第99話
王都フリレーン。
アルトのホーム経由でやってきた。他の町同様の中世ファンタジーといった建物が並ぶ街並みに、石畳の舗装された通路。
そして、他の町にはない城が町の中央にあった。
俺達がメインに活動しているツードンよりも大きく発展しているのはやはり首都だということだろうな。
今更なんだが、町の名前的に俺の最寄り町が1、ペンペンのが2、マハリクさんのが3、そしてアルトのフリレーンが0の模様。ゼロじゃなくてレーで。
多分王都から近い順での町の名前なんだろうな。安直というかなんというか。
「さて、冒険者ギルドいくぉー」
「アルト、王都のギルドってどんな感じ?」
「他と大差ないぉ」
「屋台出てるっすよ! 買い食い! 買い食いするっす!!」
買い食い。それはせねばなるまいて。
というわけでギルドに行く前に小腹を満たしていくことにした。
「おっちゃん、串焼き肉3つ頂戴!」
「あいよっ、焼きたて――……ひっ!? ど、どうかっ」
「ん? 銅貨? 銅貨何枚?」
「お、え、あ、ごっ」
なんか青い顔してブルブル震えてるな。風邪か? 食べ物屋でそれはいただけないぞ。まぁゲームだから気にする程でもないけど。
「トリア氏、1本銅貨5枚って書いてあるっすよ!」
「おおそうか。んじゃ3本で15枚だな。はい」
「え、あ、は」
串焼き肉を受け取り、1人1本配る。
「ほいよ、ペンペンとアルトの分。俺の奢りだぞ」
「ありがとっす!」
「ぉー、人の金で食う肉は旨いぉー!」
「……っていうか、私らなんか無茶苦茶怯えられてたっすね?」
うん。さすがにね、病気じゃないことくらいは分かってたよ。うん。
「アルト、なんかした?」
「うーん。心当たりないぉ。ここらではアイテムが落ちてないか調べたくらいしかしてねぇし、トリアと合流すべくすぐツードンに向かったし」
そっか。うーん、分からんなぁ。
「そうか。さすがのアルトでも街中では暴れないか」
「さすがのボクでもってどういう意味だぉ? まぁそんなわけだからこの辺りは調査済みだぉ。……タルや壺、復活してねぇぉねー」
「まぁ他の屋台も回るっすよ! あっちの煮物売ってる店とか気になるっす、次は私が出すっすよー」
「じゃあボクは飲み物系いくかぉね」
串焼き肉、おでんとモツ煮を合わせたっぽい煮物屋の他にもドリンク系の店があったので調達。
両手に持ち切れない? 否、俺達にはインベントリがあるのだ! 買い歩き食べ歩きし放題だぜぇ!
というわけでアルトの調達したオレンジのような果物を搾った果汁を水で薄めた果汁50%ジュースを一口飲む。
元の味が濃いので薄めるくらいで丁度いい模様。甘酸っぱくて飲みやすい。いいなこれ。
「お皿は自前のを用意するシステムなんすねぇ。大根うまーっす」
「モツもいい味だぉねー。前はVRモードじゃなかったから屋台はフレーバー、見るだけだったんだぉ。食べられるって素晴らしいぉ……うめぇうめぇ」
「そういやそうか」
VRモード解禁されたのは俺と合流した後である。
「あ、そういや路地裏でチンピラに絡まれたりもしたぉね」
「へぇ。それで始末してるの見られて怯えられてたとか?」
「かもしれないぉね。まぁ銃で殴って一撃で消えた程度のザコだったぉ」
あのデカい銃で殴られたなら一般人はまぁ一撃だろうな。アルトの銃ってVRモードで対峙すると鈍器な圧がホントすごいもの。
「じゃあむしろ治安改善に貢献したってことっすよね? 怯えられる理由分からなないっすねぇ」
「だぉー。ボクは善良な一般市民だというのにぉー?」
「市民カッコ笑いってつくやつー」
「市民IDない不正市民っぽさそうっすねー。まぁ冒険者ギルドのIDがあるっすか」
つまり傭兵のような扱いで一般市民ではなさそうだなぁ。せいぜい仮市民か。
「だとしても冒険者ランクがそこそこあるから多分一般市民くらいの立場にはなってるはずだぉ」
「だといいなー」
俺達の冒険者ランク的には、なんやかんや依頼をこなしまくったのでみんなBランクになっている。『2人目』達を合わせて6人全員Bランクのチームだ。
……王族の指名依頼のイベントが起きたのも、それがスイッチだったのかな?
まぁそんなこんなで屋台で小腹を満たしてから、俺達は冒険者ギルドへ向かった。
(アルトは返り血を浴びたまま屋台でタルや壺を壊していた模様。普通に傷害及び器物破損なのだが誰も何も言えない。だって精霊憑きだぞ)




