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それぞれの戦い(ミラフィア) 6

年始は実家に帰っていたので更新できませんでした。

今日から再開します。

樹上から飛び降りたミラフィアは地上で木々を縫うように駆け抜けていた。


(勘違いかなって思ってたけど、やっぱり体が軽い)


いつもより走れる速度が明らかに速い。


(もしかして、急に精霊さん達の声が聞こえ易くなったのと関係あるのかな?)


ミラフィアにはその理由が思い付かなかった。


何故なら彼女は先刻追って来ていた狼達を倒したという認識が無いのだから当然であった。


ティアリエから貰った道具は説明を聞いた限り全て非殺傷のものだったので、足を止めさせたとしか思っていなかった。


それがまさか奇跡的なコンボを生み出して、その殆どを倒してしまっていたとは思ってもいなかった訳である。


状況が状況だけに自らのステータスを確認するという余裕も全く無かった訳で本当に何が起こっているのか分かっていない。


(でも、どうしてなんだろう?分からないけど、今はそんな事気にしてる場合じゃないよね!)


今のミラフィアは現在進行形で追われている身の上。


ミラフィアにとって大事なのはゴドリックの住処に向かう。


ただそれだけであった。


身が軽いのも、息が長続きするのも、精霊達の声を聞き取り易くなったのもどれも都合が良い事であった。


(とにかく、今はゴドリックの所にいかないと!)


森の魔物にせよ、騎士達にせよミラフィアには荷が重い相手なのだけは確かだ。


頼りにできるのはゴドリックの家に居るであろう3人だけ。


(ティアリエに貰った道具はもう残ってない。今度見付かったらどうなるか分からない)


騎士達に使った『激臭閃響催涙弾』それが最後の逃走用アイテムであった。


もう足止めは出来ない。


その意味をミラフィアは正しく理解していた。


だから、全速力で向かっていた。


しばらくして、移動している最中、ミラフィアはある違和感に気付く。


(何かが少しずつ近付いて来てる?)


精霊達が警告を飛ばして来た。


ミラフィアにとって危険なモノが確実に近付いて来ていると。


(私の気配の偽装は完璧な筈……でも、間違いなく近付いて来てる!)


森の精霊達の声を聞いて、速度を上げる。


『どうして』等と思っている暇はない。


今は全力で逃げるしかないとミラフィアの本能が告げている。


精霊達から伝わってくるのは胸を締め付けるような悪意。


今追って来ている存在に捕捉されてはならないというのが精霊を介して伝わって来る。


(遠回りしたから、ゴドリックの家までまだ距離がある。多少の痕跡は仕方ないよね!)


全身に流す魔力を増幅させて、身体強化の強度を上げる。


「森を吹き抜ける優しき風よ。小さきこの身に背を押す追い風を与えたまえ」


更に初歩的な風の魔術による加速魔術。


自身の背後から追い風を発生させて空気抵抗を軽減させるという単純な魔術。


それでも無いよりは遥かにマシなのだ。


それにステータスが上がった状態のミラフィアだと空気抵抗の軽減はより大きな効果をもたらす。


魔術の起動によって魔力の痕跡は残る。


種族的に魔力の扱いに優れるエルフであれど、これまで本格的に魔術を扱った事の無いミラフィアの拙い魔力操作ではその痕跡を隠す事など出来はしない。


仮にだがティアリエであれば、同じ事をしても魔力的な痕跡を全く残さないという事が出来ただろう。


今のミラフィアにはそれが出来ない。


それが純然たる事実である。


体力的にも魔力的にも十全とは言えない状態。


だが、それでもミラフィアは少しでもゴドリックの家へと近付く事を選択した。


先程までは余力を考慮に入れた全力であったが、今の全てを出し切る正真正銘の全力疾走。


ミラフィアの速度が一気に跳ね上がる。


速度が上がった分、細かいコントロールが失われて小枝などに引っ掛かって手足に細かい傷が増えるが、その痛みも気にも留めず走る。


魔力が先に尽きるか、体力が先に尽きるか分からない生き残るための勝負に出た。


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