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錯綜する戦い 7

先程までの荒々しさが嘘のようにただ静かに杖を構えたゴドリックの姿に騎士達は息を飲む。


その姿が実に洗練されたものだったからだ。


騎士達を見据えるその瞳は狂戦士のそれではなく、老練の武人のような闘志を内に秘めたものだ。


先程までの振る舞いは演技でこちらが本来のスタイルなのだと分かる。


(蛮族が魔術と武術を使いこなすとか、何の冗談だ)


これまでのように咆哮と共に殺気を周囲に放っている訳でも無いのに威圧される。


オーク等の蛮族と呼ばれる種族は全体的に知能が低い分、身体能力に優れるという特徴を持つ。


それ故に戦いは基本的に力任せにぶん殴るだけだ。


どれだけ身体能力に優れていようと大振りな攻撃には隙が存在する。


武術を習得した者はその隙が少ないのだ。


普人を圧倒的に超越する身体能力で武術を扱われることがどれだけ厄介なことか。


だが、いつまでも躊躇ってはいられない。


騎士達には時間が無いのだから。


(あのオークには聞きたい事も色々あるが、そうも言ってられない状況だな)


「しゃーねぇ。お前ら生け捕りなんて生温い考えは捨てろ!殺して所持品を分捕るぞ!」


確かに目の前のオークは非常に珍しい存在で奴隷として競売にかければ高値で売れるのは確実。


それにその所持品の出所が分かれば莫大な利益が約束される。


だが、それが出来ればの話だ。


情報を引き出せても、地下空間で蒸し焼きか煙に巻かれて全滅しては意味が無い。


出来る範囲で最大限の利益を追求した結果の判断だ。


騎士達にとって目の前に立つゴドリックは宝の山を抱えている様なものだ。


それだけで十分と言えた。


妙な欲を出して全滅したという話はカルディア傭兵国においては幾らでも転がっている。


高望みをし過ぎない事も部隊を統率する者には求められる資質であった。


見るからに不利な状況でも騎士達に諦めや絶望といった表情は浮かんでいない。


彼等もまた無策で特攻するなど絶対にしない。


敵が知恵ある存在であるとなれば尚更だ。


知恵比べもまた狩りの醍醐味だ。


人が減れば手間が増える分報酬が増える。


悪い事ばかりでは無い。


「行くぞ!」


『おおッッ!!』


気迫と共に騎士達全員が一丸となって駆け出す。


騎士達がゴドリックを中心とする半径5mぐらいの領域……


お互い一息で攻撃を届かせられる位置にまで踏み込んだのと同時だ。


『全開放ッ!』


武器を所有していなかった全員が大声で同時に言い放つ。


その瞬間、『バヂッ!!』と青白い雷がゴドリックに突き刺さった剣から迸った。


「……ッッ!!?」


突然の全身を駆け巡る予期せぬ衝撃にゴドリックは大きく目を見開く。


騎士達の所持していた剣は気絶剣(スタンソード)と呼ばれる量産型の魔道具であった。


柄頭に魔力を溜め込める魔石が埋め込まれており、柄に設置されているスイッチを押す手動起動か登録してある鍵となる言葉を口にする音声起動のどちらかで魔力を雷へと変換して刀身から放つ事が出来る。


対象を大きく傷付ける事無く捕獲できる便利な支給品であった。


出力は流す魔力に比例する。


低出力でも小さな獣を昏倒させられるだけの威力がある。


騎士達が口にした言葉は剣が溜め込んでいる全魔力を雷に変換して放出するものだ。


それが10本以上同時に炸裂したのだ。


雷によりゴドリックの体はビクリと震え、動きが止まる。


その間に武器を握った騎士達が殺到して次々と剣をゴドリックの体に突き刺して行く。


体の内側からのダメージに『表皮硬質化』が強制解除されていたので、大きな抵抗も無く騎士達の剣がゴドリックに突き立つ。


『全開放ッ!』


ダメ押しとばかりに更に雷が同時に剣から放出された。


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