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天空のソフィア  作者: 髪白悠
第一部 ソラの旅編
36/39

第三部アルカディア編 第三十六話 さてアルカディア

 半透明の巨大な大木。

 世界樹を通ってやってきたそこは、

 石造りの部屋だった。

 大きなその部屋は、

 まるでダンジョンのボス部屋のようだった。

 ボス部屋と違うのは、

 高窓がいくつもあり、出入り口が空いている所だった。


 テツ「ここがアルカディアなのか?」


 ティア「はい、そのはずです」


 ソラ「行こうか」


 ソラが先に行こうと皆の先頭を歩き出した時。


 にゃん吉「ん?ソラよ何故その姿に?」


 テツ「やる気まんまんか?」


 ソラ「ん?何が?」


 サキオ「龍人はいつ見ても綺麗でやんすね」


 ソラ「へ?」


 ソラは思わず自分の髪を掴んで確認してみる。


 ソラ「あれ?なんで??」


 ソラは意識する事なく、

 龍人になっていた。


 ソラ「ん……」


 にゃん吉「どうしたのじゃ?」


 ソラ「あれ?戻れない…」


 ティア「それは当然では?伝承によると、龍人はアルカディアの外に出ると人間になるとあります。という事は…」


 サキオ「アルカディアだと龍人に戻るって事でやんすね」


「「「「あー」」」」


 ソラ「じゃぁ、ソラはここではソフィアなんだね〜」


 にゃん吉「そうなるのぅ」


 ソラ「ふうん、ま、いっか!とにかく行こうよ」


 一行は出入り口を潜り外に出た。


 皆が景色を見て言葉を失う。


 テツ「す、すげぇ…」


 キノ「ついこないだも、こんな衝撃受けたばかりなのにねぇ」


 ソラ「これがほんとに空の上なの?…」


 一行が着いた建物は、高い場所に位置していた。

 そこから見た景色は、


 険しい山々。

 点在する僅かな平地

 見下ろす低い雲

 山の上部分は白く雪化粧され、

 照らす太陽に輝いている。

 そしてよく見ると、

 遺跡らしき物があちこちに見て取れる。


 一行はオロスの大秘境を思い出していた。


 ここはまさに、オロス大秘境を削りとった、

 荘厳で神聖な土地、

 アルカディアの地だった。



 ソラ「えっと、どうする?」


 にゃん吉「どこに向かえば良いんじゃろな」


 テツ「とりあえず道なりじゃね?」


 ………………………………


 一行は山を降りる。

 だいぶ降りたかと思う辺り、

 やっと平地になって来た。


 すると、石造りの建物が見えて来た。


 テツ「人がいるのか?」


 進んでいくと、

 地面はいつのまにか石畳の道になっていて、

 建物も増えたが、

 廃墟ばかりで人の気配が無い。


 にゃん吉「ふぅむ。この辺りには誰もいないようじやな」


 ソラ「どこにも誰も居なかったらどうしよ…」


 サキオ「ソラさん…」


 キノ「誰も居ないって事は無いんじゃないかねぇ、あのレイラやフレイちゃんの事もあるしねぇ」


 ティア「精霊様に聞いてみましょう」


 ソラ「えっティアは精霊とお話できるの?」


 ティア「はい、何となくですけどね。マナを通して意思疎通みたいな感覚で、聞く事はできます」


 テツ「やってみてくれよ」


 ティア「では、みなさんお静かに」


 ティアは目を瞑る


 すると、どこからともなく小さな指先程度の大きさの光の玉が集まって来た。


 5個ほどの玉が、しばらくティアの周りを飛び回っていたかと思うと、

 唐突にどこかに飛んで行ってしまった。


 ティアは目を開ける。


 ティア「人間、居るそうですよ。行きましょうか」


 ソラ「そうか、居るんだ、良かったぁ」


 サキオ「良かったでやんすよ。」


 テツ「ティアって凄いんだな」


 ティア「凄いのは私じゃなくて、精霊様の方ですよ」

 

 そんなティアの案内で、

 また暫く進む。


 するとまた廃墟が並ぶ場所に辿り着く。

 更に進むと、


 居た!


 アルカディアにきて初めて会う、

 アルカディアの住人。


 地上の人々とは違う、

 白っぽい民族衣装のような、

 特徴的な衣服に身を包んでいる。

 歳は40代半ばくらい、

 背丈はサキオほどだろうか。

 腰には短剣を携えている。


 精悍というには程遠い顔立ちで、

 表情もどこか無気力な印象を受けたが、

 目の奥に強い意志なような物を感じさせる、

 目の光があった。


 住人はソラ達一行に気付くと、

 自ら近寄って来た。


 住人「こんにちは」


 テツ「よう、こんちは」


 サキオ「こんにちはでやんす」


 にゃん吉「こんにちは、ワシらは先程地上より来たばかりなのじゃが、この地はよく分からんでの、ちょいと尋ねても宜しいか」


 住人「おお、地上から。それは珍しい。たいした事は答えらないかも知れないが、何でも聞いてください」


 にゃん吉「ありがたい」


 ソラ「あ、あの、スカイドラゴンって知ってます?」


 住人「スカイドラゴン?さぁ、聞いた事無いですなぁ、この地、アルカディアは、今はフレアドラゴン様が総ておられます」 


 にゃん吉「ん?…」


 にゃん吉は違和感を覚えた。

 ソラはただスカイドラゴンは知っているかと聞いた。

 その答えが、"今はフレアドラゴンが総ている"だ。

 何故、今総ている者を答える必要がある?

 それは、以前スカイドラゴンが総ていたと知っているからだ。

 では何故、スカイドラゴンを知らないと答えたのか?


 にゃん吉 ——何か訳がありそうじゃの……——


 住人「私はラヒトと申します、ここで話すのも何でしょう。お疲れでしょうし、良ければ我が家でゆっくりとしていって下さい。」


 キノとティアが何やら目配せし合った。

 そしてにゃん吉に耳打ちをする


 キノ「にゃん吉さんや…」


 にゃん吉「うむ、分かっておる」


 ソラ「あたしはソラ」


 テツ「俺はテツだ」


 サキオ「サキオでやんす」


 オト「オトという」


 にゃん吉「ワシはオーズベルトじゃ」


 シロ「シロだ」


 キノ「キノという者さ」


 ティア「ティアと申します」


 それぞれに名乗りラヒトと名乗った住人に着いて行くことにした。


 ラヒト「ティア様、貴方はもしかして…」


 ティア「ふふふ、お察しの通りハイエルフです」


 ラヒト「おお、やはりそうでしたか、ハイエルフの方にお会い出来るとは、至極光栄の至です」


 ティア「ふふ、大袈裟です」


 テツ「ティアって、もしかしてすげーやつなのか?」


「「「「…………はぁ…」」」」


 全員がため息つく


 ティアだけが、楽しそうに笑っていた。

 

 

 

 つづく


 

 

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