錯綜する戦い 3
『ゴンッ!』、『ガンッ!』と鈍い音が響き、そんな音が鳴り響く度に騎士達が宙を舞う。
「ヤツの攻撃は絶対に受けるな!剣も鎧も砕かれるぞ!」
「クソッタレが何て馬鹿力だ!」
「こいつの体おかしいぞ、体重が乗ってないと剣がまともに通らねえ!」
ゴドリックに群がる騎士達の怒声が響き渡る。
「押し切れ!小さなダメージでも積み重ね続ければ落とせる!」
個としての能力値で勝っていても数の暴力というものは軽視できるものではない。
ゴドリックは致命傷となりえる攻撃を優先的に潰し、仕留められる好機を見計らって確実に数を削るのに専念していた。
大ダメージは避けているが、小さな傷が累積していく。
いずれ限界が訪れるのは必然だ。
だが……
『(小さき癒しの光)』
小声で鬼人語による短文詠唱を行い、回復魔術を発動させる。
ゴドリックはティアリエからの教えを受けて初歩的な回復魔術を習得していた。
一定の魔力と体力を3割程消費してHPを最大値の2割程度急速回復させる。
小さな傷は塞げるが大きな傷を塞ぐことはできない。
ただそれだけの術だ。
普通であれば応急処置程度の効果しか発揮しないのだが、ゴドリックの場合は話が違ってくる。
オークの変異種であるゴドリックはHPが高い。
彼のHPであれば2割であっても騎士達2~3人分ぐらいのHPを回復できてしまうのだ。
しかも、STも高ければ回復速度も速いので3割程度であれば数分もしない間に自然回復してしまうのだ。
『な!?』
ゴドリックの体が魔力の光に包まれて傷が癒えていく様子を見て、騎士達が驚く。
「オークが魔術だと!?」
「しかも、習得が特に難しい回復魔術!?」
種族的にオークは魔力が少なく、更に言えば脳筋が多いので魔術を扱える固体が異様に少ない。
それ故に他の種族からは蛮族と言われる訳である。
努力家なゴドリックは武術、魔術の両面で着実に成果を上げていたのだ。
そして、その相性は凶悪である。
魔力が切れるまで自己回復して継続戦闘してくるとか時間が無い騎士達にとっては悪夢的であった。
「術が多少使えると言っても所詮はオークだ!魔力量はそう多くはない筈だ!」
士気を下げない為に部隊長が声を張り上げる。
『(治癒力増強)』
その間にもゴドリックは次の魔術を発動させる。
ゴドリックの全身を燐光が包み込む。
5分間、一定の体力を消費し続ける代わりに自己治癒力を引き上げて緩やかな回復を行う魔術だ。
先程の『小さな癒しの光』と違うのは回復が緩やかな代わりに体に掛かる負担が小さい事とHP回復の総量で言えばこちらの方が上という辺り。
消費魔力はどちらも同じくらいだ。
どちらも回復魔術の初歩も初歩と言えるものではある。
それでもゴドリックのようなタイプには恐ろしいぐらいにその効果を発揮する。
普通であれば体力切れを心配しなくてはならなくなるのだが、体力に優れるゴドリックにはその心配があまりない。
というか、『治癒力増強』によって消費される体力がゴドリックの自然回復速度と殆ど変らないぐらいの値なのだ。
応急回復で癒えていなかった傷が目に見えて治っていく。
回復魔術に関しても一通り基礎的な術を知っている騎士達はそれがどんな術なのか一目で理解した。
ゴドリックの継戦能力が格段に上がったのが分かり、騎士達は息を飲む。
(今ので確信した。やっぱこのオーク凶暴そうに振る舞ってるだけで理性的だ)
「喜べ、お前ら!回復魔術も使えるオークの変異種となると希少だ!価値が跳ね上がったぞ!」
『オオッ!!』
士気を下げないように無理矢理にでも鼓舞する。
半ばやけくそではあるが、指揮官として成功率を上げるためにやれることはやらねばならないという実情である。
ボスが回復してくるってかなりの絶望感あるよね。D○2のシ○ー様のベ○マとヴ○ルキリープロファイルのブ○ッドヴェインのキ○アプラムスは衝撃的だった……
ちなみに後者は大魔法グ○ビティブレスもトラウマです。初プレイ時何度全滅させられたか覚えてない。




