第三十話 いざ聖域へ
長老ラスカ「びゃ、白虎様!そのお姿は一体!?」
夕方、ソラとにゃん吉、人の姿のシロの3人で長老に面会していた。
にゃん吉「うむ、そなたに貰った宝のおかげじゃ」
長老ラスカ「おお!そうじゃった!思い出しましたぞ!あの箱には時間魔法が封じ込まれておったのですじゃ!」
にゃん吉「いや今思い出すんかーい」
………………………………
長老ラスカ「うおっほん、大変失礼しましたじゃ、それで、もうお発ちになられますのか?」
にゃん吉「うむ、明日の朝発とうと思う。そこでお主に聞きたい事があるんじゃが」
長老ラスカ「この老体に分かる事であれば、何なりとお答えいたしましょう」
にゃん吉「うむ、そなたは聖域を知っておるか?」
長老ラスカ「聖域…エイジャの聖域ですかな?」
にゃん吉「恐らくそうじゃ。どこにあるか分かるかの」
長老ラスカ「うーむ、たしか大秘境の近くだったと記憶しておりますじゃ」
シロ「む、大秘境の近くか、ならば心当たりがあるぞ」
ソラ「シロ場所分かるの?」
シロ「うむ、確信は無いが、恐らく」
にゃん吉「ならば話は早いの。長老、世話になった。明日までに必要な物を揃えて、発つとする」
長老ラスカ「恐れ多いでございます。一族救われた故、何なりと申し付け下さい。旅のご無事をお祈り申しております」
……………………………………
翌朝。
テツ「タマ元気でな!とーちゃんかーちゃん大事にしろよ!」
にゃん吉「長老世話になった」
ソラ「タマちゃん長老さんハリーさんも元気でね」
それぞれに別れの言葉を交わし、
一行は再びオロス大秘境へ向かう。
行先はオロスの先にあるというエイジャの聖域。
にゃん吉は大きな白虎の姿である。
シロも白虎の姿になり、2体寄り添って歩いている。
ソラ「何だかこうやってみると、ほんとに番番だね」
サキオ「お似合いでやんす」
にゃん吉「むぅ、わしは元は人間じゃぞ」
シロ「今は我と同族だ。問題なかろう。」
ソラ「そうだよ、何なら二人とも人間の姿になったらいいじゃん、シロ美人だし爺ちゃんとお似合いだよ」
シロ「おにあいとは何だ?鬼の仲間か?」
ソラ「あははは!やっぱりシロは面白いね」
テツ「それはそうとよ、にゃん吉さんも人間にならないと、転移門入れないんじゃないか?」
にゃん吉「そうなんじゃよ。なんとか転移門に着くまでに化けなければならんのじゃ。シロよ、聞くがお主の見立てではワシは充分に化けられるのじゃな?」
シロ「そうだ。我が番からは成熟した者の気配を感じる。人に化ける事くらい雑作もない筈だ」
にゃん吉「そういえば、ワシがこの身体になってから馴染むまで、魔法は使えんかったからの、馴染めばできるようになるかもしれん」
ソラ「そう言えばそんな事言ってたね」
テツ「んじゃま、馴染めるようにゆっくり行きますかね」
サキオ「それにしてもでやんすよ、あのレイラって言う女の人は何者だったでやんすかねぇ」
テツ「たしかに。なんだかいろいろ知ってる風だったしなぁ」
オト「なんかこバカにされてるみたいでイラつくやつだったぜ」
ソラ「ほんとだよぉ、いちいちかんに触るって言うかさぁ、最後勝手にどっか行っちゃうし」
キノ「どっかに行ったと言えば、フレイちゃんもどこに行ったんだろうねぇ」
サキオ「やんすねぇ…」
「「「「「むぅ……」」」」」
ソラ「あっーーー!!思い出した!!」
「「「「うわっびっくりした!」」」」
にゃん吉「なんじゃいったい!?びっくりしたぞい」
ソラ「ソラ、フレイちゃんに言われたの思い出したんだよ」
サキオ「なにをでやんす?」
ソラ「フレイちゃん、久々にソラの顔見た時、ソラの事スカイドラゴンって言ったんだ」
「「「!!」」」
にゃん吉「にゃんだと!?あれ」
サキオ「にゃんだとって、おもしろいでやんすね。てか、スカイドラゴンでやんすか!?」
ソラ「うん…」
にゃん吉「そうか、スカイドラゴン」
サキオ「たしかスカイドラゴンは序列一位でやんしたね」
テツ「お、一位なんてすげーじゃねーか」
ソラ「序列とかよくわかんないな」
キノ「フレイちゃんはどうしてソラがスカイドラゴンだって思ったんだろうねぇ、それに…」
「「「それに?」」」
キノ「その序列一位の子供が落ちて来たんだろ?10年前に何があったんだろうねぇ、あたしゃそっちの方が気になるねぇ」
テツ「10年前…か……」
……………………………………
里を出てから5日。
ゆっくり目で来た一行は、
転移門の巨木の前に来ていた。
ソラ「爺ちゃん通れそう?」
にゃん吉「どうかのぅ」
サキオ「ネコってけっこう狭い所でも通れるでやんすよ」
オト「たしかにそうだな」
にゃん吉「ネコと一緒にするでない」
テツ「でも通れなきゃ進めないからな。チャレンジしてみろよ」
シロ「我が番よ、まだ人型にはなれんのか?」
にゃん吉「人型になれるイメージが沸かんのじゃ。」
シロ「ならば小さくなれば良い。人型よりは難しくない筈だ」
「「「「なるほどぉ」」」」
にゃん吉「たしかにそれならばなんとかなりそうな気もしなくもないが、どうすれば良いんじゃ?」
シロ「良く見ろ」
そういうとシロはみるみる小さくなった。
「「「「おおぉぉ」」」」
ソラ「シロ凄〜い」
ソラは小さくなったシロを抱っこして、
頭を撫でる
「ゴロゴロゴロゴロ」
シロが喉を鳴らす
ソラ「シロかわいい〜」頬ずり頬ずり
にゃん吉「見ても分からんわい、まぁしかし、イメージは明確になったな。どれ…」
にゃん吉は目を閉じた。
にゃん吉「むむむ…」
すると、にゃん吉も小さく変化していく。
「「「「おおぉぉ」」」」
大きくなる前のデブ猫サイズにまで変化した。
シロ「さすがは我が番だ」
シロはソラの腕からトンっと降り、
にゃん吉に寄り添いゴロゴロと喉を鳴らす。
サキオ「ネコが二匹になったでやんすね」
テツ「んじゃ、さっさと転移門潜ろうぜ」
………………………………
転移門を潜った先の丘を登る。
頂上からの景色は相変わらずだ。
テツ「聖域ってこっから見えるのか?」
テツは言いながら振り返ると、
目の前に元の大きなサイズになったにゃん吉の顔があった。
テツ「おわっ!びっくりした!!」
ソラ「ぶっふふふ」
サキオ「騒がしいでやんすねぇ」
キノ「この男は喋らないと死んじまうのさ」
オト「ちげぇねぇな」
テツ「い、今のはしょうがないだろ!」
ソラ「普段もずっと喋ってるじゃん、あ、そうだ、雇い主の要望でキャラ設定できるんだっけ」
テツ「そうだぜ、俺の演技力なめんなよ」
テツがドヤ顔する。
サキオ「この顔イラッとするでやんすね」
ソラ「だよね」
テツ「ぐぬぬぬ」
キノ「それで?シロ。どっちに行ったらいいんだい?」
シロは目線を動かす。
シロ「あっちの方角だ」
オト「あっちの方角というと、確かレイラとかいう女とフレイが去って行った方角じゃないか?」
ソラ「そういえば」
にゃん吉「とにかく行ってみよう」
…………………………
シロの案内で一行は進む。
とっくにオロス大秘境からは離れ、
行手は再び大森林の中だった。
そして半日も進んだだろうか、
唐突に森が途切れた。
にゃん吉「ん?なんだかスポットのようじゃな」
シロ「我が番よ、もっと先を見よ」
ソラ「あれは、遺跡?」
サキオ「また遺跡みたいのがあるでやんすね」
テツ「行こうぜ」
広く開けた平地に、
それはあった。
近寄るにつれ、
石畳みの地面が現れ、
緑が薄れていく。
遺跡の入り口と思われる所はシンと静まり、
神聖な雰囲気が漂っていた。
シロ「ここだ」
にゃん吉「何か独特な雰囲気を感じるのぉ」
ソラ「まさに聖域!って感じじゃない?」
サキオ「なんだか別の世界に来たみたいでやんすね」
テツ「とにかく入ってみようぜ」
にゃん吉「ソラよ、おそらくじゃが、ここに世界樹への手掛かりがある筈じゃ、注意深く見るんじゃぞ」
サキオ「あっしらも探すでやんすよ」
一行一行は遺跡の中へと進む。
キノ「なんかおかしな造りだねぇ」
サキオ「やんすねぇなんか地面に側溝が多いでやんすね」
オト「雨季の時の雨対策か?それに遺跡にしちゃあっちのオロスより傷んでねぇな」
ソラ「それにしてもこの溝多すぎじゃない?いちいち跨ぐの不便だね」
にゃん吉「そもそもここに人は住んでおったのか?」
テツ「壁とか柱はあるが、住んでたようには見えないな」
サキオ「この道も道でやんすか?」
にゃん吉「道というより通路じゃな。」
ソラ「すごくまっすぐだね。あっ見て!」
サキオ「ありゃなんでやんすか?聖杯?」
ソラの指差す、一行が進む先には、
石でできた大きな聖杯のような形の彫刻があった。
ソラ「大きい〜、なんか変なの〜」
サキオ「良く見るでやんすよ、今来た通路みたいなのが、ここからあっちこっちに伸びてるでやんすよ」
にゃん吉「ふむ、どうやらここがこの遺跡の中心らしいの」
オト「ここまで来るのに、途中でなんかあったか?」
キノ「手掛かりみたいなのは無かったねぇ」
にゃん吉「ソラよ、手記を見るんじゃ何か記されておるかも知れん」
ソラ「あ!そっか、忘れてたよ」
王都の図書室で見つけた手記。
相当に古い手帳を、
ソラは皆の前でそっと開く。
キノ「この手帳は?なんだい?」
にゃん吉「冒険家アベラ・ペリティアという者の手帳じゃ。だいぶ古いが手記が記されておる」
ペラペラと丁寧にめくって見るが、
古すぎてほとんど読めないページばかり。
ソラ「うーん、やっぱり読めないなぁ」
にゃん吉「レイラが聖域と言い、何か仄めかしていたからの、アルカディア行きのヒントでもあるか、もしくは世界樹その物があるかもと思っておったが…」
ソラ「ソラも期待してたよ」
サキオ「諦めるのは早いでやんすよ、手分けしてこの遺跡を探索しやしょう」
オト「だが、もう日が暮れるぜ」
にゃん吉「うむ、今日はここで野営して、明日探索するのじゃ」
つづく




