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天空のソフィア  作者: 髪白悠 (白村から変えました)
第一部 ソラの旅編
14/23

第十四話 マリアーノ

 王都でソラ達と別れた後、

 マリアーノは一通りの報告を済ませ、

 一人、剣の師匠の元へと向かっていた。


 あまりにも不甲斐ない自分を鍛え直す為である。


 かと言って、

 鍛えても直ぐに強くなれる訳ではない。


 ならどうするか。


 王国の騎士団の多くは、実は魔法も使える。

 その多くは身体能力の向上が目的である。

 ほとんどの騎士は、剣技に加えて身体能力向上魔法を併用しているのだが、


 しかし、マリアーノは魔法は使っていなかった。


 魔法に頼ると剣技を鍛える事が疎かになると思っていたのと、

 どこかズルい事をしてるのではないかと思っていたからだ。


 これから会いに行く師匠にも、

 身体向上魔法を強く勧められていたが、

 マリアーノは頑なに拒否していた。


 そんなマリアーノは、ソラとの出会いで、

 その考えを捨てる決心をしたのだった。


 ――私は、ソラ殿に恩返しがしたい――


 その一心でもあった。


 ………………………………


 師匠が居る修練場の門をくぐる。


 門をくぐると、少しばかり広い広場があり、

 そこが稽古場となっている。

 普段はそこで騎士達が稽古をしているのだが、

 今日は誰も居ないようだ。


 マリアーノは稽古場の奥にある建物に行き、

 中に入ると声を上げた。

 

 マリアーノ「師匠!ロッソル師匠はいませんか!」


 ロッソル「ん?誰かと思えばマリではないか」


 マリアーノに呼ばれて、奥から顔を出したのは、

 かなり歳をとった老人だった。 

 白髪に白い髭、どこかの仙人を思わせる風貌だが、

 貫禄があった。


 マリアーノ「ロッソル師匠、お願いがあります」


 ロッソル「ふんっ言わんでもわかるぞ。その顔は決心した顔じゃな、こっちゃ来い、指南してやる」


 マリアーノは建物の奥に歩き出すロッソルの後について行く。


 建物の奥へと通路を歩いてやがて着いたのは、

 ロッソルの研究室だった。


 ロッソル、

 この人物は二つの顔を持っていた。

 一つは剣士の顔。

 王国でも数少ないSS級以上と言われ、

 高齢の今もなお、その腕は衰えないと言われている。

 そしてもう一つの顔。

 ロッソルは王国魔術師でもあったのだ。


 マリアーノが案内された研究室は、

 お世辞にも片付けられてるとは言えなかった。

 机や床には、

 何かの資料が積み上げられ、壁に設えてある棚には、瓶やら植物が詰め込まれている。


 正直、足の踏み場もない。


 マリアーノは通れそうな隙間を選んで部屋を進むと、ロッソルから声がかかる。


 ロッソル「おっと、その魔法陣を踏むなよ、お前さんのような魔力持ちが触れると大変じゃ」


 マリアーノは言われて、

 足元を見る。

 確かに何かの魔法陣が書かれた紙が落ちている。

 マリアーノは紙を拾い、ロッソルに手渡しながら言う。


 マリアーノ「そんな危険な物を放置しないでください」


 ロッソルは魔法陣を受け取ると、

 クシャクシャと丸めて、

 ゴミの山で見えなくなっているゴミ箱にポイっと投げ捨てた。


 ロッソル「まぁそう言うな」


 ゴミ山の一部となった危険な魔法陣を、苦笑しながら見て、マリアーノは言う。


 マリアーノ「それでですね師匠……」


 ロッソル「分かっておる、分かっておる、先ずはこれを飲め」


 どこから取り出したのか、

 ロッソルは小瓶をマリアーノに差し出してきた。


 マリアーノ「えっ?これを??」


 ロッソル「そういやな顔をするな、怪しい物ではない」


 マリアーノ「ご説明を頂いても良いですか?」


 ロッソル「それは水じゃ」


 マリアーノ「水?」


 ロッソル「そうじゃ、但しわし特製、多すぎる魔力に身体が慣れるようにする水じゃ」


 マリアーノはまた苦笑する。


 マリアーノ「師匠、それは世間では妙薬って言うのですよ」


 ロッソル「そうとも言うの。まぁ良いから飲め」


 マリアーノは小瓶の蓋を開け、

 何の疑いも無く一気に飲み干した。


 ロッソル「どうじゃ?」


 マリアーノ「どうと言われても、味は確かに水で……」


 話してる途中、マリアーノは唐突に意識を失くしてしまった。


 ロッソル「おお、効果的面じゃな。ぐふふふ」


 …………………………………………


 オト「姉さん、あんな大きな物を落とす事なんてありますか?」


 オトは半ば呆れた声で言う


 キノ「つべこべ言わずに探すんだよ!」


 3人組は噴水に戻って来ていた。

 キノが落としたダンジョンコアの複製の複製を探しに来ていたのだ。


 オト「おいサキオ、サキオ!」


 サキオ「へ?何でやんすか?」


 オト「何でやんすか?じゃねーよ!お前も探せよ!」


 サキオ「いやぁ、あっしはあの方とお話が出来て胸一杯でさぁ」


 キノ「これだけ探して無いんだ、誰かに拾われたようだねぇ」


 オト「ちっサキオの奴使えねぇですよ」


 キノ「ねぇサキオ、あんたの想い人が、思い通りになるって言ったらどうする?」


 サキオ「へっ?いや、ど、どうでやんすかね……」


 オト「姉さん、そりゃどう言う事で?」


 キノ「このテイマーの宝玉だよ、これは特別製って言ってたじゃないか」


 オト「えぇ、確かにそう言ってましたが」


 キノ「そう、これは特別製、これは多分、人を魔物と同じように操れる宝玉さ」


 オト、サキオ「えっ」


 オト「まさか、そりゃぁないんじゃないですか?魔物は単純な生き物だ、本能だけで生きてる。だからこそ操るのも簡単だけど、人間はそうじゃねぇ、頭の中も複雑でいろんな事を考える事ができる。だから人間にはテイム出来ねぇはずですよ」


 キノ「だから特別製なのさ。『お前達はテイマーだろ』って意味深に言ってたじゃないか。多分、そう言う事なんだろうさ」


 オト「あ、そうか」


 キノ「サキオ、これでソラを操って、お前の物にしちまいな」


 サキオ「ま、まじですかい?!」


 キノ「ダンジョンコアが無くなっちまったんじゃ、もうそれしか作戦は無いよ」


 サキオ「あ、操ってどうするでやんすか?殺すんでやんすか?!」


 サキオは気乗りしない様子だ。

 キノはそんなサキオの首に腕を回し、

 耳元で囁く。


 キノ「まさか、殺しゃしないよ。仲間に、いや、お前の嫁にしたら良い、あたしらも応援するからさぁ、やっちゃいなよ」


 サキオはキノが差し出したテイマーの宝玉が嵌った杖を、黙って受け取った。


 だいぶ日も暮れて、

 噴水の周りに人は居なくなっている。


 3人組は改めて作戦を練ったのだった。


 


 

【お知らせ】

読んでいただきありがとうございます。


次話から不定期の投稿になります。

最低でも週一の投稿をしたいと思いますので、

是非、ブックマークをお願いします。



そして小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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