第89話
(すみません、予約投稿忘れてました)
「クリアしたわ!!」
クリアしたらしい。というわけで、数字っ子が5人になっていた。
見た目的に……少しだけ違う感じがするのが居るから、その子かな。遠目だと分からないヤツだこれ。
「じゃ、改めてパーティーっすね!!!」
「ひゃっほう飲みまくり食べまくりだぉ! 酒持ってくるぉ!」
「結局飲み食いして騒ぎたいだけ説あるわね」
「バレましたかぉ!」
「まぁこのゲーム、ご飯美味しいものねー。自分で作るとマズイけど」
やっぱり料理スキルとか要るのよね、と頷く。
「……料理スキルなくてもVRモードならそれなりのモノは作れますぉ?」
「え?」
「具体的には中の人のリアル料理スキルと同じ程度のモノができますぉ」
「……」
「マハリクさん、もしかして……料理したこと、ないですかぉ?」
「あ、アルトこそ料理しないでしょ!? というか! 営業仲間でしょう!?」
「ぉっぉっぉ、ボクは一時期料理してた時期あるんで多少はできますぉ」
うーん、料理してたことがあるってアルトってば意外とやるなぁ。
俺は自炊なんて冷凍食品をレンジでチンとか、インスタントにお湯注いだりしかしたことないよ。
「……マハリク様の手料理……食べたいっ」
「わかる」
「わかりみ」
「理解が深い」
「当然の選択」
数字っ子、5人目もすっかり馴染んでるなぁ。
そしてパーティーが始まった。今度のお題目は間違いなく「『2人目』おめでとうパーティー」である。
「というか、パーティーしたいならもう何の理由もなく毎日パーティーすればいいじゃない。お金ならあるし、食材だって買い放題&狩り放題でしょ?」
ちっちっち。分かってないなマハリクさん。
「こういうのは理由があって騒ぐから良いんだよ。たとえそれが建前だとしても理由は必要なんだぜマハリクさん」
「……そういうもんかしら?」
「ご馳走を毎日食べてたら、それはもう日常であって特別感がなくなるじゃないか。ご馳走は『ご馳走』だから美味しさも増すってなもんなんだぜ?」
「ああ、それは分かるかも」
まぁそれはそれとして、ステーキは毎日食べたいので食べるわけだけど。
トリアちゃん満腹にはなるけど胃もたれはしないから食べ放題だし。最近は分厚いステーキを歯で噛み切れるようにもなったし。
ダブルスタンダード? 否! これは生活レベルの向上!!
特別を日常とすることを代償に、QOLを一段各上げするやつだ!!
贅沢になっちゃったなぁ……と振り返ってしみじみするヤツなのだ……!
だからこそ、特別に騒ぐ時は相応の理由が必要なのだ。
「ちなみにロクちゃんは人間なんっすか?」
「なんかよく分からない部族のドルイドっていう自然崇拝の司祭みたいだけど、多分人間よね、ロク?」
「ハーフドライアドですマハリク様」
「だそうよペンペン。人間じゃなかったみたい」
ドライアドって木の精霊だったな。半精霊ってやつかぁ。……俺らも精霊って呼ばれてるわけだから、ちょっと親近感感じちゃうね。別物だろうけど。
にしてもやっぱり『2人目』って特殊な感じあるなぁ。
「外見の特徴は……ほぼ他の子達と同じなんだけど? あとハーフドライアドって元々そこらの特徴はないのか?」
「多少はあったけど、外見はキャラクリ時点で調整済みよ。この方が戦略的に面白いからね。光輪のデザイン込みで弄ったわ」
あ、光輪。ホントだ、ロクの光輪を良く見るとシンプルな円だけど、他の子と微妙に違う。できる限り寄せてみましたという形になっていた。
わざわざそこのデザインまでしていたとは……ホントやるなぁマハリクさん。予想はしてたけど徹底してるわ。
そして肉体については元々はもうちょっと耳が尖っていたり、髪の毛が緑だったりしたらしい。今は他の子と同じ地味な茶髪の目隠れっ子だ。
「それで、ロクちゃんには何かしら特殊な能力があったりするの?」
「フッフッフ……秘密にする程の事じゃないから教えてあげるわ。植物の声が聞こえて会話できるのよ」
「植物の声が!? それはすげーぉ!」
「色々スパイできるっすね! この世界、庭とか普通にあって植物も多いし。特にお偉いさんのお城とか」
「まぁ戦闘スタイルとはさほど関係ないけど、色々使い道の多い能力なのは間違いないわね。サラダからうめき声が聞こえるのはげんなりしたけど」
何それ怖い。
植物って切れ端からも再生できるから、生野菜サラダはまだちょっと生きてるらしい。
「あれ、でもロクちゃんさっきから普通にサラダとか食べてないかぉ?」
「喋るからって食べない理由はないですよね。植物は植物にも根を張るし、魚は魚を食べるし、皆様もオーク食べる。自然ってそういう事じゃないですか」
え、オークって喋るの? 確かにオークの巣が集落になってたりすることはあるけども。美味しいから食うけど。
「そうそう。とある国では処女をオークに与えて、産ませたオークを丁寧に育てたお肉が超高級品で、支配階級の食卓に上ったりするご馳走らしいわ」
「ほぉ。まるで人を食った話ですぉねー。胸糞趣味悪いぉ」
「ついでに言うと、その超高級オーク肉の生産者になるところだったのがロクちゃんってワケ」
「はい、手足の健を切られていて、あと一歩でオークのお嫁さんになるところでした。他者には強要しても自分は嫌。我儘は人間の業で、とても人間らしい感情ですよね」
ロクちゃんのシナリオ、そんな感じで牧場からの脱出とか。
牧場に火をつけて焼き豚を大量生産してやったらしい。
「ん? それ既にオーク肉生産者になってた人たちは?」
「いっしょに焼いたけど?」
「え。民間人焼いたんですかぉ? よくステーキ食えますぉね。ボクは流石にニカちゃんが町を滅ぼした日……の翌日はステーキ自重しましたぉ」
当日は『穢れ』の口直しでメチャ食ってたもんな。
「なによアルト、肝の小さい事言ってるわねぇ。それでもウチの部のエース? そもそも民間人ではないわ。エロスキップ回避のため近づかなかったけど、もう心狂わせた家畜だったもの。介錯してやったのよ」
母体はオークを数回産ませた後は準オークとみなされるとか。
……うーん、業が深い。
「超高級肉のオーク肉……そういう牧場もあるんすねぇ。参考になるっす」
「するなするな。ペンペン牧場では健全経営してくれよ」
「まー、私の国では■■■■……あ、なんでもないっすー」
ペンペンの国も、なんか闇深そうだなぁ。
(祝! 89話!!)




