14話
屋敷に暫く止まる事になったタンザナイトは庭園を
眺めながら昔のルベライトとの出会いを思いだして
いた。
そんなとき、ふと見知った顔と出会したのだった。
「殿下……もう、お着きになったのですか?」
「貴様はどうしてここにいる?」
「インペリアルト・パーズ子爵家代理としてこちら
には父からいわれルベライト殿に謝罪をする為に
参りました。ですが……まだ会えておりません」
「なんだと?」
さっきの話では数日前に家を出たと言っていた。
が、数日前からここにいるインペリアルトは会ってい
ないというのだ。
「どういう事だ?話せ」
「どうか、ルベライト殿をお助けください。今彼は、
彼は…いえ、少し場所を変えて話せませんか?」
インペリアルトは言葉を潜めて言ったのだった。
夜、改めて話をすると約束する事になった。
♦︎♦︎♦︎
自らの性器を切り落としたルベライトは意識を失った
まま運ばれた先は物置に使われていた部屋だった。
なんの飾り気もない、誇りがたまったままの部屋だ。
ルベライトの部屋のベッドの上は血に染まっており、
片付け終わるまで時間がかかりそうであった。
結果的に、医師達の進言通りになった訳だが、それを
不快に思っているのはファールマン子爵だった。
最近、ルベライトの成長は著しいものがあった。
魔法もただの土人形しか作れなかった彼が、今では
風と水を自在に操れるほどになっていたからだ。
これなら闇魔法の事がバレることはないだろう。
一安心すると、少し勿体無く感じた。
コーラルはもうアメトリン殿下の信用は得られない
だろう。
だが、ルベライトはどうか?
信頼を得て、今では自分の側におきたいとさえ思わ
れているのだ。
懸念があるとすれば、いつ闇属性だとバレるかと
いう点だけだった。
成績もよく、多少反抗的な態度はあるものの、兄の
コーラルよりも扱いやすいかもしれない。
それならいっそ……。
そう思った矢先の出来事だった。
自ら性器を切り落としたと聞いたのは。
これでは、いくら神殿で治癒魔法をかけてもらった
とて子供は絶望的だった。
「コーラルめ、余計な事をしおって……」
忌々しそうに呟くと、悩みの種がもう一つ増えた事
に苛立ちを感じていた。
ルベライトがもう使い物にならない事。
インペリアルト・パーズ子爵の息子がルベライトに
会わせろと煩い事。
そして、一番の問題が、タンザナイト殿下がルベラ
イトを身分の伴侶として考えている事だった。
これが本気だった場合、傷だらけの状態で合わせる
わけにはいかないのだった。




