るしかねぇぉ……!!」


 とコンフィグを開く。……よくよく考えたら、このメニューもメニューを操作しようと思った時に自然と操作できるの、すごいな。

 VR表示から、3D表示に戻す。


『5秒後に表示が戻ります。4.3.2……』


 視界が光に包まれ、直後ブラックアウトした。



 俺はVR表示を行う直前の、携帯端末を手に持って椅子に座っている状態に戻っていた。


「お、無事戻ったな。……無事戻れたな。あ、お腹空いた……」


 満腹感が一瞬で消えた喪失感に腹が鳴く。

 携帯端末の画面を見ると、そこはギルドの食堂で、トリアとアルトとペンペンが3人でテーブルを囲み、マップを重ねているところだった。

 先ほどまでVRで交わしていた会話が、ちゃんとメッセージログに残っている。


「……夢じゃなかったってことでいいのか?」

「トリア氏、表示は戻したんすか?」

「ああ。無事リアルに戻ったよ。……最高すぎるなこれ。でもどんな技術なんだよこれ……科学で説明つけてくれぇ……」

「ぉっぉっぉ。こっちも無事戻せたから早速VRに戻るぉ」

「判断が早ぁい!」

「違法VRがアングラでいつまでも廃れない理由が身に染みて分かるぉね」


 早速VR(のような何か)にハマっちゃってるな? 気持ちは分かるけど。


「とりあえず俺はこっちでゴハン済ましてから戻るわ。あー、天然肉の味を知ってしまった……」


 あれに比べたらレトルトのハンバーグも塩味付きのスポンジ粘土だ。今後の生活に多大なる影響がでてしまいそうである。

 ソースも油がわざとらしすぎるし、尖っている気がする。匂いだけは上品さで勝っているが……あの野性味ある乱暴なニオイの方が食欲を誘う。むしろあれか? あえて食べ過ぎないようにニオイを抑えさせてるのかコイツは?


「はぁ。物足りない。全然物足りない」


 好物、だったんだけどなぁ……ハンバーグ。


 これが贅沢病ってやつか。

 ……うん、今後このゲーム『カイト・ア・ルイセ』が違法ゲームでプレイ停止されたら、貯金はたいて電脳化して、アングラな違法ゲームを漁ることも厭わなくなりそうだ。

 そういうのはウィルスが怖いんだけどな……それでもあの天然肉ステーキに食らいつく瞬間が忘れられないのは間違いないだろう。


「このVRモードについては、Wikiには絶対書けないな」


 他にもLv30に到達した人はいるかもしれないが、その人たちも口を(つぐ)むに違いない。それくらいに、あの世界は魅力にあふれていた。風、空気、空。全てが新鮮だった。汚染されておらず、天然のそれだった。


 そしてWikiで一つ思い出した。

 そういえばSPで交換できるアイテムの情報で『ご褒美パンケーキ』や『美味しいステーキ』とかいうのがあったな……? と。

 ……そこらへんで狩ったリザードマンの肉で、アレなんだよな? じゃあその、『美味しいステーキ』って。果たして。

 ただのフレーバー、好感度アップアイテムでしかないと思っていたそれが、急に違う意味を持ってくるぞ。自分で食べられる(・・・・・・・・)となると。


 うん。俺も早く戻ろう(・・・)。そう思って携帯端末で再びVRモードにするのは、既に当然の事だった。

 あ、先にトイレは済ませておこうかね。




「……さて、というわけで戻ってきたんだが、急にお腹いっぱいになるのは気持ち悪いな。食べ過ぎのぐったりした感じで」

「それはボクも思ったぉー」


 戻ってくるなり襲ってきた満腹を越えた満腹感に、テーブルに突っ伏す俺、椅子にもたれかかるアルト。


「はぇー。……自分もはやくLv30になりたくなったっすけど、多分違法っすよね? 副作用とか大丈夫なやつだったっすか?」

「戻った時にセキュリティチェックしたけど、ファイアウォールに一切異常はなかったぉ……一応ボク、仕事が仕事だからそこは信頼性のある一級品だぉ? それにボディチェックもオールグリーンだったぉ。よだれも大丈夫だったぉね」

「アルト、そこまで確認してたのか」

「まー、接客業だしぉー」

「アルトさん接客業の人なんすか? いつもお疲れ様っす」

「ぉー」


 ひらひらと手を振るアルト。


「ん、でっ! 色町に行きてぇんだぉ! この身体で、色町で豪遊ッ!」

「……私自身はえっちなのはあんまりーなんすけど。まー、商人さんに聞いてみるっすかぁ。あ、他の町(ワントス)に行くなら債務者的にも一言言っとかないとっすよね」

「むしろさっさと返済しちまうぉ! 金なら出せるだけ出すぉ、今後ボクにも装備やアイテム作ってくれぉ!」


 というわけでペンペンにお金を貸してくれてる商人さんのところに3人で行くことになった。





 ペンペンは借金を返済し、ワントスへと一緒に行けることになった。



(次回、商人さんSide)

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― 新着の感想 ―
うわ、何だこの作品? なんか現実世界の方がミステリーになってきた。 合成肉、接客業(意味深)、名前のない同僚・・・。 なんか色々と僕らが想定している世界観と違ってるのかも。
色街に精霊付きで行くとか、性霊と化して、政令に引っかかって、整列してしょっ引かれる未来(笑) ※自分の身体(精霊付きボディ)すら触れないのに、他ねーちゃんが触れるとでも?www
『色街を堪能する為にはVRマシーン(R18)を ご購入下さい(一千万円)』 「ちくしょう!」 な展開ですかな?
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