10話
今夜はやけに母屋が騒がしかった。
バタバタと使用人達が走っていくのを聴きながら、
インペリアルトはこっそりと部屋を抜け出したのだ
った。
向かった先は、この前見た地下牢がある離れに建て
られている屋敷だ。
インペリアルトの要望の通りに当主であるファール
マン子爵とコーラルが連れ添って中に入っていった。
♦︎♦︎♦︎
「あの生意気なガキが……」
「父上、どうするんですか?このまま追い返したら
どうですか?」
「それはいかん。そんな事をして今度は殿下が来た
らどうするつもりだ?もう、言い逃れはできない
んだぞ?まぁいい。多少の傷くらいなんとでも…
……………コーラル、コレは一体どういう事だ?」
一瞬、灯りを照らした瞬間声色が変わった。
「父上、少し痛ぶってやったまでですよ。これ以上
反抗されても困るでしょう?」
「誰がここまでしろと言ったんだ?お前も世継ぎが出
来ない身体になったら誰が跡取りを産ませるんだ?」
ファールマン子爵家は男児が二人なのだ。
今は遊び呆けているが、コーラルが後を継ぐ時にもし
種子無しだった場合、ルベライトに種子付けさせねば
ならなかった。
その為に生かしておくはずだったのだ。
生かさず殺さず、ずっと閉じ込めておく。
それが一番いい判断だと思っていた。
ただ、貴族に生まれたからにはアカデミーには通わな
ければならない。
だから渋々通わせている。
何を血迷ったか、ルベライトは必死に勉強して学年
首席を狙っていたらしい。
結果、次席だが、それでもあまり目立つ事はして欲
しくはなかったのだった。
「すぐに解除しろ」
「はい、ですが……」
「いいから、さっさとしろ!」
「はい、父上…」
コーラルは昨日から拘束していた土の楔を外すとル
ベライトを自由にした。
そして股の間に置かれた錘も解除すると、潰れた性器
と真っ赤に染まった血溜まりができていた。
「うわっ……汚ねーな。メイドに洗わせます?」
「そうだな……連れていけ!」
意識のないまま引きずられるように運ばれていく。
それを陰から眺めている人がいた。
無事運ばれて行くのを確認すると、ホッとした
ように息を吐いた。
♦︎♦︎♦︎
数日しても、呼ばれる事はなかった。
そろそろ神殿から神官が来て治癒魔術を施していく
はずだった。
だが、ファールマン子爵家には一向にそんな気配は
なかった。
このままずるずると長引けば、それだけこの場所
に留まりずらくなる。
結果、妥協案を考えなくてはならなくなるのだ。
インペリアルトは頭を抱えながら一つの答えを出
す事にした。
「ルベライトに会ってそのまま連れて来ればいいか」
多分、そろそろ回復している頃だろうと考えていた
のだった。




