第13話
折角なので、ペンペンに、ホームについて教えてもらった。
柵の中にはモンスターが入ってこないし、なんならホームを収納して移動さきで再展開とかもできるらしい。
いいなぁ安全地帯。SPがたっぷりあればウチもこういう拠点が手に入るんだろうか? とSPの使用先を見れば、下も下の一番下に『ホーム:150SP』とあった。
……うん、少なくとも当分は無理だしレベルアップのSPだけで見ればLv70まで上げないと足りないヤツ。
これはWikiに注意するポイントとして記載されるべきヤツかもしれないな……レベルアップ以外のSP入手方法発見が待たれるところだ。あるよね? 多分、あるはず。きっと。恐らく。……あるよね???
子亀の死骸についてはインベントリ経由でトレードが出来たので渡して、代わりに畑で作ったというトマトを貰った。
「トマトがあるんだ」
「森で草を殴ってるとたまに種が落ちるっすよー……ってでっか!? ナニコレ子亀じゃないじゃん!」
「あ、それでホントに子亀なんだよ。親亀はトラックくらいあるボス。倒せなかったので足強化して逃げてきた」
「マジで!? 拠点引っ越したほうがいいっすかねぇ?」
「割と山の向こうの方だから気にしなくていいかも」
畑はそういうシステムなんだ。へー。
こちらも貰ったトマトをチェックしてみる。『新鮮なトマト。土の香りがする』……らしい。それって美味しい評価なのか? いや、新鮮なだけで美味しいとまでは書いてないから不味い評価なのかもなぁ。
さて、トレードもしたしいよいよ町に――と思ったが「ってか明日でいいっすか? 流石に眠いんで……」ということになった。
よく見たら時計の針ももうテッペンを越えていたので、明日の仕事上がりの時間にまたログインすることを伝えて解散となった。
折角なのでオートモードのトリアちゃんには畑仕事のお手伝いをしてもらっておく。余裕があったら筋トレで。
とはいえ、畑は小さくさほど手伝う事はないだろうが。
『精霊様、帰ってきてね……じゃなくて、えと、お帰りをお待ちしていますね』
と言っていたのでなんとなくトリアをタップすると、ハートマークがぴょんっと表示された。
さて。というわけで今日も仕事中に同僚と進捗について話すとしよう。
「というわけで、別のプレイヤーと初遭遇したよ。なんかホームで畑仕事してた」
『ホーム! そういうのもあるのかぉ! SP150って銃より高えぉ!』
ホームについては同僚も知らなかった模様。
「それとグラフィックでボクセル表示モードってのがあったぞ」
『コンフィグもあまり詳しく調べてなかったぉ。うむむ、いい情報をもらったぉ。ならこっちもとっておきの情報を教えるぉ!』
「ん? なんだ?」
『オートモードの時に画面のキャラクターをタップやマウスオーバーしたりすると、ナデナデができるんだぉ!』
「ああ、そういやなんかハートマーク出てたけど、そういうやつだったのか」
トリアちゃんをナデナデできるわけかー。そっかー。
帰ったら改めて試してみよっと。
『なんだ知ってたのかぉ。あ。でもなんかキャラクター好感度もあるっぽいから、こまめに撫でておくといいぉ』
「……撫で過ぎたら嫌われるとかもありそうくない?」
『うわ、ありそうだぉね……気を付けて撫でるとするぉ! けどウチもアルト撫でるとハートマークめっちゃ出てるから嫌われてはいないはずだぉー!』
好感度。そういうのもあるのか。
そういやプレイヤーは『精霊様』って呼ばれてるもんなぁ。操作キャラとプレイヤーは別存在ってことだ。
『コンフィグについては色々見落としてたから帰ったら見てみるぉー』
「そういや、そっちはどのくらい話が進んだんだ? こっちはさっき話したとおりLv20まで上がったけど大亀に挑むのは止めて逃げたトコで、今夜に改めて冒険者ギルドいくんだけど」
『町が同じだったらギルドで会えるかもだぉねー。つかレベル上がるの早いぉね。こっちはまだ14だぉ。でもこっちはギルドでのランクがCに上がったぉー』
「おや、おめでとう。早いのか遅いのか分からんけど」
『おめありだぉ。うーん、ランクアップはプレイヤーとしては普通くらいかぉ? NPCはしらんけど、Dでくすぶってるタイプの冒険者もたくさんいる感じ』
一応Cランクは『討伐をはじめとする依頼をバンバンこなすベテラン冒険者』というべきランクで、一番数が多く層も厚いランクだそうな。
おそらくBランクの壁が厚い奴だろう。
『放置中にゴブリン狩りまくってもらったからギルドポイント的な物がばっちりだったんだと思うぉ』
「ギルドポイントなんてあるの?」
『隠しデータであると思うぉ? ってか我々も会社に評価されたりしてるぉ、似た感じで?』
それはそうだ。こうして仕事中に関係ないチャットしてるとバレたら評価下がりそうだけど。
『なーに、多少の雑談は業務を円滑にする潤滑油、必要なことだぉ!』
「でも話題がゲームだが?」
『それはそれ! むしろ共通の話題を仕事外で作って潤滑油として持ち込んでるのって実は仕事外労働なのでは? 給料発生しねーのかぉ?』
「したら最高なんだけどね。ゲームで給金とか」
『あはは、だぁぉねー。おっと、お客さんだぉ、対応してくるぉー』
「おーう、接客ガンバえー」
『あいるびーばーっく、だぉ』
「さっさと行ってこい、課長に怒られるぞ」
『ぉー』
俺達の仕事もオートモードでAIがやってくれたらいいのに、と思いつつ、そうなったらクビになるだけかと思い至る。それに最後のチェックはどうあがいても人間の仕事だ。
そして、なんやかんや仕事があるからご飯が食べられるんだよなぁ。ゲームを買ったお金だって、お仕事あってのものだ。
「SPが課金で手に入るなら、色々楽なんだけどなぁ。俺もホーム欲しいぞ……おっと」
ゲームのシステムに不満を言うのは、ゲームにハマり始めてる兆候だな? うーん。まぁおにぎり5個分以上には十分楽しませてもらってるし、全然いいんだけど。
……課金が始まったら同僚は生活費削って突っ込むかもしれんなぁ。
さて、俺もお仕事がんばるぞいっ。
……
ちょっとWiki見よっかな。ちょっとだけちょっとだけ。
ゲームは起動してないからセーフ……あ、みんな迷走してて更新ほぼねぇな……




