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それぞれの戦い(エーゼル) 22

PCの自動更新したら立ち上がらなくなるというトラブルが発生してしばらく更新できませんでした。

何とかセーフティモードで起動して、回復して、更新設定を手動にしておきました。

「総員、突撃!」


『オオッッ!!』


隊長の号令と共に騎士達は鏃のような形を保ったまま、一つの生き物のように駆け出す。


「来るぞ!射程に入り次第矢を放て!とにかく近付けさせるな!」


『了解ッ!』


エーゼルの指示に従い騎士達へと向けて次々と矢が放たれる。


風の精霊の協力で射程を大きく伸ばし、威力が上がっている彼らの矢は雨のように騎士達へと向けて降り注ぐ。


先程の戦闘でエーゼルの巻き起こした暴風で盾を失っている騎士達は剣を抜き、両腕で顔面と喉といった急所をガードしつつ、ただ突っ込む。


騎士達は吹き飛ばされた盾を回収する余裕など無かったのでそれしか手立てがないからだ。


その手に握られた剣は刃を寝かせて腹の部分を前にした状態で頭上に掲げられている。


盾に比べれば非常に頼りない面積しか持たないが、それでも無いよりは断然マシだからだ。


騎士達に矢の雨が殺到する直前、騎士達の頭上2mぐらいの空中に薄く広い水がまるで幕のような揺らめきを見せながら現れる。


ドプン……!


矢が水の幕に突っ込み、飛沫と共に数々の波紋を産む。


数cmも厚みのない水の幕を矢は当然貫く。


だが、空気と比べ遥かに大きな質量と粘性のある水に突っ込んだ矢は明らかに威力が減衰させられていた。


そして、威力を削ぎ落とされた矢は水の幕と騎士達の間に張り巡らされた矢避けの風によって、殆どが吹き散らされていた。


2重の防壁を抜いて騎士に突き刺さった矢は少ない。


エーゼルと狩猟部、警備部の最年長組の放った矢だけだった。


(チッ……!矢の対策ぐらいは当然講じているか)


「矢に魔力を込めて貫通力を上げろ!生半可な攻撃では到底足を止められないぞ!」


『了解!!』


エーゼルの指示の後、魔力によって強化された矢が惜しみなく放たれて、キラキラと輝きながら飛んでいく。


光り輝く矢は騎士達を守る水の幕と矢避けの風を薄紙のようにアッサリと貫いて、容赦なく騎士達へと降り注ぐ。


「魔力の出し惜しみはするな!消費分は聖樹から供給される!ガンガン放て!」


エーゼルは聖樹に差し出した寿命の半分を用いて聖樹の成長と活性化を行い、残りの半分は純粋な魔力として変換させて聖樹に貯蔵させていた。


エーゼル持っていた何千年分もの時間。


それによって得られた魔力は一般的なエルフ100人近くを十分以上に支えられるものであった。


倒れる同胞など一瞥もしないままに騎士達は一切速度を緩めない。


エルフ達も突き刺さろうが弾かれようが気にせず矢を放ち続ける。


同じ守りでは防げないと判断したのだろう。


水の幕が矢の落ちて来る角度に対して沿うような角度に調整され、海のように大きく波打つ。


角度によって水をの接触を増やし、更に動きをつける事で威力を削ぎ落とす算段だ。


「弾けろ!」


ドバンッ!!


エーゼルの放った矢が水の幕に刺さると同時に大きく弾ける。


水の幕の一部が弾け飛び、穴が空く。


その穴を幾本もの矢が通り抜けて行く。


エーゼルは矢に対して貫通力を高めるのではなく、破裂するように密度を上げた魔力を矢先に込めていた。


当然、消費魔力も大きくなるのだがエーゼルは気にせず同じ矢を次々と放ち、水の幕のあちこちを吹き飛ばして、全体のフォローをしていた。


(どこかに術者が居るようだ。それもかなりの使い手だ)


騎士達全員を包み込む範囲の広い術を2重展開していることから実力が察せられる。


範囲の代わりに強度を犠牲にしているようだが、その角度や動きなどで十分な効果を生み出すといったアレンジが出来る相手だ。


油断は出来ないとエーゼルは判断していた。


だが、それを生み出している術士の姿が見えないのがやけに嫌な感じであった。


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