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12話

丁度その頃、実家からの帰りが遅いとタンザナイト

はやきもきしていた。

ファールマン子爵家に訪問の手紙を送ると、早速馬車

に乗り込み出立していたのだった。


ファールマン子爵家に着いた頃、タンザナイト当ての

書簡が入れ違いに屋敷に届いたのだった。


面会を申し入れて出立はしたが返事はもらっていない。

王族の面会を断る貴族など滅多にいないせいもあった。



ファールマン子爵の屋敷までは二日も走らせれば着く

距離だった。

タンザナイトはアレキを連れて久々にルベライトの実家

である、屋敷へと来ていた。


懐かしいようで、ルベライトには苦い思い出しかない

屋敷だ。


「タンザナイト・フォン・イープルシアだ、ルベライト

 を迎えにきた。そう伝えよ」


門番に高圧的な物言いをすると、門番の兵士はすぐに

屋敷の方へと駆け出していった。


「殿下、もう少し言い方にご注意ください」

「言い方と言われてもな……それ以外になんと言えば

 いいのだ?」

「それは……そうですね。まずは当主がご在宅かと聞

 いたのちに、ルベライト殿の所在を聞くのが妥当かと」

「………面倒じゃないか?自分のものをなぜそこまで

 へりくだらなければならない?ルベライトを回収し

 に来ただけだぞ?」

「………そういうところが問題だと申し上げているの 

 ですが……」


一瞬言葉に詰まったが、アレキは息を飲み込むと言葉

を濁すだけにとどめた。


「面会の時はくれぐれも言葉に注意してください」

「考えておこう」


迎えに来た使用人に案内されるように屋敷の中へと

入ったのだった。

案内されたのは応接室だった。

昔来たことがあるが、その時以上に部屋に似つかわ

しくない装飾品で溢れていた。


成金がせっせと金目のものを飾ったように見える

置物の数々は統一性もなく、趣味もいいとは言え

ない。


「これはこれは、タンザナイト殿下。我が家にお

 越しいただくとは、何か御用向きでもありまし

 たでしょうか?」

「いや、ここへは我が伴侶を連れ戻す為に来た」


タンザナイトはいつも笑わない事で知られていた

というのに。

それが嘘のように穏やかな笑みを浮かべたのだった。


「伴侶と申しますと?」

「あぁ、言い忘れていたが、ルベライトを我が妻と

 して娶る事にしているんだ」

「は………ルベライトをですか?……」

「何を言っているんですか!王族があの役立たずを

 しかも男ですよ?」


父親のキョトンとした顔に、兄の方は驚きが一瞬で

罵倒に変わる。


「そうだな。私は王座に興味がない。だから、誰を

 娶っても構わないんだ、だから好きな子を側に置

 く事になんら問題はない。それに役立たずなら、

 ファールマン子爵家には要らないだろう?」

「それは……」


言い淀む当主の顔に焦りが見えた。

それがなんなのかはタンザナイトはまだ知らない。


「それで、ルベライトはどこにいるのかな?今すぐに

 会いたいのだが?」

「それは……少し街に出てまして、数日中には帰って

 来るかと……」

「では、待たせてもらおうか」

「……かしこまりました」


当主の言葉にさっきまでそこにいたメイド達が動揺を

見せた。

あきらかに何かあると思わせるには十分な反応だった。








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