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秋川千鶴の場合9
家事を一通り終えると紅茶を煎れた。カモミール。私の夜の友達。その香りはいつも私を癒してくれる。ポットから伝わる熱量さえも心地良かった。
紅茶を持って寝室へ向かう。そしてパソコンを立ち上げた。スマホでは気分が出ないのだ。やはり配信を楽しむならパソコンのほうが良い。
ブックマークから配信サイトに接続する。フェイバリットキャスティング。通称ファボキャス。私はこの配信サービスをよく聴いていた。ファボキャスは他の生配信サービス同様、配信者とのリアルタイムなコミュニケーションが可能なサイトだ。割と古参の配信サービス(サービス開始から一〇年くらいにはなる)で多くの配信者とリスナーを抱えている。おそらくは国内配信サービスの中では最大級だと思う。
私はこのサイトがサービス開始した当時からのリスナーだ。思えば新卒ほやほやの頃からずっと聴いている気がする。先輩にしごかれ、そして寝る前にファボキャスを聴く。当時はそんな生活だった。
ファボキャスと共に歩んだ一〇年――。そう言っても過言ではないと思う。私自身は配信をしないけれど、私の隣にはいつもファボキャスがあったのだ――。




