第三十一話 新たな種族
翌朝。
にゃん吉「さてどうするかの」
キノ「そうさねぇ、あまり分散するのも、何かあった時に危険だからねぇ」
ソラ「ソラは爺ちゃんと一緒だね」
シロ「我は我が番と一緒だな」
サキオ「あっしもソラさんと一緒が」
ゴチッ
サキオ「痛てーでやんす!!」
キノ「バカ、あんたはうちらと一緒だよ!」
サキオ「しゅん…」
オト「そうだな、ソラ、シロ、にゃん吉さんの3人、そんであとは残り4人の2グループが妥当だろ」
テツ「そんじゃ行きますか」
にゃん吉「うむ、何かあれば上空に火魔法を打ち上げよ。それを合図としよう」
それぞれのグループは聖杯のモニュメントから、
反対方向に向かって進み、探索を始めた。
ソラ「手掛かりあるかなぁ、何も無かったらこの後どうする?」
にゃん吉「むぅ、当てが無くなってしまうのう」
ソラ「そもそもさぁ、ここに世界樹があるんだったら、アルカディアもこの辺に飛んでなきゃダメじゃない?」
にゃん吉「たしかにそうじゃが、手掛かりを探してみんと、なんとも言えんぞ」
ソラ「シロはさぁ世界樹見た事ないの?」
シロ「それはどんな食べ物だ?」
ソラ「ふふふ、食べ物じゃないよ、すごく大きな木」
シロ「森にある木々も大きいぞ」
ソラ「んーん、森の木も大きいけど、もっとすごーーく大きい木。アルカディアに届くくらいの」
シロ「む、そうか、そんな木があるのか」
にゃん吉「いやあるか分からんのじゃよ、お主は見た事……無いようじゃな」
ソラ「あれぇ、もう端っこかぁ、外に出て来ちゃったねぇ」
にゃん吉「では打ち合わせ通り、右回りして、次の通路から入るぞ」
ソラ「あ!爺ちゃんあれ!!」
どーーーん!
にゃん吉「火魔法じゃ!何かあったようじゃ!行くのじゃ!」
………………………………
サキオ「ソラさんと離れちゃったでやんす」
テツ「ほんの少しの時間じゃねーか、永遠のお別れじゃあるめぇし」
サキオ「永遠に近いでやんすよ」
オト「おいサキオ、しゃんとしろ」
キノ「まったく、こんなにご執心になるとはねぇ」
テツ「いつからなんだ?」
キノ「ほとんど初対面さね」
オト「最初は冗談かと思ったらよ、こいつまじでやんの。笑っちまうぜまったく」
サキオ「だって、ソラさんまじで美しかったでやんす。あ、普段も綺麗でやんすけど、ああいうのが可憐なんだなぁって、初めて想ったでやんすよ」
テツ「まぁ小憎たらしいが、確かに可愛いと思うぜ」
オト「テツが言うといやらしいな」
サキオ「ソラさんを汚さないで欲しいでやんすね」
テツ「なんでそうなるんだよ!」
キノ「あっははは!」
オト「おっと、もう端っこか。」
テツ「なんか催してきたな。悪い!ちょいと用を足してくる」
サキオ「しょうがないでやんすね、着いて行くでやんす」
テツ「一人で大丈夫だって」
オト「バカやろう油断すんじゃねぇよ、用足してる間は無防備だろうが」
キノ「違いないねぇ、待ってるからさっさと行ってきちまいな」
テツとサキオは小走りで森の方へと向かった。
テツ「この辺で良いかな、あんまし見ないでくれよ」
サキオ「しょうもないモノモノ見ても嬉しくないっすよ」
テツ「ふぅ…」
と、その時だった。
ヒュッ
と風を切って何かが飛んでくる。
サキオ「ぐあっ痛ぇーでやんす!」
サキオの右肩に矢が刺さった。
テツ「あ!サキオ!大丈夫か!誰だ!くそっ早く全部出ろ!」
テツはまだ手が離せない。
サキオ「こ、これは!?矢!?痛ててでやんすよ」
テツ「お、おいサキオ、もちょっと待て、い、今出し切るから、くそっまだ出んのかよ」
テツはまだまだ手が離せない。
テツ「くそっ誰だ一体!姿を見せろ卑怯者!あ、やっぱり嘘!まだ出るまで出てくんな!」
サキオ「何言ってるでやんすか、火魔法打つでやんすよ」
テツ「俺はまだ手が離せねぇ、サキオ打てるか!?」
ヒュッとまた飛んでくる、
グサッ
今度はサキオの右足、太腿に矢が刺さる。
サキオ「痛ぇーー!!でやんす!」
サキオは片膝をつく
テツ「あー!!サキオ!!くっそー、姿を見せろ卑怯者ーーー!!」
「森を汚してくれたな。次で殺す」
声がした辺りを見ると、
木の影から矢がサキオに向けられてるのが見えた。
射手は影で見えない。
サキオ「くっ、これまででやんすか…ソラさん…」
ヒュッ
矢がサキオに放たれた。
バキッ
テツ「待たせたな」
矢はテツの剣で落とされていた
サキオ「カッコつけてもカッコ悪いでやんすよ、けど助かりやんした、時間稼ぎよろしくでやんす」
テツ「任せとけ、ふぅ、スッキリしたぜ」
「くっ矢を剣で落とすとは」
テツ「出てこいこの野郎、無防備な時に仲間をやりやがって」
サキオ「エニエール・エネール・エクリクス、火の神フォティアよ、汝の力を我が力に…」
「くっ森を焼く気か!させんぞ!」
ヒュッヒュッ
バキバキッ
テツ「無駄だぜ」
2本放たれた矢はテツによって簡単に無力化された
サキオ「へへ、こういう時は心強いでやんすね」
サキオは手を真上に向けた。
サキオ「≪イグニシオン≫!」
………………………………
キノ「ん?何かあったようだねぇ」
オト「あ!まじかよ、行きますよ!」
2人はサキオの上げた火魔法に向かって全力で走り出す。
オト「サキオ!大丈夫か!」
キノ「一体誰に!?」
サキオ「痛てててでやんすよ…」
「くっ仲間か」
ピューーーー!!
襲撃者の口笛が響く。
テツ「おい!オト、敵の仲間が来るぞ!」
オト「分かってらい」
ジリジリと後ろに下がるテツとオト。
キノもサキオを引っ張って後ろに下がる。
森から距離を取り石畳みがある辺りまで来た時、
森から何人もの人影が現れた。
キノ「あれは、エルフだねぇ」
エルフは全員で10人ほど。
テツ、オト、キノ、サキオを包囲するように広がって近寄ってくる。
全員弓矢を構えている。
オト「囲まれるぜ」
テツ「ああ、でもあとちょっとしたら、頼りになる可愛子ちゃんが来るぜ」
………………………………
ソラ達3人は走しる。
ソラ「あの火魔法なんか遠くない!?」
にゃん吉「どういう事じゃ?何か手掛かりでも見つけたのか?」
ソラ「あーもー、この地面の溝が走りずらい!」
にゃん吉「ソラ!わしに乗れ!その方が速そうじゃ」
ソラ「乗っても平気なの?」
にゃん吉「落ちるなよ」
ソラ「うん!じゃぁ乗るよ!」
ソラはジャンプしてにゃん吉に飛び乗る。
ソラ「うわっ揺れる!あ、でももふもふ」
にゃん吉「お主は全く……シロ行くぞ!」
シロ「うむっ我が番よ!」
ソラを乗せたにゃん吉とシロは更にスピードアップする。
ソラ「速〜い!凄ーい!」
にゃん吉「むっソラよ!気を引き締めるのじゃ!様子がおかしい!」
ソラ「えっ!?」
………………………………
エルフ「お前達は何者だ?!ここで何をしてる!森を汚す者どもめ!」
テツ「お前達こそ何で攻撃してきた!卑怯者め!」
エルフ「誇り高き我らを卑怯者呼ばわりするか!許さんぞ!皆、一斉に放て!」
テツ、オト、キノ、サキオの4人に向け、
一斉に矢が放たれた。
ソラ「とりゃああぁぁあーー!!雷光石火!百撃!!」
正に電光石火の速さで、
ソラの刀によって全ての矢が叩き落とされた。
エルフ「なっなに!?」
テツ「派手な登場だな、まぁ待ってたぜ」
ソラ「何なのあんた達!」
にゃん吉「エルフか!」
エルフ「白虎だと!?しかも2体も」
エルフ「貴様ら、どんな卑劣な手を持って白虎を操っているのか!!許さんぞ!!」
ソラ「は?!操ってる訳ないでしょ!家族よ!か、ぞ、く!」
キノ「あ、ねぇサキオ、サキオ!」
オト「ん?サキオ?」
キノ「意識がないよ」
ソラ「えっサキオさん?」
サキオの矢は既に抜かれ、キノが回復魔法をかけていたが、サキオは意識を失っていた。
エルフ「ふふふ、無駄だ、回復魔法など効かん」
オト「毒か!」
≪ドクンッ≫
テツ「なんて卑怯な奴らだ」
≪ドクンッ≫
キノ「サキオ!しっかりおし!」
ソラ「よくも、許さない…」
ザワッ
ソラの雰囲気が変わる。
ソラを中心に風が周り、
髪を巻き上げる。
巻き上げられた髪は黒髪から青身がかった銀髪へと変化し、瞳は燃える焔の色へと変わった。
エルフ「えっ!?あ、あ、あ!!」
ソラの龍人化は今に始まった事ではないが、
明らかに今回は違っている。
威圧感が半端ではなかった。
にゃん吉「なんと!これは…」
サキオ「あ、ソラさんでやんす、あ、あっしは、大、丈夫で、やん、す……がくっ」
一瞬意識を戻したサキオが、ソラに向かって話し、
そして…
キノ「サキオ!」
オト「サキオ!おい死ぬな!サキオーー!」
にゃん吉「し、死んだのか……!」
テツ「ま、まじかよ、こんなあっさり」
≪パリンッ≫
ソラ「ううう、ああああぁぁああ!!!」
ソラが叫ぶ!
怒りの波動が辺りを更に強烈に威圧する。
にゃん吉「ソラ!!」
ソラ「許さない…豪剣…」
エルフ達「「「「「ははーー」」」」」
エルフ達は一斉に平伏していた。
「「「「「?!」」」」」
エルフ「龍人様一行と気付かず、申し訳ない!」
ソラ「な!?許される訳ないでしょー!!!」
ソラの目には涙が滲んでいる。
キノ「ソラ!!サキオは死んでないよ!まだ生きてる!早く解毒しておくれな!」
ソラ「へ?」
テツ「あ?俺ぁてっきりポックリ逝っちまったかと…良かったぜ」
へなへなとその場に座り込むソラ。
オト「テメーエルフこの野郎!早く解毒しろってんだよ!」
テツ「そうだ!やらないとぶった斬るぞ!」
つづく




