第88話
マハリクさんの「『2人目』おめでとうパーティー」は、「残念! 次頑張ろうパーティー」へと形を変えて実行された。
「元気出してください社長!」
「マハリク様、私達がついています!」
「次はやれます! マハリク様!」
「新しい子のスカウト頑張りましょう!」
と、ソファーに座り込んだマハリクさんの四肢に、4人の社員がそれぞれ抱き着くようにしてスリスリしている。
慰めハーレムしているように見せかけて君たち自分の欲望を優先してるでしょ。マハリクさん成分を補充しているようにしか見えない。
おいそこ替われというべきだろうか。……どこ替わっても良いなコレ。ん? ミーティちゃんはマハリクさんと替わって妹達に囲まれたいって? そっかー。
「はぁ、失敗したわぁ……」
「お疲れ様ですぉ。マハリクさんがやられるとか、一体何があったんですかぉ?」
「あいつら私が訓練で気絶している間にエロいことしてきてて、そのままエロ落ちで娼館送りのBADENDよ」
「あー。エロスキップかぁ」
「エロに厳しいっすねぇ」
「ウブで清純な処女じゃあるまいし……こちとらサンタさんなんていない世界で生きてるっての。まぁラストシーンで因縁のチャンピオンと刺し違えてやったけど」
チャンピオンがあざ笑うために遊びに来たのを、ベッドの上で噛み千切って飲み込んで果物ナイフで滅多刺し&アイスピックで心臓に一突き。やたら凶器の多い寝室だった模様。
しかし、死に際の反撃で首の骨を折られて死んだらしい。
傾いた視界で胸から血を噴き出し絶命するチャンピオンをギリギリ見届けブラックアウト、からの、『ロストしました』のダイアログ表示。
因縁の相手を殺すことは成功したが、こちらも死亡したので失敗に終わったそうな。
「ラストアタック受けるなんて油断が過ぎたんじゃないですかぉ?」
「拘束を無理矢理引きちぎるのに力使い果たしちゃったのよね。片目だったし魔封じも付けられてて身体強化もできなかったのはキツすぎたわ……あー、まだ身体抉り取られたり自分の首が折られた感覚残ってる」
これ下手な人がプレイしてたらPTSDトラウマはもちろん共感性ダメージでリアル死者でるんじゃないかしら、と首をコキコキ鳴らすマハリクさん。
いやそれヤバいって。かなりダメージ受けてラストシーンで瀕死だったってことがうかがえちゃうよ。むしろこっちがラストアタック側じゃん。
ゴア要素が一定量を越えてグロシーン判定になったが故にエロスキップが解除された説あるな。不自然に凶器の多い娼館怖ぁい。
「それで、次の『2人目』はまたすぐチャレンジするんですかぉ?」
「それよね。戦闘系だと思って『コロシアムの剣闘奴隷』ってシナリオを選んだんだけど、魔法系だったのよ。まぁ、エロの罠にハメられなければクリアできたと思うんだけど……次の『2人目』選択は出てるし、もう少し吟味するわ。一応、少しはSPが手に入ったし」
え、クリアできなくてもSP貰えたりするんだ?
「一応はシナリオのラスボスを仕留めたからかしらね? 5Pだけどもらえたわ」
「SP依頼をクリアしたのと同じくらいですぉね」
「ええ。SP依頼の事を知っている以上、たった5Pのために『2人目』をギリギリの失敗繰り返す、という無駄なことをするつもりは無いから次はクリアするわよ」
精霊憑きの弱点、『エロシーンに弱い』を的確に突かれてしまったせいでのBADEND。
まったく、運営はもっとエロを許容すべきである。エロこそ人類発展の鍵でありエロがなければ子供だって生まれないんだから。
「折角だしゴーの名前はトリアのためにも空けておくわ。次の名前はロクね」
「また共同作戦で部下のフリすることになったら名乗らせてもらうよ」
「ロク……ロック……アルトのためにロクも飛ばしておこうかしら?」
「お気遣いなくお願いしますぉー」
名前を覚えるのが楽なように、連番の名前にするのは変わらなさそうだ。
もしかしたら見た目も数字っ子達に揃えてくるかもしれないな。同じ見た目で戦闘特化とかだとしたら運用レベルの不意打ちが捗りそうでしかない。怖い。
「それにしてもこれ美味しいわね」
と、イチ&ニィちゃんにボアステーキを「あーん」「ふきふき」されつつ料理を食べるマハリクさん。
ふふふん、美味しかろう美味しかろう。ペンペンの料理は我々の中でも最強……!
ましてや可愛い女の子にあーんされるとか至上すぎる、そこ替わってくださいお願いします。ん? ミーティちゃんが「あーん」してくれるって? やったねこのゲーム最高だぁ!
「ペンペン、ウチで店出さない? 出資するわよ」
「私今牧場シナリオ進めてるんでやめとくっす。あともし店出すときは商人さんに出資してもらってツードンで出すと思うっす。アッチがホームなんで」
「むむむ、残念……あ。でもうちもホームを取得して接続すれば好きに食べに行けるわよね? お金払うから食べさせて頂戴?」
「お金より素材欲しいっすねー。クラフトスキル上げるんで」
「なるほど。レアな木材とかだと……トレント系のモンスターってハンドガンと相性悪いのよね。動物系の毛皮とかになるかしら」
そんなこんなで一旦休憩を挟み英気を養った後、やっぱり早く『2人目』が欲しくなったのかマハリクさんは次の『2人目』シナリオを選んで挑戦しに行った。
次こそはクリアできるだろう。多分。




