第二十二話 再会
3人組と合流してから何日か経った。
その間、大森林に挑む準備をしたり、
エイジャタウンの見物をしてたりしていた。
それにしてもここ、エイジャタウンは様々な種族がいる。
小さいイタズラ好きな妖精族に、背中に羽根がある鳥人族、ジャイアントかと思うような巨人族もいた。
今やとても大人しいフレイちゃんが簡単に街に受け入れられた理由が分かった。
ソラは準備も終わり、今はエイジャタウンをぶらぶらしていた。
ソラ「この街ずっと居ても飽きないかも」
にゃん吉「うむ、確かに。わしもこうして堂々と喋れるからの、気を使わなくていいわい」
ソラ「そうだね、じゃぁここに住む?ふふふ」
『助けて…』
にゃん吉「ん?」
ソラ「どうかした?」
にゃん吉「今、何か聞こえんかったか?」
ソラ「ん?何が?」
『助けて!』
にゃん吉「ほら、聞こえるじゃろ。助けを求めておる」
ソラ「何も聞こえないよ。爺ちゃんボケた?」
にゃん吉「いや、空耳ちゃうわーい。てかお主には聞こえんのか?」
『白虎様!助けて!お願い!』
にゃん吉「うむ!わしにはハッキリ聞こえる。ソラ、あっちじゃ!行け」
ソラ「行くけど、ボケてないよね」
にゃん吉「ボケとらんわ!良いから行くのじゃ!急げ!」
にゃん吉の剣幕に押されて、
ソラは素早くにゃん吉の指示する方へと向かう。
表通りの裏側に入り人気の無い路地へと入ると。
男が数人、嫌がる小さい子供をどうにかしようとしているところだった。
ソラ「あ、何してるんですか?」
男い「あ!しまった、見つかっちまったじゃねぇか」
男ろ「まだガキじゃねぇか、一緒に売っちまえ」
男は「さっさと片付けろ」
男の一人がソラに向かって来た。
男い「お前も来い!」
ソラは咄嗟に刀を抜いて、
峰打ちで男を無力化した。
バキッ
男い「ぐえ」
ソラ「いきなり何するの!」
男ろ「おい!ただのガキじゃねぇぞ!」
男は「くっ、先生!先生お願いします!」
先生と呼ばれて、
物陰から一人の男が姿を現した。
にゃん吉「むっ彼奴は!」
ソラ「あー!!テツ!見つけた!!」
テツ「ん?誰だお前、なんで俺を知ってる?」
男ろ「先生、知り合いですか?」
テツ「いや知らん」
ソラ「もお!許さないんだから!」
そう言うとソラは見る見る龍人化していった。
テツ「あああ!!お前は?!」
龍人化したソラを見て、テツはやっと相手が誰なのかを理解した。
ソラ「悪人成敗!とおっ!」
ソラはテツに斬りかかる。
既に峰打ちではなかった。
にゃん吉はその間、ソラから離れて攫われそうになっている子供の元に行き、子供を拘束している男を攻撃した。
にゃん吉「風刃!」
にゃん吉の風魔法が男に当たる。
男は「ぎゃっ」
男はその場に倒れた。
残ったあと一人の男は、テツとソラの攻防を見ている。
ソラ「やぁっ!」
テツ「うわっ待て待て待て待て!」
キンッキンッ
ソラが繰り出す剣をテツは後退りながらなんとか捌く。
にゃん吉は子供の拘束を解いた。
子供は獣人族の少女だった。
少女はにゃん吉の姿を見て言った。
少女「あ!白虎様!」
ソラ「ん?白虎様?」
少女の意外な言葉に、ソラに一瞬スキができた。
テツ「貰ったぁ!!」
ソラ「あ!しまっ…!」
電光石火の速さでソラの背後に回ったテツは、
ソラの両脇に手を入れた。
ソラ「えっ?!な?!」
テツ「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ」
ソラ「ひゃっ!あははは!ちょ、やめ、きゃははは!」
ソラは必死に逃れようとするが、
テツの手はそれを許さない。
しっかりとソラの両脇を捕まえて、
指先で絶妙に脇の下をくすぐっている。
ソラ「きゃははは!ひゃめて、ひゃはははっ!」
男ろ「先生何してるんですか!やっちゃって下さい!」
テツ「やだね、相手が悪い。すまんがここで契約終了だ。俺は逃げる。それ、こちょこちょこちょこちょ」
男ろ「なっ?!」
ソラ「ひゃっははは!く、くすぐったい!だめ、苦し、きゃはははは、やめれぇ」
ついにソラの龍人化が解けてしまった。
テツはソラからパッと離れて言った。
テツ「龍人の嬢ちゃん。俺はあんたらと敵対する気はないよ。ただの用心棒だしな。じゃ!」
そう言って何処かに消えて行ってしまった。
ソラは地面にへたり込んで息を切らせている。
ソラ「はぁはぁ、ふ、ふふふ、お腹が痛い…ふふ、許さない…ふふふ…」
にゃん吉「彼奴、あんなキャラじゃったか?」
サキオ「あ!何の騒ぎかと思ったらソラさん!」
そこへ偶然サキオが現れた。
男ろ「テメー!」
男が、へたり込んでいるソラに斬りかかる。
ガキンッ
サキオが男の剣を止めていた。
サキオ「何するでやんす!あっしの大事な人でやんすよ!」
そう言ってサキオが剣を一閃。
男は倒れた。
ソラ「ふ、ふふふ、サキオ、さん、はぁはぁ、ふふふ、ありがと」
サキオ「どしたでやんすか??なんで笑ってるでやんす??」
……………………………………
サキオ「なるほど、で?くすぐられた余韻で笑っていたでやんすね。くっくっく」
ソラ「笑い事じゃないよ。テツめぇ、まだむずむずするよ」
少女「あ、あの…」
助けられた少女は猫の獣人らしい。
ソラ「私はソラ、あなたは大丈夫?怪我はない?」
少女「大丈夫です。あの…白虎様、ですよね?」
にゃん吉「ん、ま、まぁそうじゃな」
少女は頭の耳をピコピコと動かしてにゃん吉に抱きついた。
少女「ほんとに来てくれた!白虎様ありがとう!」
にゃん吉「むぎゅ、これ、苦しいのじゃ」
少女「あ、ごめんなさい」
にゃん吉「やはりお主が助けを求めていたんじゃな」
少女「はい、そうです」
ソラ「ソラには何も聞こえなかったけどね」
少女「あたしには、巫女の力があるとか言って、白虎様と話せる力があるらしいです」
ソラ「へぇ、とりあえずここじゃ何だから、移動しよっか」
ソラ達は猫少女を連れて、
広場に来た。
サキオもついて来ている。
猫少女の名前はタマと言った。
親と一緒ではないのかと尋ねたところ、
タマは一人で森タウンに来ていたと言う。
タマ「あたし、白虎様を探していたんです」
にゃん吉「白虎を?」
ソラ「と言うか、気になってたんだけど、何で白虎様?」
タマ「私の村では、白虎様って、みんながそう呼んでます。森の守り神なんだって」
ソラ「守り神ねぇ」
ソラはにゃん吉を見て呟く。
以前、白虎のシロも言っていたように、
白虎は悪魔の一種だ。
ましてにゃん吉は、中身は爺ちゃんだ。
神とは程遠い。
サキオ「どうして、その白虎様を探してたでやんすか?」
タマ「今、私の村が大変なのです。白虎様に助けて欲しくて探してました。」
サキオ「何が大変でやんすか?」
タマ「みんな、病気で倒れちゃったんです。それでここに来たら白虎様が居ると思ってきたら、怖い人達に襲われて…」
にゃん吉「うむむ、それは災難じゃったな。しかし集落のみんなが倒れたとな?疫病かも知れんな」
ソラ「爺ちゃん治せるの?」
にゃん吉「馬鹿を言うな、どんな疫病かも分からんのに」
タマ「白虎様!お願いします!みんなを助けて!」
にゃん吉「うむむむ」
ソラ「タマちゃん、とりあえず私達は明日から大森林に行くつもりだったの。一緒に行こうか」
タマ「ほんとですか?」
サキオ「獣人族は確か森人って言われてる種族でやんすね。部外者を嫌う種族でやんすよ。」
にゃん吉「この際そんな事言ってられんじゃろ」
ソラ「じゃぁ決まりだね。明日の朝一番で大森林に入ろう!タマちゃん案内してね」
タマの顔が明るくなった。
タマ「ありがとうございます!」
……………………………………
次の日。
ソラ達は大森林前の門前広場に集まっていた。
キノ、オト、サキオ、テツ、タマ、フレイちゃんまでも居る。
ソラ「うん、みんな集まったね、じゃぁ行こうか」
にゃん吉「いや、待て待て待て待て」
ソラ「そうだった!なんでテツが居るんじゃーい!」
テツ「あはっバレたか」
「「「あ!」」」←気付いてなかった人達
ソラ「バレるよ!あまりに自然に居るから錯覚したけど!」
「「「うんうん」」」←錯覚していた人達
ソラ「用心棒退散!ぶっっった斬る!」
ソラは龍人化して刀を抜いた。
テツ「いやいやいやいや、待て待て待て待て!こんな所で一戦交える訳にいかないだろ!周りを見ろよ」
門前広場には様々な種族や冒険者達、一般の者達が大勢いる。
にゃん吉「ソラ抑えるんじゃ、確かにここでお主らが戦ったら他に被害が出そうじゃ、タマも怯えとるぞ」
ソラ「がるるるる…」
言われてソラはなんとか飛びかかるのを堪えたが、
威嚇だけは治らない。
テツ「きょ、凶暴な嬢ちゃんだな…。ひとつ提案を持って来たんだが、聞いてくれよ」
ソラ「聞かない。昨日はよくもくすぐってくれたね!苦しかったんだから!」
テツ「じゃぁ斬った方が良かったか?ありゃ俺の勝ちだ。これで1勝1敗だな。ふふふ」
ソラ「ぐぬぬぬ」
キノ「提案て何なのさ。あんたそれにずいぶんと雰囲気変わったねぇ」
オト「そうだぜ、最初誰だか分からなかった」
サキオ「そうでやんすよ、性格まで違うようでやんすね」
テツ「俺は用心棒だが、雇い主の要望に合わせて性格やキャラの設定も可能なのさ。テイマー軍団の時は、クールな凄腕剣士だったんだぜ。まぁ演技力があったればこそだ」
ソラ「何ドヤ顔してるんだよ」
キノ「設定可能って…威張る事かい。それで提案て?」
テツ「俺を雇え。役に立つぜ」
ソラ「やだ」
にゃん吉「却下」
キノ「否決さね」
オト「断る」
サキオ「拒否するでやんす」
タマ「怖い…」
全員が即答で答えた。
テツ「なっ?!何でだよ!役に立つって」
ソラ「悪党の片棒担ぐ奴なんて信用できないよ。それに昨日の奴らどうしたの?」
テツ「雇い主がたまたま悪党だったってだけで、俺は悪くない。昨日の奴らは後々面倒そうなので潰しておいた」
キノ「潰したってあんた…」
にゃん吉「身勝手な奴じゃのぉ」
ソラ「悪くないって、よく抜け抜けと言えるよねぇ」
テツ「だって本当の事だぜ。それに昨日の悪党は潰したんだから、俺は良い奴だろ?昨日だって嬢ちゃん斬れたんだぜ。それを笑いに変えてやったんだから、雇ってくれよ」
ソラ「ぐぬぬぬぬ…」
キノ「おおかた、悪党を潰したから、ここに居られなくなったんじゃないのかい?」
テツ「うっ」
サキオ「図星でやんすね」
オト「こんな奴置いてサッサと行こうぜ」
テツ「おいおい、お前達は俺の元部下じゃないか」
キノ「そりゃぁ多少は?世話になったかも知れないけどねぇ」
テツ「だったら」
キノ「それとこれとは話は別さね。悪いけど私らは行くよ」
テツ「ぐぬぬぬぬ」
ソラ「じゃ、タマちゃん、案内よろしくね」
テツ「わ、分かった!雇わなくて良い!一緒に連れてってくれ。それなら良いだろ?」
にゃん吉「どうしてそこまで付いて来たがるんじゃ?」
ソラ「そうだよ、どうしてなの?他に雇って貰えば良いじゃん」
テツ「それは…嬢ちゃんがいるからだ」
ソラ「あたし?!」
テツ「そうだ。俺はこんな稼業だ、けっこうヤバい目にもあってきた。でもその度に強くなれたんだ。そんな俺の勘が言ってるのさ。このパーティにいれば、もっと強くなれるってな」
ソラ「ふううん」
テツはそう言って、真面目な表情で態度を改める。
テツ「なぁ、これまでの事は謝る。だからパーティに加えてくれ。俺はもっと強くなりたいんだ」
ソラ「最初からそういう感じだったら良いのに、人の事くすぐったりしてバカにするからだよ。みんな行こう」
テツ「な、なぁ嬢ちゃん…」
ソラ「ソラ!」
テツ「え?」
ソラ「あたしはソラ!こっちはにゃん吉。ふんっだ」
キノ「あらら、拗ねちゃって。ふふふ。お前達も行くよ。」
オト「へぃ姉さん」
テツ「えと」
戸惑うテツの肩をサキオが叩いて言った。
サキオ「行くでやんすよ」
テツ「お、おう」
フレイちゃんも歩き出す。
テツ「なぁサキオ」
サキオ「なんでやんすか?」
テツ「あいつ、可愛いな」
サキオ「なっ?!だ、ダメでやんすよ!」
テツ「えっ?!何が?!」
オト「ふふふ。なぁテツ」
テツ「な、なんだ?」
オト「あんたSSSランクだろ?充分強いじゃないか、何でもっと強くなりたいんだよ」
テツ「いや、弱いさ。少なくとも龍人よりはな」
……………………………………
ソラ達一行は大森林への入り口。
森タウンの西領門へと来た。
ここの領門は特に大きく、
身長15メートル程のフレイちゃんも、
悠々と通る事ができる。
他にも多くの冒険者や、人以外の種族が行き交い、
森の恵みである、たくさんの木材などが運び込まれている。
ソラ「凄〜い」
それらを見ながらソラ達一行は門を潜って行った。




