第103話
王子レオンハルトから提示された準備期間をたっっっっっっっっっっぷり使い、万全の準備を整えた。
さて、そんじゃダンジョンに入ろうぜ王子様ー。
「あ。事前にダンジョン内のモンスターは掃討したぉ。リスポーンするまでに行けるトコまで行くぉ!」
「おいアルト、お前経験値独り占めか!? ずるくないか!?」
「うるせーぉ! ボクだけ生産経験値稼ぎのボーナスタイムがもらえないんだからこれくらい権利だぉ!?」
くっ、確かに!
俺達はばっちり経験値稼がせてもらったからな……ちょっと申し訳ないと思ってたぜ!
「……ダンジョンモンスターの掃討?? そんなことが可能なのか?」
「いいからさっさと行けるトコまで行くぉ王子。事前に一回やった結果からして、リポップまで半日だぉ」
「既に1回試した上でなのか!?……やはり精霊憑き、とんでもないな……」
「というわけで、急いで運ぶ必要もあるから、ペンペン氏に頼んで王子を運ぶためのカゴも用意してあるぉ」
「カゴ……? とな?」
そこには時代劇で見るような、御簾と角材な棒が組み合わさったカゴがあった。
てやんでぇばーろーめ、こちとら韋駄天よぉ、とか言った方が良いヤツ? しらんけど。
「これで運ぶぉ」
「私も自分の足で歩けるのだが」
「遅くて足手まといだぉ。中のヒモをしっかりつかんで振り落とされないようにしてくれぉ」
「……分かった、従おう」
お、そういうのあるんだ。へぇー、本格的ー!
王子にカゴに入ってもらう。
というか装備じゃなくて最初からこう、馬車とかに隠れててもらえば見えないハズだし王子のスキルも効果は……あ、あるな。なんか王子が入ると同時にカゴから威圧感というか視線を感じ始めた。
うん、こりゃぁ迂闊にお忍びもできやしないわ。不便だねぇ。
「さぁトリア、片棒を担ぐぉ!」
「ん? なにそれどういうネタ?」
「片棒を担ぐって言葉があるぉ? あれの語源がこのカゴの運び屋という説だぉ!」
「へぇー、教養あるぅ。おっけー任せ……あ、まて」
実際にカゴの棒を担いでみる。……ふむ。やはりな。
「トリアちゃんの身長だと小さくて傾くわ。ギンちゃんに替わってもらおう」
「む、そういや身長については失念してたぉね。じゃあギンちゃん、ってかペンペン氏よろだぉ。トリアは遊撃だぉね」
「おっけー」
というわけで王子の入ったカゴを担いで、ダンジョンへ出発進行ー!
護衛対象の王子を除くと、俺達パーティーは5人編成。
ペンペンちゃんがお留守番で、カゴの運び屋はニカちゃんとギンちゃん。
アルトが先行して道案内をし、俺は遊撃として周囲の警戒。ミーティちゃんはカゴにひっついて王子の護衛兼後方の警戒だ。
「ニカちゃん。カゴ屋はえっさ、ほいさって掛け声を言ってカゴを運ぶんだぉ!」
「え、えっさ、ほいさ、ですか?」
「だぉ! それで相棒と息を合わせるんだぉー」
「だ、だそうですペンペン様。え、えっさ! ほいさ!」
「了解っす! えっさ、ほいさ、すっすっす!」
「あ、アレンジ入ってきましたぁ!?」
楽しそうだなぁ。やっぱり俺もカゴ運びたかったかもー。
ちなみに移動速度については、全速力である。
仮に曲がり角、遠心力でカゴが膨れて壁に激突したら王子が複雑骨折不可避な勢いだ。
まぁ実際はカゴに取り付いているミーティちゃんが「よいせ」と触手で押し戻して守ってくれる。
……ミーティちゃん優秀ー!
もういっそ王子体内に仕舞って運んだらいいんじゃないかな。……さすがに窒息するか。
と、アルトが唐突にバォンと銃をぶっ放した。
少し遅れて固い何かがぐしゃっと潰れる音がしたので無事命中したのだろう。
「少しリスポーンし始めてるぉね」
「まじ? というかこのダンジョンってどういうモンスターが出るんだっけ」
「虫とか蜘蛛とかだぉ」
「うんアルト。遠距離で片付けちまってくれていいぜ。遠慮すんなよ」
「いやー、ボクばかり貰っちゃ悪いぉ。すこし回してやるぉ?」
「いいから! いいからマジで!」
「ぉっぉっぉ、トリアは虫苦手かぉー」
「画面越しならともかく、VRモードだと流石にちょっとね……敵のキモ系グロ系にモザイク表示ないからなぁ……エロには謎の光とか入るくせによ」
「だぉねー」
いやまぁ戦闘中にモザイクで見えなくて命取りになるよりはマシなんだろうけどさぁ。
……
「なぁアルト。女の子ゾンビのポロリはエロ判定されるのか、戦闘を優先されて無修正になるのか……どっちだと思う?」
「うーん、場所によってはエロ判定だと思うぉ。むしろ無修正だったらそこに攻撃ギミックがあるって事になるかぉ?」
「そうか、攻撃ギミックの有無。そういう可能性もあるな……出てこないかな女の子ゾンビ」
「少なくともこのダンジョンには出てこないぉー」
ちぇー。
まぁそんな風に軽口を叩きつつ、俺達は全速力でダンジョンを進んでいった。




