第三十七話 アルカディアの今
ラヒトに案内される一行だが、
ラヒトが行く道は、とても表通りとは言えない、
路地裏のような道だった。
建物も最初の廃墟とは違って、
古さはあるものの、
しっかりと生活感のような物を感じる。
確かに人が他にもいるはずなのだが、
どうも違和感を感じる。
テツ「おいラヒトさんよ、こんな所に家があるのか?」
ラヒト「ここを抜ければ直ぐです」
ソラ「なんかずっと変な道で、ラヒトさん以外誰も居ないね」
サキオ「そうでやんすねぇ」
ラヒト「申し訳ない、人目につくと少々厄介なもので、しばらく辛抱してください」
テツがにゃん吉に耳打ちする。
テツ「なんか怪しくないか?」
にゃん吉「分かっておる。今は様子見じゃ」
テツ「まぁこれだけの面子なら、何があっても大丈夫か」
迷路のような路地裏らしき道を進む。
すると後ろの影から男が現れた。
素知らぬ顔で、距離を置いて同じ方向に歩いて来る。
オト「後ろ、塞がれたぜ」
ラヒトは後ろを振り向き、男を一瞬見やるが、
構わずにどんどん歩いて行く。
後ろの男は何食わぬ顔で距離を置き着いて来る。
するとまた一人、
後ろの男と同じように後を着いて来る者が増える。
サキオ「こりゃぁいよいよでやんすね」
全員に緊張感が増す。
ラヒト「ここです」
ラヒトに案内された場所は、
石造りの建物に囲まれた、
ちょっとした裏庭のような、
広い場所だった。
後ろは着いてきた男達が、出口を塞いでいる。
男達はいつのまにか4人になっている。
テツ「おい、家なんてねぇじゃねぇか」
そう言いながら、テツは剣を抜いた。
続いてオト、サキオも剣を構え、
キノ、シロまでも、いつでも動けそうな体制をとる。
ソラとティアはまだ動かない。
にゃん吉「何を企んでおる」
後ろの男達が一斉に横に走り出した。
テツ「囲む気か!相手してやる!」
しかし、後ろの男達は、一行を囲まずに、
ラヒトの横に並んだ。
そして一斉に跪いた。
ラヒト「スカイドラゴン様!良くぞご無事で!!」
「「「「えっ!?!?」」」」
ラヒト「嘘をついて申し訳ない。どこでフレアドラゴンの目があるか分からないもので、こういう手段を取りました。罰はなんなりと!」
ソラ「へ??あたし??」
テツ「なんだ??敵じゃないのか?!」
サキオ「びっくりしたでやんす」
にゃん吉「やれやれ…」
ソラ「ん?なんでみんな力が抜けた感じなの?」
サキオ「なんでって、罠だって思わなかったでやんすか?」
ソラとティアが顔を合わせる。
ソラ「ぷっあはは」
ティア「ふふふふ」
ティア「みなさん、この方達からは最初から敵意は感じませんでした。私もソラも、さっきまで皆さんがどうして緊張しているのか、分からなかったのですよ」
ソラ「そういうことだったんだぁ」
にゃん吉「敵意とな?ソラ分かるのか?」
ソラ「分かるっていうか、なんとなく、あぁ、この人には嫌われてるのかなぁって感じかなぁ」
にゃん吉「ふむ…」
ラヒト「それで、あのぉ」
キノ「訳を聞こうかねぇ」
ラヒト「はい…」
約10年前、それまでスカイドラゴンによって統治されていたアルカディア。
今よりもっと人も多く、
平和そのものだった。
しかし、ある時、
突然謀反を起こしたフレアドラゴン、アイスドラゴン達によって、
スカイドラゴンは滅ぼされ、
それまで序列二位だったフレアドラゴンが序列一位になり、
アルカディアの支配が始まった。
当然平和な日々を壊されたソイルドラゴンとウィンドドラゴン達は反発し、天空人達を守る為にずっと戦っていたが、
五年前に突然ウィンドドラゴンの裏切りに会い、
どうす事も出来ずに、ただ敗北するしかなかった。
ラヒト「だが、我々は力を蓄えて、いつか必ずフレアドラゴン家を滅ぼすと誓ったのです!」
ソラ「……滅びたって……」
にゃん吉「ソラ、気を確かに持て。まだ死んだとは限らん」
サキオ「ラヒトさんとやら、酷い事を言ってくれたでやんすね、無神経にも程があるでやんすよ!」
サキオは珍しく怒りを顔に出している。
ラヒト「えっいやその」
にゃん吉「この者は、この地、アルカディアに両親を探しに遥々旅をして来たのじゃ。」
ラヒト「なっ!?そ、それは…」
にゃん吉「お主の言う10年前じゃ。この者はこのアルカディアから落ちてきたのじゃよ」
ラヒト「わ、我々は!スカイドラゴン様達が全滅したとは思っておりません!地上に脱出した方もいると、信じておりました!それが目の前に現れたのです。きっと、ご両親も…」
テツ「黙れ!!」
テツが一括する。
テツ「このソラが、どんな想いでここに来たか分かるか?10年前といやぁまだ3歳だぜ。それが自分の素性を知って、両親に会いたい一心で何年もかけてここまでやっとこさ来たんだ。それをてめぇ、簡単に滅んだとか言いやがって…。お前、さっき罰を受けるとか何とか言ってやがったな。今叩っ斬ってやるから覚悟しろ」
テツは剣を抜いた。
止める者は誰もいない。
ソラも俯き黙ってしまっている。
ティアはそんなソラに寄り添っている。
ラヒト「あ、あ、も、申し訳…」
「待ちなさい!!」
突然、後ろから女性の声がした。
入ってきた道から、
新たに二人立っている。
テツ「あ?!なんだてめー」
女性「なんだとは何だ?お前達と会うのは二度目だ」
「「「「ん??」」」」
女性の顔は確かに見覚えがある、
雰囲気もどこかで会ったような感じもした。
キノ「あんたレイラかい?」
「「「「あ、」」」」
レイラ「そうだ」
オト「そんな髪だったか?」
レイラの髪は、地上では黒髪であった筈だが、
今は薄い茶色がかった銀髪だ。
レイラ「そうか、今は龍人だから分からんか、改めて名乗ろう。私はレイラ、レイラ・ソイルドラゴンだ」
つづく




