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仲村慶彦の憂鬱 社会人編  作者: sky-high
自分を変えるきっかけ
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童貞のどこが悪い?

「何て言ってるのかよく聞こえないな」


弾丸が背中で亜美達の会話を聞いているが、周りが騒がしく、声も小さいので聞き取れないらしい。


亜美は野村に手を握られうつむいている。


「…ホテルがどうとか言ってる」


ナニ~っ!ホテルだと?


「で、ケースケ、その先は何て言ってるんだ?」


「いや、上手く聞き取れない、とにかくホテルって事は言ってた」


こりゃ野村の毒キノコの餌食になりかねんな、亜美は。


「ん、ここを出ようとしてるな、あの二人」


弾丸とストライカーは背を向けて座っている為、二人の様子は見れない。

オレは柱に隠れながらも、二人の様子を見る事が出来る。


「やべっ!こっちに向かう!」


オレはとっさに顔を背け、柱にもたれながら酔っぱらって寝てるようなフリをした。


「よし、ここ出て二人の後を追ってみよう」


オレたちも即座に立ち上がり店を出て尾行した。


まだビール半分しか飲んでないのに…


「どっちに向かった?」


「あれがそうじゃないですか?」


ストライカーが指した方向に二人の後ろ姿が見えた。


「よし、行こうか」


「この先にホテルがあるはずだ」


「ナニっ?ホテル?やっぱ野村のヤロー亜美とヤルつもりだなっ!」


野村は亜美の肩を抱くようにして歩いていた。


「なれなれしいヤローだな、あのくそオヤジ」


徐々に距離をつめながらオレたちは尾行した。


「ヨッシー、あそこのホテルじゃないか?」


あっ!確かにホテルがある。

まさかあのホテルに入るのか?


「立ち止まりましたね」


ん?ホテルの前で二人は何かを話している。


「あ、手を引こうとしてるぞヨッシー!」


野村は亜美の手を引いてホテルに入ろうとしていた。


っていうか、亜美はどうなんだ?行く気なのか?


亜美は下の向いたままだ。


どうなんだ?入るのか?


すると野村が亜美の肩を抱くようにしてホテルに入ろうとしていた。


「よし、行こう!」


オレの合図で一気に二人の距離までダッシュした。


「待て待て~っ!」


「アニキ!」


亜美はオレたちを見て、見られちゃマズいものを見られているような顔をしている。


「仲村!何でお前がここにいるんだ?」

野村は野村で、せっかくのお楽しみのところに邪魔が入ったせいか、気まずそうな顔をしていた。


「亜美っ!お前まさかコイツとホテル入る気なのか?」


「…」


「どっちなんだ、亜美!」


「おい、仲村!お前の妹だかなんだか知らんが邪魔するんじゃねえよ、この童貞が!」


ゲェーっ!テメー、妹の前で童貞って言いやがったなこのヤロー!


オレ自殺モンじゃないか!っていうか公開処刑じゃねーか、おいっ!


「アニキまだなの?」


「言うなっ!」


恥ずかしい!チョー恥ずかしい!


妹にまで言われてしまった…


「ギャハハハハ!妹にまでバレちゃおしまいだな、おい?」


クッソー、何たる醜態だ!


「おい、オッサン!童貞のどこが恥ずかしいんだよ?」


弾丸が野村に詰め寄った


「ケースケくん、手を出してはダメだ!」


そうだ、弾丸、お前はボクサーなんだぞ!お前が手を出したらボクサー人生は終わりになるんだぞ!


「アンタさぁ、童貞、童貞っていうけど、嫌がる女ホテルに連れ込もうとしてるアンタこそみっともないと思わないのか?」


「連れ込む?人聞きの悪い事言うなよ、おい!オレたちは合意のうえでここに入るんだよ!」


何だと!亜美も合意なのか?


「おい、亜美!お前ホントなのか?コイツの事好きでここにはいるのか?」


「ううん、全っ然!だってこの人、アタシのタイプじゃないもん!」


へっ?何だって?んじゃ何で肩を抱かれてホテルに入ろうとしたんだ?


「アッハハハハ!ザマーねえな、オッサン!タイプじゃねえって!ここまで来て残念だったねぇwww」


弾丸がバカウケしている。


ここまで笑われたらマヌケだなこりゃw


「テメーは何モンだ、こらぁ!」


野村がキレて、弾丸の胸ぐらをつかんだが、ストライカーがそれを阻止した。


「はい、ストップ!そこまでにしましょうか、おじさま」


ストライカーが野村を羽交い締めにした。


「テメー、何しやがんだ!」


「何もしませんよ。だからあなたも何もしないでお引き取り下さい」


「亜美!こっちに来い!」


弾丸は亜美を手を引いてオレの前まで連れてきた。


「野村さん、アンタいい加減ウチの妹に付きまとうの止めてくれませんかね?ウチの妹はアンタの言う都合のいい女じゃないんだよ、このスケベオヤジが!」


「テメー仲村!ここまで目をかけてやったのにオレに逆らうのか、この童貞が!」


だから言うな~っ!


マジショックデカい!


「おい、オッサン!オレも童貞だよ!童貞のどこが悪いんだ?あぁ、言ってみろよおいっ!」


「ケースケくん、手を出しちゃダメだ!」


「大丈夫っすよ。こんなエロオヤジ相手に手なんか出しませんよ」



「アニキ、あの人達は誰?」


亜美は弾丸とストライカーを指して聞いてきた。


「オレの仲間だ。みんなお前の事を心配してここまで付いてきてくれたんだ」


「ウソっ?」


「ホントだよ、お前があんなオヤジと約束しなきゃオレたちは他の場所で飲んでたんだよ。あの二人はお前の事話したから、心配だってわざわざここまで来てくれたんだよ」


「そうなんだ、アニキゴメンね。ホント申し訳ない!」


亜美は手を合わせてゴメンと謝った。


「お前は行動が軽すぎだ!だからあんなとこに連れ込まれてしまうんだよ」


野村はまだストライカーに羽交い締めにされている。


「そうだよね、アタシが悪いんだよね…少し軽率過ぎたね…」


そう言うと亜美は野村の前に立った。


「この、スケベオヤジ!2度と連絡してくるな!」


バッチーン!と亜美はビンタをかました。


「痛そう…」


弾丸はそれを見て思わず自分の頬を押さえていた。


ビンタ食らった野村はその場に座り込み、呆然としていた。


「野村さん、アンタもう2度と亜美に近づくな!わかったな?」


野村は亜美にビンタ食らったせいか、うなだれていた。


「アニキ…」


申し訳なさそうに亜美は口を開いた。


「何だよ?」


「…お腹空いた!」


「はぁ?」


「いいから、みんなでまた飲んで食べてワーッとやろう!」


はぁ?何だこの切り替えの早さは?


「ハッハハハハハ!仲村さん、妹さんの言うとおりまた店に入って飲み直しましょう」


「うん、そうしよう!」


何だかよくわからんが、亜美には振り回されたような気がして疲れた!


オレたちは亜美を入れて再び店に入った。


野村は亜美にビンタ食らったショックでしばらくその場から動けなかったみたいだ。


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