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天空のソフィア  作者: 髪白悠 (白村から変えました)
第一部 ソラの旅編
13/23

第十三話 王都にて

 次の日。

 ソラとマリアーノは馬車に揺られながら、

 お互い向かい合って座っていた。


 マリアーノ「あー、おほん、そう言えばソラ殿、ソラ殿の旅の目的を聞いて無かったですね」


 ソラ「え?そうでしたっけ」


 マリアーノ「はい、宜しければお聞かせ下さい」


 ソラ「はい、じゃぁその前にこれを見てください」

 

 ソラは左の二の腕あたりに嵌めている腕輪を外し、

 マリアーノに手渡した。


 マリアーノ「これは?」


 にゃん吉「わしから話そう、この子はな、あのアルカディアから落ちて来たのじゃよ」


 マリアーノ「なっ?!アルカディアから?!よくご無事で…」


 にゃん吉「その時に腕に嵌めていたのがその腕輪じゃ、守りの魔術が込められていたのじゃろう。それで命を落とさなかったのじゃろう」


 マリアーノ「守りの魔術…ですか。あ、ソフィアと書かれてますね、それと日付けもありますね」


 にゃん吉「それがソラの本当の名じゃ、家名は擦れてしまって読めないがな。日付けは誕生日じゃろ」


 マリアーノ「なるほど、それで仮面の剣士ソフィアなのですね…」


 と、そこで疑問が浮かぶ。


 マリアーノ「なぜ、ソフィアではなく、ソラと言う名で呼ぶのですか?」


 にゃん吉「ソラは最初は龍人の姿じゃったが、次の日には髪は黒くなり、龍人の特徴が無くなっておったのじゃ、それを見て、わしはソラをわしの孫として育てようと思い、改めてわしが名前を付け直したのじゃ」


 マリアーノ「なるほど、そう言う事でしたか」


 マリアーノは再度腕輪を見る。

 そこで半分擦れて分からなくなっている紋章に気付く。

 マリアーノはこの紋章を何処かで見たような気がした。


 マリアーノ「これは紋章ですね」


 にゃん吉「解るのか?」


 マリアーノ「いえ、見た事がある気がしたのですが、気のせいでしょう」


 ソラ「あの……」


 マリアーノ「どうかしましたか?」


 ソラ「黙っててごめんなさい」


 マリアーノ「あぁ、良いですよ、気にしてませんから。それに、龍人の話をされた時、本当は打ち明けたかったのですよね?」


 ソラは俯き、小さく頷いた。

 そして一番危惧していた事をマリアーノに聞いた。


 ソラ「怖くはないんですか?」


 マリアーノ「ソラ殿は私達の恩人ですぞ、恐る事など無いです。それより、昨夜はいつものソフィア様と雰囲気が違ったようですが、何故でしょう」


 にゃん吉「おそらく、怒りじゃな、ソラ、お主相当怒っておったじゃろ」


 ソラ「うん、ほんとは仮面付けたかったんだけど、マリアーノさんが怪我させられたの見て、凄く頭きてさ、どうしても抑えられなかったんだ」


 マリアーノ「そ、そうですか、それは喜んで良いのですよね」


 ソラ「え?嬉しいの?」


 マリアーノ「そ、それは、まぁ、あの」


 騎士A「ソラ殿!マリアーノ様の今の表情は珍しいですぞ、はははは」


 マリアーノ「こら!A!余計な事を」


 にゃん吉「わははは!」


 ソラ「あははは」


 こうしてソラはマリアーノに全てを打ち明けた。


 ソラ「なんか、凄く楽になった気がする…」

 

 ………………………………


 マリアーノ「そうですか、世界樹を探しにエイワの大森林に」


 ソラ「そこに世界樹があるとは限らないと思うんですけど、あるとすればそこかなぁと」


 マリアーノ「あながち的外れでもないですよ。確か世界樹について記述された文献を見た記憶があります。うろ覚えですが、エイワの大森林と繋がりがあったかと」


 ソラ「ほんと?!」


 マリアーノ「はい、宜しければ王都にある書庫に案内しますよ。古い歴史書に載ってた筈です」


 ソラ「ありがとうございます!」


 にゃん吉「ふむ、その書庫にはわしも興味があるの」


 マリアーノ「というと?」


 にゃん吉「この身体の事なのじゃ。この白虎という悪魔について知りたくての」


 マリアーノ「そう言えば、私を治癒された時、試すとか言っていたような…何か関係が?」


 にゃん吉「うむ、最近になってようやく鼻が効くようになったりして、この身体に馴染んで来たようなのじゃ。そこで治癒魔法が使えるかどうか試させて貰った、転生してから簡単な魔法しか使えなくて、半ば諦めかけておったわい、わははは」


 ソラ「じゃぁもうポーションいらない?」


 にゃん吉「ポーションはとっておけ。いつ使うか分からんからな、まぁ話を戻すと、白虎について詳しく書かれた書物はないかと思ってな、書庫に興味があるのじゃ」


 マリアーノ「なるほど。分かりました。王都に着いたらご案内しますよ」


 王都まであと数日。

 旅は続く。


 ……………………………………


 キノ「なんだってんだい。あの小娘とんでもない化け物じゃないか」


 オト「はい、まさか魔物共が逃げ出すとは思わなかったですぜ」


 サキオ「……」


 キノ「見た目が変化してたねぇ、あの髪色…どこかで聞いた事が…」


 オト「ありゃぁ、龍人ですよ姉さん」


 サキオ「……」


 キノ「龍人だって?馬鹿言っちゃいけないよ、あれは御伽話の種族だよ」


 オト「ですが姉さん、実際アルカディアだって実在してるんでさ、龍人がいてもおかしくないんじゃ?」


 サキオ「……」


 キノ「そうさねぇって、サキオ!黙ってないで、何か言ったらどうだい?!」


 サキオ「えっ?あぁはい」


 オト「どうした?ボウっとして」


 サキオ「いや、あのソラって小娘が頭から離れねぇでやんす、あん時ゃそれは恐ろしかったんでやんすが、けど……」


 キノ、オト「「けど??」」


 サキオ「すげぇ美しかったでやんす、あんな可愛くて綺麗な娘は見た事ねぇでやんす」


 オト「はぁ?!まじかお前、まだガキだぜ!がははは!」


 キノ「まぁ確かに、私ほどじゃぁないけどねぇ、ふふふふ」


 サキオ「…あっしゃぁ、惚れたでやんすよ、どうしよう姉さん」


 キノ「……!!お前さん…」


 オト「サキオ…お前…」


 オト「ぎゃっははーーまじかぁ!がははは!」

 キノ「あははは!冗談は顔だけにしときな!あははは!」


 サキオ「……」


 キノ、オト「…えっ、まじで?」


 


 ………………………………


 3人組に襲撃されてから一週間、

 ソラ達一行はようやく王都に着き、

 繁華街らしき通りを歩いていた。


 ソラ「凄〜い、人がたくさん」


 マリアーノ「ダンジョンタウンに比べて、冒険者以外も大勢王都に来ていますからね、」


 街は冒険者はもちろん、商人や一般人、

 貴族風の者までも行き来している。


 しばらく歩いていると、

 広い場所に出できた。


 ソラ「うわぁ凄い、なにあれ!水が噴き出てるよ!」


 騎士A「ははは、ソラ殿は噴水は初めてですか?」


 ソラ「噴水?初めて見ます、それにここは凄く広いですね」


 マリアーノ「ここは王都の中央広場です、あちらに真っ直ぐ伸びる道の先に見えるのが王城です」


 ソラ「うわぁお城だぁ、凄〜い」


 にゃん吉「お主さっきから凄いとしか言うとらんぞ」


 ソラ「えー、だって凄いんだもん」


 中央広場には人がたくさんいる。

 待ち合わせする者、

 日向ぼっこする者、

 追いかけっとする子ども達に、

 立ち話に勤しむ者、

 または木剣で素振りをする冒険者など、

 様々な者達が、

 それぞれに好きな事をしていた。


 ソラにとっては、全てが初めて見る物ばかりだった。



 マリアーノ「ではソラ殿、私はこれから王城にて、巡回の報告をしなければなりません、書庫へは後日ご案内いたします。冒険者ギルドに伝言をしますので、それまでお待ち下さい」


 ソラ「あ、はい、分かりました」


 ソラが馬車から降りると、

 騎士達が集まってくる。

 それぞれに馬を降りてソラの周りに集まる。

 マリアーノも例外ではなく、

 馬車から降りてソラの前に立ち、

 目線を合わせるように、

 片膝立ちになった。

 騎士達もそれに合わせ、片膝立ちになる。


 それは、恭しく跪くというより、

 まるで騎士達が子どもに優しく接している光景に見えた。


 マリアーノ「それではソラ殿、にゃん吉殿、世話になりました」


 ソラ「いえ、私の方こそ、その、一緒に旅ができて楽しかったです」


 ソラとマリアーノは、

 3人組の襲撃以来、

 ずっと膝を突き合わせて旅をしてきた。

 2人はすっかり打ち解けていたのだった。


 マリアーノ「私もです。こんな旅は初めてでした」


 ソラ「あの…」


 マリアーノ「はい?」


 ソラ「ま、マリーさんて呼んでも良いですか?」


 少しはにかみながら、

 ソラはマリアーノに聞いてみた。


 マリアーノ「もちろんです!」


 マリアーノは笑顔で応えたのだった。


 ……………………………………


 キノ「騎士団と別れたようだね」


 オト「そのようですなぁ」


 サキオ「……」


 広場でのソラと騎士団のやりとりを、

 噴水の影から窺っているテイマー3人組。


 この者達はとある組織のメンバーでもある。


 先日、サキオがソラへの想いを打ち明けたあとの事………………。


 男「おいキノ、頼んでおいた物は手に入れたのだろうな?」


 キノ「はい、こちらにございます」


 偉そうな男に向かって、

 キノ達は跪き答える。

 キノは男に魔石を差し出した。

 ダンジョンコアの複製である。


 男「よくやった。それと、駄々っ子ハンターとか言うふざけた奴は消したな?」


 キノ「あ、いやぁそれはですねぇ」


 男「片付いてないのか?何をぐずぐずしている」


 オト「何度も消そうとしましたが、アレは化け物ですよ、サイクロプスが逃げるなんて聞いた事ありますか?」


 男「なに?嘘言って誤魔化すな」


 キノ「嘘じゃないです、あの娘は龍人です、この目で見ました。とてもじゃぁないけども、太刀打ち出来やしないですよ」


 男「龍人?!まさか」


 男は考える。

 3人は嘘を言ってる様子はなさそうだ。

 まさかとは思うが、

 ほんとに龍人なら……


 男「これを使え」


 男は杖を出した。

 杖の頭の部分には魔石が嵌め込まれている。


 キノ「これは、テイマーの宝玉?」


 男「そうだ、特別製の物だから大切に扱え」


 キノ「これで龍人に勝てるのですかい?」


 男「頭を使え、お前達はテイマーだろ」


……………………………………


 男が帰った後、

 3人は作戦を考える。


 オト「しかし姉さん、特別製だからってそんなテイマーの宝玉で、あの娘に勝てるんですかい?」


 キノ「それは分からないねぇ」


 オト「ダンジョンコアの複製だって渡しちまって、魔物の調達だって大変ですよ」


 キノ「そこは抜かり無いさ、ほらごらん」


 キノはそう言って魔石を二人に見せた。


 サキオ「それは?」


 キノ「ダンジョンコアの複製の複製さ」


 オト「おおー、さすが姉さんだ、密かに作ってだんですね」


 キノ「そうさ、これで魔物の調達はできるのさ」


 サキオ「そ、それは危険じゃねぇですかい?」


 オト「どうしてだ?せっかくの姉さんのアイディアが駄目ってのか?」


 サキオ「いや、そうじゃねぇでやんすよ、昔ダンジョンコアそのものを手に入れた仲間がいやして、あっしもたくさん複製したら良いんじゃねぇかって言ったでやんす、そしたら」


 キノ、オト「「そしたら?」」


 サキオ「なんでも、ダンジョンコアってのは、見た目はでっかい魔石でも、生きてるらしいんでさ。生き物は正確には複製なんてできねぇ、複製しても必ずどこかに不具合があったり、オリジナルの方もおかしくなるでやんす。だから、ダンジョンコアの複製作るなら、オリジナルが一個に対して複製一個が限界とか言ってやした。」


 キノ「じゃぁこれを使うとどうなるのさ?」


 サキオ「さぁ、ただ危険だとしか聞いてねぇでやんすが、そん時の仲間は、普段ふざけてる癖に、この事に関しちゃ真剣に言ってたでやんすから、かなり危険じゃねぇかと思ったでやんす」


 キノ「そうかい……」


 オト「そんなに危険なのか?」


 サキオ「そうじゃぁなきゃぁ、テイマーはみんなダンジョンコアの複製持ってるよって、昔の奴ぁ言ってやんしたね」


 キノ「なら、使うなら最後の最後だねぇ、とりあえずこっちの杖だけでなんとか作戦を考えようかい」


 オト「特別製の宝玉ですか、一体何が特別製なんでしょう?」


 キノ「さっきヒントをくれたじゃないか。サキオ、あんたにとっちゃ良い宝玉かもねぇ」


 サキオ「あっしでやんすか?」


 オト「?」


 ………………………………


 そして時は戻り、王都でソラの様子を探る3人組。


 キノ「あのネコが厄介だねぇ」


 オト「ネコ?何故厄介なんです?」


 キノ「おや、気付いてないのかい?ありゃ恐らくネコじゃなくて上位の魔物さ。こないだあの女騎士を治癒してたからねぇ、龍人の使い魔ってところだろうねぇ」


 オト「そいつぁ厄介ですな、で?どうするんで?」


 キノ「ちょいと耳を貸しな」


 3人組はしゃがんで、

 地面に何やら書きながら悪巧みをしている。


 噴水の周りには結構人が集まる。

 その中で3人組のその姿は目立っていた。


 ソラはマリアーノ達と別れたあと、

 噴水を見物しようと3人組に近付いて来ていた。

 悪巧みに夢中な3人組は気が付いていない。


 ソラ「これが噴水かぁ凄いなぁ」


 にゃん吉「なんじゃ?あの者達は、しゃがみ込んで何をしとるのかのぉ」


 ソラ「ほんとだ、変な人達」


 にゃん吉「ん?あの顔は……」


 ソラ「知り合い?ふふふ、変な知り合いがいるんだね」


 にゃん吉「お主も知り合いじゃよ、よく見るんじゃ」


 ソラ「あ!」


 ソラはそぉっと3人組に近付いて、

 何をしてるのか様子を見る事にした。


 にゃん吉が囁いてくる。


 にゃん吉「何をしとるんじゃソラ」


 ソラは3人組の真後ろまで来て、

 地面の落書きを覗き込む。


 ソラ「あのぉ、何してるんですか?」


 キノ「何って、作戦立ててるんだよ、邪魔しないでおくれ」


 ソラ「何の作戦?」


 オト「龍人の使い魔を捕まえるんですよ」


 ソラ「へぇ〜、そうなんだぁ〜、へぇ〜」


 3人組はやっと我に返り、

 声の主を見やる。


 サキオ「あ!!ソラさん!」


 キノ、オト「!!」


 3人組は立ち上がり、

 ソラと対峙した。


 キノ「ぬ、盗み聞きかい!」


 ソラ「人聞きの悪い事言わないでください、ちゃんと質問したじゃないですか」


 キノ「……!」


 サキオ「そ、そうでやんすねぇ、ちゃんと質問してやした、あははは」


 ソラ「?」


 オト「サキオ!てめぇどっちの味方ですかい」


 サキオ「そ、そんな事言われてもでやんすよ」


 はてな顔のソラに、サキオは続ける。


 サキオ「あ、あっしはサキオって言います。よろしくでやんす」


 手を頭の後ろに回し、

 照れたようにソラに挨拶するサキオ。


 ソラ「は、はぁ、ソラです…」


 ソラも戸惑いながらも挨拶を返す。


 オト「こら!サキオ!」


 キノ「きょ、今日のところは引くよ!」


 オトはサキオの襟首を掴み、

 動こうとしないサキオを引きずって行く。

 サキオはソラを見たまま、

 後ろに引っ張られる形となった。


 サキオはソラに手を振って笑顔だ。


 サキオ「ソラさん!黒髪も素敵っす!」


 ソラ「へ?」


 サキオを引きずっているオトは走る事もできず、

 ソラ達の視界から消えるまで暫くかかった。

 その間、サキオはずっと手を振っていたのだった。


 ソラ「な、なんなの?!」


 にゃん吉「お主、惚れられたな」


 ソラ「えっ?!ええぇぇ〜〜〜!!」




 しかし、この時、誰も気付かなかった。

 キノがい場所にダンジョンコアの複製の複製が落ちていた事を。

 そしてそのコアは、人知れず地中に消えて行ったのだった。

 


 

 

【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


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