見学していいですか?
オレたちは亜美を入れ四人で別の居酒屋に入った。
「今日はアタシの為にすいませんでした!お詫びにここはウチのアニキが奢りますから、カンパイ!」
「カンパーイ!」
「おい、何でオレの奢りなんだよ?」
「いいじゃん、いいじゃん。アタシの不始末はアニキの責任でもあるんだから」
コイツ全然懲りてねぇな!
「いやー、でも間一髪だったな」
そうだよな、あそこでオレたちが行かなきゃコイツは今ごろ野村の毒キノコの餌食になってたからな。
いや、こんなヤツだから毒キノコ退治してたかもな。
「へー、皆さんボクシングの関係者なんですか?スゴーイ、アニキ凄い人達と知り合いなんだねぇ~」
「そうだよ、この人達に感謝しろよ」
「うん、だからここはお詫びでアニキの奢りねっ」
…ダメだコイツ!やっぱ野村にヤラれた方がよかったのかも。
「ヨッシーの妹って中々オモシロイじゃんw」
「あぁそういやケースケと亜美はタメだな。まぁこんな妹だけどヨロシク頼むよ」
「ハイ、ケースケさんヨロシクね」
亜美は弾丸を見つめながらニコッと笑った。
「あ、あぁ、こちらこそヨロシク…」
ったく、受付嬢だから愛想だけは一人前だ!
「アニキ」
隣でボソッと亜美が呟いた。
「ん?」
「ケースケさんて彼女いないの?」
「は?」
「何かカッコいいじゃん。ボクサーなんでしょ?アタシもケースケさんの試合観たいな」
今度は弾丸に興味もったのか?
まぁ、弾丸なら安心して任せておけるな。
っていうか、弾丸はストイックだから彼女はまだ必要ないみたいだからな。
「まぁまぁでもこれで良かったじゃないですか。妹さんも無事だったし」
うーん、まぁ確かにストライカーの言うとおりなんだけどね。
「あのー、ケースケさんて次の試合はいつなんですか?」
「うーん、オレはこの前敗けちゃったから。しばらくは試合はないと思うんだけど」
「えー、敗けちゃったんですか?でもまた試合するんですよね?」
「うん、まぁそうだけど…」
「次の試合決まったら教えて下さいね!アタシ応援に行きますから!」
何だ何だこの展開は?
亜美のプッシュに押され気味だな弾丸は。
「悪いなケースケ、コイツあんまりデリカシーなくて」
「あ、いや大丈夫。ヨッシーの妹なんか面白そうだから全然」
「アタシそんなに面白いですかぁ?」
「さすが仲村さんの妹さんですね」
「アハハハハ!まぁこんな兄妹ですけどヨロシクお願いします」
ったく、オレはさっきの件でかなり疲れたよ!
でも、何か楽しくていいな、こういう雰囲気。
「あっ、そうだ!アニキ、この先会社大丈夫かな?野村さんにあんな事しちゃったから会社に行ったら仕返しみたいな事されちゃうんじゃないの?」
「え?仕返し?んなもんないよ、無い!だってあのオヤジ会社に全然来てないもん」
「スゲーな、よくクビになんないな、あのオヤジ」
「だろ?あのオヤジなんたって次期社長らしいからな」
「それじゃ仲村さん会社での立場が危なくなるんじゃないですか?」
「うーん、もしそうなったら転職でもしようかな。あ、橋本さんとこの仕事紹介してもらおうかな」
「いやー、ウチはいい給料出せないですよ」
「大丈夫ですよ、こう見えてアニキは働きモンですから目一杯こき使って下さい」
代わりに亜美がストライカーに頭を下げた。
「お前が言うんじゃないよ!」
「ギャハハハハ!」
オレたちは大いに飲んで食べて笑った。
「いやー、でも橋本さんの言うとおり、いい息抜きできたよ。
橋本さん、オレまたジムに行きますから、ヨロシクお願いします!」
「ケースケくん、もう少し休養してもいいんだよ?」
「いえ、もう十分息抜き出来ました。オレ、こうやって皆とバカ騒ぎしてるとかなりリフレッシュ出来たって感じで。だからまたジム行きますから、コーチお願いします」
「よし、じゃあ明日は日曜だから明後日からまたトレーニングしよう」
「ハイッ!」
やっぱストイックだな、弾丸は。
「アニキ…」
「何だ?」
「アタシ、ケースケさんの練習って見学出来ないかな?」
「えーっ?」
「何か頑張ってる人って感じで練習風景とかも見てみたいんだよね、お願い!」
おいおい、弾丸に一目惚れか、亜美は?
「だってさ、ケースケ。どうする?」
「い、いやでも練習見ててもつまんないと思うんだけど…」
「それでもいいんです!ケースケさんの頑張ってる姿見てみたいんです。お願い!」
「いいですよ、いつでもいらして下さい」
「橋本さん、コイツジムなんて連れてきちゃマズイんじゃ…」
「大丈夫ですよ。ボクサーってこんな練習して試合に挑むって姿を見てください。そしてケースケくんを応援してください」
何か…ストライカーってこんなに大人でカッコ良かったっけ?
前はやけにオドオドしてた感じだったけど、結婚してもうすぐ子供が生まれてくるんだもんな、そりゃ頼もしくなるわな。
そう考えると結婚ていいもんなんだな。
「申し訳ない!じゃあコイツ邪魔にならないように言い聞かすから」
「アタシは邪魔なんてしないよ~」
「何か不安だな」
「どういう意味よ?」
「まぁまぁ、じゃあ暇な時にジムに顔だしてください」
「はい、わかりました」
外面だけはいいんだよな、コイツは…




