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天空のソフィア  作者: 髪白悠 (白村から変えました)
第一部 ソラの旅編
11/23

第十一話 誤解と憧れ

 私はマリアーノ・アリスト・エクエス


 騎士団長をやらさせて貰っている。


 この国は、半年に一度、定期巡回として、

 国中の村や街に騎士団を巡らせている。

 目的は治安の確認や、

 他に異常がないかなどの情報収集などだが、


 今回はあの田舎村だ。


 私が定期巡回を始めてから、

 あんな惨状は初めて見た。


 盗賊の仕業かとも思ったが、

 一軒だけ難を逃れているとは、

 凄く不自然だ。


 一軒だけ村から外れた所に建ってるから、

 村民と折り合いが悪かったと見て良いだろう。


 以前、田舎村に住んでたと言う老人がいたが、

 あの家に住んでるのは偏屈な老人だと証言していたしな。

 他にも行商人に聞き込みしたら、

 ソラと言う少女が剣術や魔法を老人に指南されていたと証言している。


 魔法か。


 とにかく怪しすぎる。

 重要人物として、

 私はソラと言う少女と老人を追っていた。


 しかし、悪い奴も居れば良い人物もいる。


 田舎村の隣町では、

 奴隷商の温床になっていた宿屋が潰されていた。

 衛兵に聞くと、ニナと言う少女が、助けられたとも言っていた。

 どういう訳か分からんが、

 『駄々っ子ハンター』と呼ばれていたが、

 まぁ、名前などはどうでも良い。

 問題はその練度だ。


 駄々っ子ハンターが切ったという鉄格子を見たが、

 どうすれば鉄があんな風に切れるのか?

 とても信じられない。

 相当な手練れに違いない。


 ともあれ、私はソラを追い、

 次のヨイタウンに着いた。


 ヨイタウンでは着いて早々にとんでもない事になった。

 いきなりトロールが街を襲ってくるなど、

 聞いたことがない。

 私は騎士団の威信をかけトロール討伐に向かったが、

 そのトロールがとんでもないやつだった。

 しかも後からゴブリンの群れまで現れた。

 思い出すだけでも身の毛が弥立つ。

 私は危うく汚されるところだった。

 そこへ来たのが、なんとあの、

『駄々っ子ハンター様』だ。

 私は『あの方』に助けられた。

 変な仮面をつけておられたが、

 あれは世を忍ぶ仮の姿に違いない。

 あの方の戦う姿は優雅で美しく、

 何より強かった。

 鉄格子を一刀両断するどころではない。

 あっという間にトロールとゴブリン共を討伐して去って行ってしまった。

 背格好は小柄だったが、

 きっと美しく気高いお方に違いない。

 変わったレイピアをお使いだったが、

 あのレイピアの切れ味と美しさも、

 他に見た事ないものだった。

 

 嗚呼、あの方は何もかも美しい。

 どこかの貴族様なのだろうか。


 お会いしたい。


 どうすればお会い出来るだろうか。

 そんな事を考え、

 私はしばらく惚けて大事な事を忘れてしまっていた。


 そう、私は巡回の旅の途中。

 しかもソラなる人物を追っていたのだ。


 いかんいかん。

 『あの方』ともいずれまたお会い出来る機会があるはずだ。


 私は気を取り直し聞き込みを開始したが、

 驚いた事にこの街ではソラは有名人だった。


 街を救った英雄だと??

 まさか。


 信じられず聞き込みを続けたが、

 どうやらソラは変わった猫を連れているテイマーでもあるようだ。

 トロールやケルベロスをけしかけたのもテイマーだ。

 何か繋がりがあるのかもしれない。


 例えば、

 手下のテイマーに街を襲わせ、

 それを討伐して見せることで皆んなを信用させて身動きしやすくしていたとか。

 テイマーに操られた魔物ならば討伐は容易いだろう。

 多額の報酬を受け取っていたようだし、

 金儲けの為という事もあり得る。


『あの方』の協力で捕縛したテイマーが殺されたのも、

 口封じでソラに消されたのかもしれぬ。


 その証拠に、テイマーが殺された直後にソラはこの街を出て行っているからな。

 これは惚けてる場合ではなかった。

 直ぐにソラを追わなければならぬ。

 

 私は巡回を再会し、

 次なる街、ダンジョンタウンへ向かった。


 ダンジョンタウンに向かう途中の野営地で、

 またあの方の活躍した後を見る事となった。


 盗賊共が捕縛されていたのだ。


 攫われていた子供達を保護して、

 私は一旦ヨイタウンに戻る事になったが、

 私とあの方が同じ道筋を辿ってるという事に、

 私は嬉しくて仕方ない。


 もしかしたらあの方もソラを追っているのかも知れない。

 急がなくては。

 早くあの方に追いついて、

 私はお礼を言いたいのだ。


 保護した子供達をヨイタウンに送り、

 ダンジョンタウンへの道を急ぐ。


 ダンジョンタウンにあの方がいる。

 そう思うと心が躍る。


 どうやら私はいつの間にか、

 あの方に強い憧れを抱いているようだ。


 ダンジョンタウンに着き、

 早速冒険者ギルドに聞き込みに行くと、

 ソラなる人物の手がかりが直ぐに見つかる。


 ソラは隠れる気は全くないようだな。

 泊まっていると言う宿も見つけ、

 行って見たが誰もいない。


 と、そこへダンジョンに潜っているとの報告が来た。

 しかも特級ダンジョンだと?

 情報だと、あそこの一階層のボスはサイクロプスだ。

 サイクロプスと言えば、Sランク相当と言う話しだ。

 ソラはそんな実力者なのだろうか。

 抵抗されたらかなり厄介だな。


 現在、巡回している騎士団は4人。

 少数だが皆Aランク以上の実力者だ。

 しかし相手がAAAランク以上だと苦戦するだろう。


 応援を頼むか。


 私はダンジョンタウンの常駐の腕利きの衛兵数人を応援に加え、

 特級ダンジョンの出口にて、

 ソラを待ち伏せする事にした。


 待ち伏せを始めて2日目。

 部屋の魔法陣が光りを放った。


 情報では、ここ一週間は特級ダンジョンに潜った者はソラ以外にはいない。

 出て来るのは間違いなくソラだろう。


 緊張が走る。


 どんな凶悪な奴なのか分かったものではない。


 光りが収まり、

 そこに一人の人物と一匹の猫が姿を現した。


 ……………………………………


 「隊長!出て来ました!」


 一同がソラを囲む。


マリアーノ「貴様がソラだな!」


 ソラ「えっと、そうです」


 マリアーノ「貴様を捕縛する!」


 ソラ「えっ?!ええぇぇえーー!!」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 よく分からないまま騎士団に取り囲まれ、

 敵意を向けられている。


 ソラ「私何か悪い事したのかなぁ?」


 マリアーノ「黙れ、貴様が田舎村を滅ぼした張本人であろうが!」


 ソラ「えぇ?!私が?!何のために?!」


 マリアーノ「何の為にだと?!それはこちらが聞きたいわ!理由を言え!」


 ソラ「田舎村は盗賊に襲われたんです!何で私がそんな事するんですか。意味が分かりません」


 マリアーノ「とぼけるな!貴様の家だけが無事だったのが何よりの証拠だろうが!」


 ソラ「え?!そんなのが証拠になるの?!嘘〜」


 マリアーノ「むぅ、惚け通せると思うなよ。あどけない振りをしおって、惑わされんぞ」


 あどけない振りって、

 私の全部が演技で、嘘だと決めつけてるの?

 もう、何を言っても無駄じゃない。


 にゃん吉「こやつは、以前の街で助けた騎士団長ではないか?」


 にゃん吉はソラの肩に乗って囁いて来た。


 ソラ「うん、たぶん」


 にゃん吉「どうするんじゃ?」


 ソラ「どうするもなにも、どうしたら良いの?」


 マリアーノ「何をぶつぶつ言っている?!まさか呪文の詠唱か!?おい!捕縛しろ!」


 ソラ「えっ!?」


 ガチャリと、あっという間に鉄の手枷をかけられてしまった。


 マリアーノ「魔封じの手枷だ。これで魔法は使えぬ。ヨイタウンでのトロールの件も聞かねばな。貴様は怪し過ぎる」


 ソラ「えっ?!トロール??」


 マリアーノ「そうだ、貴様がけしかけたトロールだ」


 ソラ「何で私が?!けしかけたのは怪しいテイマーだし、あの時ゴブリンとトロールやっつけたのは……!」


 つい、討伐したのは自分だと言いかけて踏み止まった。


 マリアーノ「ほぅ、まるで見ていたような口ぶりだな。ギルド長に聞いているぞ。あの場には貴様は居なかったとな。それに何故テイマーの存在を知っている?テイマーの存在を知っているのは、私の騎士団とギルド長、それに、駄々っ子ハンター様だけだ!」


 ソラ「……様?」


 マリアーノ「犯人しか知らない情報を知っている時点で確定だ。これより王都に連行し、裁定を下す。連れていけ!」


 騎士A「はっ、マリアーノ様、猫はどうしますか?」


 マリアーノ「猫?魔封じの手枷をしているのに逃げないのだな。テイムの魔法が使えないのだ、いずれどこかへ行くだろう、放っておけ」


 ……………………………………


 ソラはそのままギルドの外に待機していた、

 護送用の馬車の荷台に閉じ込められた。


 その様子を、遠目から伺っている3人の姿があった。


 女キノ「見たかい!あの子捕まっちまったよ」

 男オト「あーりゃりゃ」

 男サキオ「どーするでやんすか?」


 キノ「獲物を先取りされて、このキノ様が黙って見てると思うかい?」

 オト「へへ、そう来なくっちゃ」

 サキオ「やるでやんすね?」


 キノ「あたぼうさぁ、オト、サキオ、行くよ!」


 オト、サキオ「「へい!」」


 ………………………………

 そしてこちらは馬車牢のなか。


 にゃん吉「ソラ、どうして自分が駄々っ子ハンターだと名乗らん?マリアーノとか言う女騎士団長は駄々っ子ハンター『様』とか言うとったぞ。名乗り出れば疑いも解けると思うが」


 ソラ「だってさぁ、なんか嫌だったんだもん。ぜーんぶ私のせいにされてさぁ、看板にもソフィアって名乗ってるのに、駄々っ子ハンターって言ってるしさぁ」


 にゃん吉「だからと言って捕まったままじゃどうにもならんじゃろ」


 ソラ「そうなんだけどさぁ、なんかやる気出ないって言うか、せっかく助けたのに、何なんだろうって思ってさぁ」


 にゃん吉「助けたのを後悔しとるのか?」


 ソラ「んーん、それは無いよ。ゴブリンは酷い事するから、それに関しては助けられて良かったと思ってるよ」


 にゃん吉「そうか、お主らしいの。とりあえずいつでも抜け出せるのじゃ、やる気になったら言うんじゃぞ」


 ソラ「うん。なんか疲れちゃった。寝るねぇ」


 にゃん吉「やれやれ、この能天気なのも、お主らしいのぉ」


 どれほど眠っていたのか、

 馬車はいつの間にか動き出していた。


 ソラ「うーん、おはよう爺ちゃん」


 にゃん吉「ずいぶん寝とったのぉ、慣れない魔法を使いまくったからじゃな」


 ソラ「どれくらい寝てたの?」


 にゃん吉「まる一日じゃ。マリアーノが食べ物を持って来たが、全く起きる気配がなかったから、呆れとったぞ」


 ソラ「あ、ほんとだ、いただきまぁ〜す」


 にゃん吉「して?どうするんじゃ?」


 ソラ「むぐむぐ、逃げたらさ、モグモグ、また疑われない?むぐ、ごくん。」


 にゃん吉「そうじゃのう、少なくとも怒りは買うじゃろうの」


 ソラ「だったら、ガブ、もぐもぐ、このまま、むぐむぐ、王都に行っても良いかなぁ、ごくん、楽だし、何より安全に王都だよ。しかも食事付き昼寝付きで、エイワの大森林にも近付くよね、良い事尽くしだよ」


 にゃん吉「全くお主と言う奴は…」


 ……………………………………


 そんなこんなで、

 馬車牢の中でソラは大人しくしていたが、

 マリアーノがたまに話しに来ても、

 ソラは、プイッとして断固黙秘していたのだった。


 だってどうせ話し聞いてくれないんだもん。


 そして、数日経った時だった。

 騎士団とこの馬車が襲撃されたのだった。


 ………………………………


 マリアーノ「くそっ何故こんな所にこんな魔物が!」


 キノ「あーはははは!、どう?私のミノタウロスは?」

 マリアーノ「なんだ?!貴様は何者だ?!」


 キノ「名乗る程の者よ、私はキノ。あなた達にはお亡くなりになって貰うわ」


 マリアーノ「何だと?!そうか、貴様はソラの仲間だな!」


 キノ「仲間?冗談でしょ。組織の邪魔をするあの小娘も一緒に死んで貰うわ!行け!ミノタウロス!」


 マリアーノ「ミノタウロス如き、我ら4人でかかれば敵ではないわ!」


 キノ「あらぁ残念だけどミノタウロスだけじゃないのよぉ」


 するとそこにミノタウロス以外にも、

 魔物が姿を現した。


「ぐもおお!」


 オト「僕も来たよ!」


 マリアーノ「なっ?!なに!?」


 騎士B「馬鹿な!オークじゃないか!」


 ……………………………………


 ソラ「なんか外が騒々しくない?」


 にゃん吉「ふむ、戦っとるようじゃの」


 ソラ「そうだねぇ」


 と、呑気に言っているが、

 実は凄く聞こえている。

 

 ミノタウロスかぁ、

 つくづく縁のある魔物だね。

 オークも倒せない騎士団じゃ、

 ミノタウロスもいたんじゃ全滅は間違いないよね。


 にゃん吉「して?どうするんじゃ?何もしなければわしらも危ないぞ」


 ソラ「そうだねぇ」


 にゃん吉「全く、お主ときたら…、いつにもまして危機感が無いのぉ」


 ……………………………………


 騎士C「ぐあっ」


 騎士Cはオークの一撃で吹き飛ばされた。


 騎士B「Cーー!!おのれ見にくいオーク!」


 マリアーノ「貴様ら一体何者だ!」


 キノ「何者でも良いじゃないか、どうせここで死ぬんだ」


 マリアーノ「くそっ薄汚いテイマーなんぞに」


 キノ「ふん!お前達はいつもそうだ、そうやってテイマーをいつも馬鹿にしやがる。テイマーこそが最強なんだよ!行け!ミノタウロス!」


 オト「オーク行け!」


 ミノタウロス「がぁあー」

 オーク「グォオー!」


 マリアーノ「くっ」

 騎士A「マリアーノ様!とてももちません!」


 キノ「さぁここでダメ押しと行こうかねぇ、サキオ、馬車を潰しておしまいだ!中身ごと破壊してしまいな!」


 マリアーノが馬車へと振り向く。


 3体目の巨大な魔物が、

 まさに馬車を殴り壊した所だった。


 バキバキッバカーンッ


 マリアーノ「くそっ」


 すると、そこへ声が響く。


 ソラ「真剣火山雷!!」


 ドカーンッと馬車から飛び出し、ついでに魔物の顔面を切り付けて上空に飛び出した影があった。


「ぎえぇえええ!!」


 顔を切られた魔物の悲鳴が響く。


 キノ「!!」

 オト「へ?」

 サキオ「あー!オイラのオークが!」


 マリアーノ「あ!あの仮面は?!……まさか……」


 シュタッと着地したソラ。

 顔には例の変な仮面を付けている。


 ソラ「仮面の剣士!ソフィア、ソ フィ ア!参上!!」


 妙にソフィアを強調して名乗るソラ。


 キノ「出たな!駄々っ子ハンター!行け!ミノタウロス!」


 ソラ「ぐっ、ソフィアだって言ってんでしょ!んもお!」


 剣を持って襲って来るミノタウロス。

 騎士Aが正面に呆然と立っている。

 ソラは騎士Aを優しく蹴り飛ばし、

 横に優しく吹っ飛ばす。


 騎士A「ぐえっ」


 ソラ「邪魔!!」


 ミノタウロス「ぐあああ!」


 大きく振りかぶるミノタウロス。


 ソラ「豪剣稲妻!」


 ミノタウロスの胴体を必殺の一撃が襲う。


 ソラ「からのぉ」


 ソラはそのままオトが操るオーク目がけて飛んだ。


 ソラ「豪剣爆雷!!」


 オークはなす術もなく脳天から真っ二つになった。


 キノ、オト「「な、な、な、なにーーー!!」」


 マリアーノ「嗚呼、美しい……」


 サキオ「オイラのオーク!頑張れ!」


 オーク「うがぁああ!」


 オークはソラに向かって行くが、

 顔を切られている為か、

 動きが遅い。


 ソラ「おっそ。こっちから行くよ。メーテオーローローギアー、雷神トニトゥルスよ、汝の刃を我が元に、

稲妻をもって敵を滅ぼせ。

稲妻落とし!≪ケラヴノス≫!」


 突然発生した雷雲から、

 巨大な雷がオークに落ちた。


 マリアーノ「まさか、あんな強力な魔法まで…なんて素晴らしいお方なの」


 騎士CB「「おい、A大丈夫か?」」


 ソラ「ふぅ、あースッキリした」


 にゃん吉「八つ当たりされた魔物もたまらんな」


 マリアーノ「あ、あの……」


 ソラ「なに?!まだ何か文句あるの?!」


 マリアーノはソラの足元に跪き、

 頭を垂れた。


 マリアーノ「駄々っ子ハンター様、貴方の深き慈悲に感謝申し上げます。」


 ソラ「だぁかぁらぁ、私は仮面の剣士ソフィア!!」


【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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