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天空のソフィア  作者: 髪白悠
第一部 ソラの旅編
24/39

第二十四話 獣人の里

 シロを加えた一行は、

 途中で魔物などと遭遇しながらも、

 この数日で2箇所の転移門を抜け、

 いよいよ獣人の里の近くにまで来ていた。


 タマ「もう直ぐ里です。」


 シロ「転移門は初めて潜ったが、便利なものだな。」


 サキオ「シロさん、この辺りは大森林の入り口からどれくらい入った所でやんすか?」


 シロ「我はシロサンではない、シロだ。人間の居るエイジャタウンから、人間の足ならば六月(むつき)ほどの所だと思うぞ」


 サキオ「う、敬称なんでやんすけどね。そんなに奥に来てるでやんすか」


 オト「転移門を抜ける度に魔物が強力になって来てるからな」


 テツ「この面子なら楽勝だろ」


 にゃん吉「確かに、ここに居るのは皆S級以上じゃからな」


 タマ「見えて来ました。あそこが里です」


 タマの指差す所に、

 小さな小屋が建っている。

 そこから道が出来ていて、

 道の奥にはいくつかの建物が見えていた。


 キノ「ずいぶん開けっぴろげだねぇ、魔物が入り放題じゃないか」


 タマ「ここら辺には魔物は来れません。先ほど結界を超えて来たので、もう大丈夫の筈です」


 すると里の小屋の方から声がかかる。


「タマ!タマじゃないか!戻ったのか!!」


 タマ「ハリーさん!只今戻りました!」


 ハリーと呼ばれた獣人が走り寄ってくる

 ハリーは小柄だが、声から察するに男なのだろう。

 そして髪の一本一本が、針のようだ。


 ハリー「タマ、よくぞ無事で。こちらの方々は?」


 タマ「白虎様とその仲間の方達です」


 ハリー「なんと、白虎様?!本当に見つけて来たのか!」


 ハリーはにゃん吉を抱いてるシロを見るなり平伏してしまった。

 ちなみににゃん吉はシロの胸にずっと抱っこされている。


 ハリー「大変失礼しました。白虎様とは気付かずに」


 ……………………………………


 ソラ達は、長老の屋敷に通されていた。


 現在、応接室だろうか、囲炉裏のある広い部屋で長老が来るのを待っている。


 テツ「それにしても、誰も居なくないか?」


 そう、案内されている時、

 里の中も長老の屋敷も、

 他の獣人が見当たらない。

 今もハリーが長老を呼びに行っている。


 キノ「妙だねぇ」


 タマ「本当は大勢いるんです。みんな倒れてしまって…だからまだ元気な私が白虎様を探しに出たんです。私が出た時にはまだ元気な人がいたんです…」


 タマはどこかそわそわしている。


 ソラ「タマちゃんのお父さんとお母さんは?」


 ソラが聞いた途端にタマは泣き出した。


 タマ「家で寝てる筈です…」


「「「「 !! 」」」」


 ソラ「な?!何してるの?!早く帰らなきゃ!心配してるよ!病気ならタマちゃんだって心配でしょ?!」


 テツ「タマ!気付いてやれなくてすまん!直ぐに行こう!」


 テツはそう言ってタマの手を取った。

 しかしタマは動こうとしない。


 タマ「私が案内人なのです…白虎様を長老に引き合わせるまでは帰れません…ぐす」


 テツ「馬鹿野郎!!年寄りなんて待ってられるか!!」


 テツが凄い剣幕で怒りだした。

 一同驚いている。


 テツ「両親が心配なんだろ?!早く帰って白虎を見つけたって報告してやれ!何よりもそれが大事だろ!」


 タマ「はい、うわーん」


 タマは堪らず号泣してしまった。

 小さいながらも任務を全うしようと、

 健気にも私事を後回しにしていたようだ。


 テツ「俺はこの子を連れてく、後は任せた」


 テツはそう言ってタマを抱き抱えて、凄い速さで出て行ってしまった。


 サキオ「ちょっ速でやんすねぇ」


 にゃん吉「良い所もあるもんじゃな」


 ソラ「……」


「さて、その年寄りがお待たせして申し訳ありません」


「「「「 ! 」」」」


 一同、走り去っていったテツの方を見ていて気が付かなかった。

 いつ来たのか、ハリーに付き添われ長老が現れていた。


 長老は、背中に黒い羽を持ち、

 鼻が長い。

 しかし高齢のせいか長い鼻は垂れている。

 

 長老「白虎様、わざわざお出向きいただきありがとうございます。私がここの長老のラスカと申す者でございます。」


 ラスカと名乗った獣人は、

 部屋の隅で話し出している。

 話すには少々距離があるように思える。


 ラスカ「このような場所から失礼致します。私もどうやら感染してしまったようなのです。皆様は白虎様の加護がある事とは思いますが、これ以上お側に近寄るのは憚れます故、何卒ご容赦頂きたく存じます」


 ハリー「長老…」


 ラスカ「うむ、大丈夫じゃ。お主もわしから離れよ」


 ハリー「いえ、白虎様に来て頂いたからには、もう安心ですので、このままで構いません」


 ラスカ「うむ、しかし…」

 

 ラスカはにゃん吉を見やり、

 不安気な顔を隠さずに言った。


 ラスカ「失礼ながら、お見受けしたところ、白虎様はまだ幼生体でいらっしゃるようですが」


 にゃん吉「ん?わしか?」


 ラスカは少々驚いた様子を見せた。


 ソラ「あ、えっとそれは…」


 シロ「しっ良いのだ」


 シロはラスカには聞こえない小声でソラの発言を制した。


 長老はシロが人の姿でいる為に、シロが白虎である事を知らない。

 今この場に白虎の姿をしているのはにゃん吉だけ。

 故に長老はにゃん吉に話しかけている。

 ソラが勘違いを正そうとしたが、

 シロがそれを止めたのだった。


 ラスカ「?」


 キノ「ちょいと発言しても良いかい?」


 ラスカ「何でしょう」


 キノ「聞きたい事はいろいろあるさね。でも先ずは、ソラ、自己紹介からだねぇ」


 ソラ「あ、そうか。あたしはソラ」


 シロ「我はシロである。」


 キノ「キノと申します」


 オト「オトだ」


 サキオ「サキオでやんす。んで、さっきタマちゃんを連れて行ったのがテツって言うでやんす」


 ラスカ「うむ、よろしくお願い申す」


 キノ「よろしくさね。それで長老さん、あんたらはどうして白虎様と呼ぶんだい?確か白虎は…」


 キノはサキオに視線を投げかける。


 サキオ「そうでやんす。白虎は悪魔の一種でやんすよ、知らないでやんすか?」


 ラスカ「存じております。白虎様はその昔、まだわしが幼少の頃に、この里をお救い下さったのです。それ以来この里では白虎様は守り神として崇めさせて頂いている次第です」


 ソラ「シロが助けたの?」


 ソラは小声でシロに尋ねた。


 シロ「そうだ。ふむ、あの時の烏の小僧か。長老になっていたとはな」


 サキオ「なるほどでやんすね。まぁ悪魔でも、神に使命を与えられる悪魔もいるでやんすからね。白虎はそのうちの悪魔種の一種でやんすから」


 ソラ「へぇそうなんだ。」


 サキオ「神の使いは多いでやんすよ。銀狼とか、白鷲とか」


 キノ「それで長老さん、あたいらはタマちゃんに連れて来られた訳だけどねぇ、やっぱり流行り病の件で良かったのかねぇ」


 ラスカ「左様でございます。このままでは獣人一族が滅んでしまいます。本来ならばきちんと使者を立てて白虎様をお迎えに上がるところなのですが、まともに動ける者が僅かになってしまい、不本意ながらもまだ幼いタマに探させる事になってしまいました。失礼は承知の上であります。どうか白虎様、我らをお助け下さい。」


 にゃん吉「ふむ、助ける事には吝かではないが、先ずはどんな流行り病なのか知らなければならないのお」


 ラスカ「では!」


 シロ「助けると申しておる」


 ラスカ「ありがとうございます」


 ハリー「良かった…良かった……」

 

 キノ「長老さん、あんたさっき幼生体というのを気にしてたみたいだけど、良かったのかい?」


 ラスカ「はい。このお姿で言葉を解してる時点で、気にならなくなりましたわい」


 ……………………………………


 一行は長老に詳しく流行り病の経緯を聞き、

 今は里の様子を見て廻っている。


 長老の話しでは、

 この病いが流行り出したのは2ヶ月ほど前で、

 次々と急に倒れる者が続出したらしい。

 今はまだ死者は居ないが、

 殆どが寝たきりになってしまっているそうだ。


 にゃん吉「シロ、助けるなどと断言しおって、わしはこんな病いは知らんぞ」


 シロ「我が番よ、案ずるな。ここらに漂う匂いに心当たりがある。先ずは原因を無くしてから治療だ」


 にゃん吉「原因を解っておるのか?」


 シロ「うむ。まず間違いないだろう。病に耽っている獣人を見て確認した。ならば、早速行くのだ」


 にゃん吉「うむ。」


 ソラ「原因が解るなら良かったよぉ。ところでシロはさ、どうして自分が白虎だって言わなかったの?」


 シロ「めんどくさいからだ。ここの連中は我を見かける度に白虎様だ何だと騒ぐからな。それもあって我は暫くこの辺りには来ていなかったのだ。」


 ソラ「あー何となく分かる。英雄だ何だと言われるのめんどくさいよねぇ」


 サキオ「めんどくさいでやんすか?あっしなら有頂天でやんすけどねぇ」


 オト「ちげぇねぇな。サキオなら調子に乗りまくりだな。くくくく」


 キノ「ふふふふ」


 タマ「白虎様!」


 後ろから声がかかる。

 タマとテツが向かって来ていた。


 ソラ「タマちゃん!お父さんとお母さんは?大丈夫だった?」


 タマ「はい、でも元気が無くて、どうしたら良いのか分からなくて…」


 シロ「くんくん、タマ、お主だいぶ匂うな」


 タマ「えっ?!洗ってないからかな?ご、ごめんなさい」


 シロ「体臭ではない。恐らくお主の両親の匂いだ。というより、病の匂いだな。」


 ソラ「くんくん、よく分からないなぁ」


 にゃん吉「くんくん、うむ、ちょいとカビのような匂いがするのぉ」


 シロ「うむ、さすがは我が番いだ。それが病いの匂いだ」


 テツ「どれどれ、くんくん、くんくん」


 タマ「あ、あの…」


 キノ「テツ、あんた幼女の匂いを嗅ぐ変態にしか見えないねぇ」


 テツ「ふんがっ?!」


 ソラ「あっははは!変態テツ!あははは!しかも、ふんがって、きゃははは!」


 サキオ「ぷぷぷっ確かに変態でやんすねー」


 オト「わははは!」


 テツ「なんだよ、みんなしてぇ」


 タマ「うふふふ、大丈夫ですよ、タマはテツさんが変態じゃないって知ってますから」


 ソラ「ふふふふ、タマに慰められてやんの。情けなーい、あははは」


 テツ「ぐぬぬぬ」


 シロ「我が番いよ」


 にゃん吉「なんじゃ?」


 シロ「変態とはなんだ?」


 にゃん吉「…」




 


 


 

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