第14話
仕事終了! ゲームにイン!
「ただいまー……あれ?」
入ったのはペンペンのホーム内だが、見るとトリアの装備が変わっていた。昨晩までは裸足だったが、今は『亀皮のサンダル』という装備をつけていた。
服も一通り綺麗なものになっており、さらに胴体装備として『亀甲の胸当て』が追加されているではないか。丁度亀甲羅の六角パネルみたいなのが一枚分、胸当てになっている。
名前的に足が遅くなりそうな感じがなくはないが、むしろ移動力は少し上がっている。やっぱり裸足より履物あったほうがいいよね。そりゃね。
「お、トリアちゃんの精霊さんお仕事おつー」
「あ、ペンペンさん。これはもしや」
「うん、貰った亀素材とかで作ったっす! トリアちゃん裸足でなんかいたたまれなかったので!! 着るのもお手伝いって言って頼みこんだら装備してくれたっす!!」
どうやら初期装備すぎた格好をなんとかしてくれたらしい。
しかも草を加工して作った布とかで防御力こそほぼ皆無だけどちゃんとした服まで。ワンピースかわよ。センスあるなぁ……
今の今まで、確かにこう、ボロッボロだったもんなぁ。生贄にされてました状態で。
「ありがとうございます。お代は……お金もってないので亀もう1、2匹分で」
「え、あ、私が勝手にあげたんだから別にいいのに。でも貰えるなら貰っていい? 結構いい素材っぽいんすよねっ」
「んじゃあインベントリを軽く圧迫してるバラのやつがあるんでそれをまとめてどうぞ」
交渉成立。俺は子亀のバラバラ素材(最初に狩ってた方)を渡した。
内臓もいる? あげるあげる。どうぞどうぞ。畑の肥料にでもしておくれ。
「ひゃあ! ありがてぇありがてぇ!! 工作スキルのレベルがガンガン上がるゥ! 肉も焼いて料理スキルも上げるぜヒャッハァー!!」
「生産系スキルのレベル上げ。そういうのもあるのか……!」
ちょっと羨ましいかもしれない。うちも工作スキル取ろうかな……いや、下手にとっても器用貧乏になるだけか。それならいっそこのままペンペンと組んで、素材は俺がとってきて、生産をペンペンに任せる、の方が良いだろう。
「あ。そういえばトリアさん。すっかり忘れてたけどフレンド登録いいっすか?」
「おっと。てかそうか、そんな機能もあるのか」
「ええ、昨日は初めて他プレイヤーに会った衝撃ですっかり忘れてたけど、あるんすわ……!」
ペンペンとフレンド登録をする。
ウチも明日同僚にフレンドコード渡しとこう。いやぁすっかり失念してたわ。しっかりメモしなきゃね。
登録すると、フレンドリストからペンペンのログイン状態が分かるようになった。
今はログイン中を示す明るい緑色だ。ヘルプを見るに、離籍中は黄色、ログアウト状態だとグレーになるようだ。
「今後ともよろしくお願いしまっす!」
「うん、よろしく」
というか態度が昨日より砕けた感じになっている。多少仲良くなった感あるな。
あ。仲良くなったで思い出した。
「そういえばペンペンさん」
「フレになったしお堅いのなしで、ペンペンでいいっすよ! 私もトリアちゃんとかトリア氏とかで呼んでいっすか?」
「ああオッケーだよ。んじゃペンペン。キャラクター撫でられるの知ってる?」
「なにそれ知らない! 教えてプリーズ!」
俺は、ペンペンにオートモードからのタップやマウスオーバーでナデナデできることを教えた。
「良い情報を得た! 早速試してみるっす! ペンペン、オートモードで……ふぁ。あ、う、あ、ども、です」
ぺこり、とペンペンがオドオドした顔で頭を下げた。
どうやらあちらのオートモードの子……こっちで言うトリアちゃんだ。ペンペンちゃんと呼んどくか。
「ひゃっ!?」
びくん! と、ペンペンちゃんが突然目を見開いて身体を跳ねさせた。ぶるんっと大きなお胸も跳ねる。
うわぁ。
えっ。
ちょ、うわっ、わっ……
「んくぅっ……あ、あ、せ、精霊様ぁ……っ! あっあっ♪」
うわ。
あ、そういう? ハートマークって。あっあっ。
そうなるの? 服は着てるけども。ああっ!
ちょ、トリアちゃん、見ちゃいけません!! あ、でも目を隠すモーションとかないし無理、見るしかない!
うわすっご。……うっわー。わー。わぁーぉ……
「ひゃぅ……あ、あっ、あっ……あぁー♪……っ、ぅ……っ♪」
……
……ふぅ。
と、力尽きるようにして倒れていたペンペンちゃんが急にガバッと立ち上がった。
「ただいまーっす! 身体ポカポカして状態が『好』になってますね! 好調の『好』! なるほど、これは良さそうなテクを教えてもらったっすわ!」
「お、おう。そうだね」
どうやら中身がペンペンに戻ったらしい。直前までの状態はあんまり関係ないようだ? で、いいんだよね?
ふ、服を着たままあられもない状態になっていたペンペンちゃんはいなかったんだ……!
「その、あんまりやり過ぎると好感度逆に下がる可能性もあるから、ほどほどにしとくといいよ」
「おっと、構いすぎて猫に嫌われるアレっすね。りょーかいっす!……ん? 毎日やって欲しい? だそうなので、ダイジョブそうっす!」
「あ、うん。で、でも人前ではやらない方が良いだろうね」
「そっすか? そっかも?……え、ああ。気にしないでいいそうっす」
「いやそこは気にして!? 気にしてね!? 撫でるにしてもホームで! いいね!?」
「う、うっす」
下手すればゲームのジャンルとレーティングが変わってしまうところだぞ、なんて恐ろしいんだナデナデシステム……!
というか、一体どんだけ激しく撫でまわしたんだ……あ、そういえばあちらはボクセル表示だったっけな。
加減が分からなかったに違いない……いや、ボクセル表示状態だとリミッターがかからないって可能性もあるな……表示的に……
『せ、精霊様。と、トリアもナデナデ希望……です』
……あとでね! あとこれほど激しくはしないからね!?
ってかペンペンちゃんはともかくトリアにやったら事案だからコレ!! いや、ゲームだから合法なんだけど、ゲームだから合法なんだけどっ!!




