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天空のソフィア  作者: 髪白悠 (白村から変えました)
第一部 ソラの旅編
21/25

第二部 エイワの大森林編  第21話エイジャタウン

 ソラ「見えた!領壁だよ!」


 にゃん吉「うむ、ようやっと着いたか」


 王都を出てから約4週間、

 ソラ達はついにエイジャタウンにやって来た。


 ソラ「ん?なんか変だよ?変わった領壁だね」


 にゃん吉「ふむ、あれは木で出来た領壁じゃ」


 ソラ「木?!」


 そう、ここエイジャタウンは、

 大森林の豊富な資源を利用して、

 領壁から、民家など、様々は箇所に木材が使われているのだ。


 にゃん吉「番匠(ばんしょう)という木材で建物を造る専門の職業もあるほどじゃ」


 ソラ「へぇ」


 領壁に近づくにつれて、

 壁を構成している木材が思いの外大きい事に気がつく。

 特に領門の辺りは圧巻だった。


 ソラ「すごーい」


 にゃん吉「うむ、相変わらず圧巻じゃな」


 そして領門の内部へと馬車を進み入れる。

 ソラは上を見上げて内部の大きな木を眺めていた。


 にゃん吉「ん?おいソラ、門兵が注目しとるぞ」


 ソラ「へ?」


 見ると門兵がぞろぞろと出て来て、

 横一列に並び出している。

 皆、ソラを向いて頭を垂れる者、胸に手を当てる者などがいる、、


 ソラ「な、ななな、何?かしら」


 にゃん吉「ふむ、お主の胸のプレートじゃな」


 ソラ「あ」


 ソラの胸には、王から賜った銀翼のプレート、

 英雄のプレートが首から下げられている。


 門兵「英雄様!ようこそいらっしゃいました!」


 隊長だろうか、

 一歩前に出てソラに声をかけて、頭を垂れた。

 他の旅人達もソラに注目している。


 ソラは苦笑しながら応えた。


 ソラ「ど、どうも〜」


 周りからは

「凄いな、あの若さで英雄なのか」

「超可愛い!」

「どうしたら英雄になれるんだ?」


 などなど聞こえてくる。


 ソラ「うわぁなんだかバツが悪いなぁ」


 ソラは独り言のように小声で言った。


 にゃん吉「まぁ過度に干渉はしてこないようじゃな。堂々としとれ」


 やがて馬車は門を抜け広場に出た。


 ソラ「うわぁここの門前広場は広いねぇ」


 門の内側は大抵広場になっていて、

 待ち合わせする者、取り引きする者、

 旅の別れを惜しむ者達など、

 人が集まっても良いようになっている。

 ここ森タウンの広場は、他の街より広めに出来ていた。


 ソラはどこに向かうべきかを考え、

 広場を見渡して見た。


 建物は確かに木造の建物が多い。

 石作りでは到底出来ないような、

 木造ならではの作りをしている。

 しかし、それ以上に目を引いたものがあった。


 それは行き来する者達だ。

 人以外にも何だか変な生き物が大勢いたのだ。

 

 明らかに兎なのに、

 服を着て二足歩行してる者、

 人っぽいのに、頭は猛禽類で背中に翼をもつ者など、

 多種多様な者達が普通に広場には居た。


 ソラ「え??あの人?達は何者?えー!」


 にゃん吉「はっはっは!驚いたか?あの者達は皆大森林から来ている者達じゃよ。大森林にはいろいろな種族がおって、この街に入り込んでいるのじゃ。じゃが彼らは何故か大森林から遠くへは行こうとしないのじゃ」


 ソラ「そうなんだ。へぇ」


 するとソラはあるものを発見した。


 それは広場の端っこに、

 巨体を似つかわしくない格好で、

 小さくなって座っている巨人がいた。

 頭からは小さいが炎が上がっている。

 周りにはなんと子供達がいて、

 巨人に(たか)って遊んでいる。


 ソラ「ねぇ、あれは大森林から来たんじゃないよね」


 にゃん吉「あ」


 ソラ「フレイムちゃん、だよね」


 にゃん吉「じゃな。それにしても」


 フレイムジャイアントは指先で子供達と戯れていた。


 にゃん吉「何とも言い難い光景じゃな」


 ソラはフレイムジャイアントの近くに馬車を移動し、

 フレイムジャイアントの前に降り立った。


 フレイムジャイアントはソラを見る。


 フレイムジャイアント「お、おまえは…」


 ソラ「え!喋った?!」


 すると遊んでいた子供達の一人がソラに話しかけてきた。


 子供「お姉ちゃんだれ?」


 ソラ「あたしはソラ、このジャイアントと知り合いなの」


 子供「ジャイアントじゃないよ、フレイちゃんだよ!お姉ちゃんほんとに知り合い?」


 ソラ「フレイちゃん?」


 サキオ「あ!ソラさんでやんす!」


 横の建物からサキオが出てきて、ソラに気が付いた。


 子供「サキおじちゃんの友達なの?」


 サキオ「おじちゃんでないでやんすよ、これでもまだ17でやんすから」


 ソラ、にゃん吉「「はぁ?!」」


 にゃん吉「17じゃとぉ?!ウッソでー」

 

 サキオが17歳と聞いて、にゃん吉はつい子供の前で喋ってしまった。


 サキオ「本当でやんすよー」


 子供「あーやっぱり猫さん喋ったー」


 ソラ「ん?やっぱり?」


 オト「ここじゃ喋る猫なんて普通っすよ」


 後から出てきたオト。

 ソラの疑問に答えながら近寄ってきた。

 それを見ていた子供が、

 いたずらな表情を浮かべて叫んだ。


 子供「オトおじちゃんだ!逃げろー」


 オト「おじちゃんじゃねーつってんだろ!」


 オトはそう言って子供達を追いかけ回す。


 子供達「わー、きゃー」


 子ども達は楽しそうだ。

 オトも本気で怒って言っているようには見えない。

 言葉使いは悪いが、普段からこうして子供達の相手をしているのだろう。


 ソラ「そうか、ここじゃ猫が喋っても驚かれないんだね」


 サキオ「そうでやんすね。むしろ黙ってる方が珍しいかもでやんす」


 にゃん吉「いろんな種族がいるもんじゃな。昔はこんなに居なかったと思うが」


 ソラ「ねぇサキオさん」


 サキオ「おいらの名前覚えててくれたでやんすね。サキオで良いでやんすよ。何でやんすか?」


 ソラ「キノさんは?」


 サキオ「今呼んでくるでやんす」


 そう言ってサキオは、自分たちが出てきた建物の中に入っていった。


 にゃん吉「おいおい、フレイムジャイアントは誰が操っておるんじゃ?テイマーが離れるなんて危険じゃろう」


 ソラはフレイムジャイアントを見る。

 恐ろしい容姿ではあるが、全然危険があるようには見えない。

 むしろ逆に見えるソラだった。


 ソラ「なんだか大人しくて、危険というより微笑ましく見えるんだけどね」


 キノ「やっと森タウンに来たねぇ。待っていたよぉ」


 ソラ「あ、キノさん」


 キノ「いろいろ報告があるんだけど、まずはこのフレイちゃんの事から話そうかねぇ」


 ソラ「フレイちゃんがどうかしたの?」


 キノ「あたいはもうこのフレイちゃんをテイムしていないのさ」


 にゃん吉「では誰がテイムしているのじゃ?」


 キノ「誰も」


 ソラ「え!?じゃぁフレイちゃんは自分からここにいて子供達と遊んでるの?」


 にゃん吉「まさかじゃろ?」


 キノ「そのまさかさね」


 キノはフレイムジャイアンの経緯を話した。

 

 テイマー至上主義軍団と魔物をやっつけた後、

 フレイムジャイアントはもう解放しても良かったのだが、

 こんな強力な魔物をその辺に開放する事もできないので、

 キノはエイワの大森林でフレイムジャイアントを開放しようと思いエイジャタウンに来た。

 そして計画通り、大森林に潜ってフレイムジャイアントのテイムを解除したのだが、

 どういう訳かフレイムジャイアントはキノ達に付いて来てしまうのだそうだ。

 しかも全然凶暴ではなくとても大人しい。

 

 そして、片言ではあるが、喋るようにもなっていたとの事だった。


 フレイ「おれ暴れない。ここにいる」


 と言って、ずっと巨体を小さくして座ってるのだそうだ。


 キノ「幸い、この街にはいろんな種族がいるからねぇ、最初は驚かれたけど、害がないって解ると、みんなあっけらかんとしたもんさ」


 サキオ「あっしはこのフレイよりも、むしろ何でも受け入れちまう森タウンの方が驚きでやんすよ」


 キノ「違いないねぇ」


 にゃん吉「ところでフレイ、お主は自分が何であるか分かっておるのか?」


 フレイ「…」


 にゃん吉「喋らんではないか」


 キノ「まだ片言なのさ。でも自我が芽生えるなんてねぇ」


 そこへ子供達を追いかけて遊んでいたオトが戻ってきた。

 

 オト「ふぅ、子供達は一旦帰っていきやしたよ」


 サキオ「お疲れでやんす」


 ソラは何となくフレイが何か言いたそうだと思って、フレイを見ていた。


 ソラ「フレイちゃんだよね。あたしはソラ。龍人のソフィアでもあるんだけどねぇ」


 フレイ「ソフィア…」


 にゃん吉「お、喋ったわい」


 フレイ「俺の種族、昔龍人に支えてた。フレアドラゴン家に、俺は生み出された…ようだ」


 にゃん吉「!」


 キノ「生み出された?」


 ソラ「え?どういう事?!」


 喋り出したフレイムジャイアント。

 その内容に一同驚きを隠せない。


 にゃん吉「お前は何故そんな事を知っておるのじゃ?」


 フレイ「まだ、よく、分からない、でも思い出す。きっと」


 にゃん吉「どういう事じゃ?このフレイムジャイアントは一か月前にあのボスから生み出されたのじゃなかったか?フレアドラゴン家とは…」


 ソラ「フレアドラゴン家?」


 にゃん吉「龍の神と人の間に5人の龍人が産まれたという話しを思い出せ」


 ソラ「あ、スカイ、フレア、ウィンド、ソイル、アイスだっけ」


 キノ「最初の五竜人だねぇ」


 サキオ「ソラさんはどの龍人でやんすか?」


 ソラ「あ、そっか!私の先祖かも知れないんだ」


 にゃん吉「いや今更かーい!全くお主は」


 ソラ「だって御伽話の中なんだもん、全然思いもしなかったよ」


 キノ「で?どの龍人なんだい?」


 にゃん吉「ソラの家名は解らないんじゃよ」


 サキオ「確か、五龍人の中に序列があったと思ったでやんすけど、分からないでやんすか」


 ソラは半分削れてしまっている腕輪の紋章を見る。


 ソラ「家名が分かったからって、何かあるのかなぁ」


 サキオ「序列何位か分かるだけでも、後々違ってくると思うでやんすけどね」


 にゃん吉「サキオじゃったか。お主詳しいの」


 キノ「サキオはこう見えて博識なのさ」


 サキオ「へへへでやんす。ちなみにフレアドラゴン家は、確か序列二位だったと思ったでやんすよ」


 ソラ「へぇ。じゃぁフレアちゃんは二位の召使いだったって事?」


 皆がフレアちゃんを見上げる。


 にゃん吉「召使いとは違うと思うぞ」

 

 キノ「……なんにしても、この子は記憶を持って産まれた。という事かねぇ」


 オト「これから思い出すって、本人が言ってますからね、思い出してからいろいろ聞きやしょう」


 にゃん吉「ふむ、ところで他に報告があるようじゃが?」


 キノ、オト、サキオが3人並んだ。


 キノ「あたいらテイマーは辞めたのさ。今は真っ当な冒険者。そしてこれからは、ソラちゃん、あんたに付いていくよ」


 ソラ「へ?」


 にゃん吉「付いて来るとな?」


 キノ「ダメかい?あたいらはあんた達に迷惑かけたし、世話にもなった。役に立つとは思えないけど、あんたらについて行くと3人で決めたのさ」


 オト「俺はソラの強さに惚れた」


 サキオ「あっしは、ソラさんが好きでやんす」


 キノ「嫌でも付いていくよ」


 にゃん吉「どうするんじゃソラ?妙なのに好かれたようじゃぞ」


 ソラ「そんな事言ったって、嫌でも付いてくるんでしょ?どうなっても知らないよ?」


 キノ「ふふふ、自分のケツは自分等で拭くさね。よろしくお願いするよ」


 サキオ「ちなみにでやんすが、姉さんはSSランクの魔法使い、オトがSランクの剣士、あっしもSランクの剣士でやんす」


 ソラ「すごーい」


 にゃん吉「なんと!お主等なんであんなつまらんテイマー軍団なんぞに加担しとったんじゃ?普通に冒険者の方が遥かに良いじゃろうに」


 キノ「ちょいと訳あってねぇ、たまたまテイマーの真似事してたら、あのテツって奴にスカウトされたのさ。でももお迷わないよ、きっちり恩は倍返しするからねぇ」


 にゃん吉「お主等は何者じゃ?」


 サキオ、オト「……」


 キノ「あたいらが何者か、そのうち話す時が来るんだろうけれど、それまで待っておくれな。ただひとつ言えるのは、あたいらにテイマーは似合わなかったって事さ」

 

 オト「そうですね」

 サキオ「やんすね」



 ソラやにゃん吉、3人組は、誰言うともなくフレイちゃんを見た。


 フレイちゃんは座ったまま眠ってしまっていた。


 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 

読んでくれてありがとうございます。

 3年半ぶりの更新です。

 

 あつかましいですが、評価をしてください。

 よろしくお願いします。


 あ、名前も変えました。

 まぁこんな作者がどう変わったところでなんだよって感じっすけど(笑)

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