↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/331

それぞれの戦い(ゴドリック) 4

ゴドリックの投げた錆びた槍……


炸裂槍(さくれつそう)と言うのだが、コンセプトは『使い捨て』である。


ゴドリック並の力(STR)になると普通の鋼程度なら振り回すだけでも簡単に折れてしまう。


『なら、最初から使ったら壊れる前提で使える武器を作れば良いじゃないか!』というティアリエの発案の下、シュラが地球の火薬に関する知識を伝え、手榴弾やらクレイモア地雷やらを参考に作り出した武装だ。


シュラの『組成操作』を使えばニトログリセリンを代表とする爆薬は簡単に作り出せる。


硝酸系の爆薬は炭素、水素、酸素、窒素の組み合わせで構成されているので材料ならその辺から幾らでも集められる。


本来なら何かと化学反応を利用して、きちんと手順を踏まないと出来ない代物だが『組成操作』であれば材料さえ揃っていれば直接組み換えらるので量産速度も半端じゃないのだ。


爆薬は空気と水と有機物があれば即座に量産可能、破裂させる槍本体も似たようなものだ。


地中の砂鉄を集めるだけでも良いし、これまでに倒してきた騎士達の装備品を分解するだけでも良いのだから。


素材が簡単に手に入り、サクサク量産できて使い捨てが気にならない。


それで効果はえげつないという、地雷みたいな武装であった。


ちなみにカンボジアなんかに埋まっている対人地雷は1個300~500円ぐらいという単価だったりする。


子供の小遣いで十分買える金額だ。


元々、中~遠距離の範囲攻撃手段を持っていなかったゴドリック用の対人専用の武装だ。


「……こうなっては仕方がない。多少の犠牲は目を瞑る、全速力でこの場を離脱させるぞ」


「部隊長!それでは損害が想定以上に……」


「言ってる場合か!ここで足止めを喰らえば、確実にハイエルフを見失う!あの黒いオークが出た時点で想定外の事態になっている!我々は何の為にこんなド辺境までやって来たと思っているのだ!?このままでは全ての苦労が無為へと消える!」


「くっ……了解しました」


「喜べ、頭数が減ればそれだけ配当は大きくなるぞ」


部隊長と副長の会話。


「総員、全力でこの場から離脱せよ!損害を気にせず全速力で駆け抜けよ!」


部隊長からの指示が飛ぶと同時に全員が一斉に動き出す。


炸裂層は範囲攻撃が出来る武器ではあるがそれを扱うのはゴドリック1人であり、投擲という使用方故に連射速度は完全にゴドリック依存となる。


当然ながら100人近い規模の数十人全てを狙う事など出来やしない。


ならばせめてとなるべく人数が纏まっている個所の中心に槍を投げて足を止めさせるのが関の山だ。


(このままでは抜けられる。後退だな)


左右に散った騎士達はゴドリックを避けて藪をかき分けながら走る。


ゴドリックは反転して、全力で獣道をエーゼルが走り去って行った方向に走る。


ゴドリックの目的は足止めだ。


敵の数を無理に削る事に拘っていないからこその即決であった。


(だが、指揮官だけは今の内に潰しておく!)


「グルァッ!!」


炸裂層の2連投。


それらを指示を飛ばしていた部隊長と副長の方へと集中して飛ばす。


2本の槍は2人を挟み込む形で前後の地面に突き刺さって破裂する。


(足が止まっている間に叩き潰す)


そう思っていたのだが、炸裂した槍の破片全てが2人のすぐ傍で散らされて、小さな傷一つ負う事は無かった。


(矢避けの魔術か!)


矢避けは風系統の魔術で飛び道具を逸らす風を纏わせる術だ。


軽い物程大きな効果を発揮するのが特徴で、爆発で撒き散らされた槍の破片などであればご覧の通りの結果を生み出す。


ティアリエから一通り基礎的な魔術は教わっていたので、一目でその現象の正体が分かった。


(であれば……難しいが槍を直撃させる)


ただでさえ障害物の多い森の中で投擲を用いて敵を仕留めるのは難しい。


だが、ゴドリックは元々が生産職。


器用値(DEX)が高めなので命中精度はそれなりに高い。


障害物に当たらないコースを計算して全力で炸裂槍を投げ放つ。


槍のような重量物。


しかも、ゴドリックの膂力であれば矢避けの風を突破するのは容易だ。


ゴドリックの投げた槍の先……


ゴドリックと部隊長の間に人の頭程の大きさの水の球が出現する。


槍は現れた水に突き刺さり、その衝撃で破裂する。


だが、水に包まれた状態では破片も液体の粘性抵抗によって殆ど威力を削がれ、パラパラと地面に落ちるばかりだ。


しかも、爆発の衝撃で槍の勢い自体が削がれてしまい、柄の部分も地面に落ちる。


(どこかに術士が居る)


それを見たゴドリックは意識を集中して周囲を探った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。