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5話

馬車走らせる事、まる一日。

途中馬を休める事はあっても、それ以外はずっと走

らせ続けてやっとファールマン子爵領についたのだ

った。

訪問に際して事前に連絡を入れる余裕もなく、いき

なりの訪れになった。


貴族のマナーとしてはあったもんじゃないだろう。

だが、父に言われたのは昨日で、明日行くと知らせ

る余裕などなかったのだった。


「パーズ子爵家の者ですが、ファールマン子爵様に

 お目通りをお願いします」

「パーズ家の?聞いておりませんが?」

「はい、急だったので、連絡できず申し訳ありませ

 ん。ですが、この前の非礼に来たと言っていただ

 ければ分かると思います」

「そうですか。少しお待ちください」


門番の兵士が屋敷の中に知らせに行くと、執事風の

老人が出て来た。


そこで、持って来た謝罪の品を見せると、ボディ

チェックして荷物に怪しいものがないかの点検を

される。

そのあと、やっと屋敷の方へと通してもらえたの

だった。


通された部屋は豪華な装飾品が並んだ通路を通っ

た先にあった。


どういうわけか、ルベライトは姿を見せなかった。

確か、実家に帰ると言っていた気がするのだが、

まだ着いていないとは思えなかった。


「この度は、まことに申し訳ありませんでした。

 そのお詫びとしてこちらの品々を献上させて

 いただこうと思って持参いたしました」

「これは……王室にも提供している魔石か……

 価値の高い布地もあるようだな……」


ファールマン子爵の当主は値踏みをしながら渡し

た品を吟味していた。

その横では兄のコーラルが眉間に皺を寄せていた。


「父上、うちの大事な弟が死にかけたというのに

 この程度で済まそうとしている事に、パーズ子爵

 の悪意を感じます」

「そう言ってやるな、今はどこも苦しい時期だか

 らな〜、それに今年は不作続きで大変なところ

 に大事な息子が瀕死で運ばれて来たのだからな。

 この程度で済まそうとするのはいかがなものだ

 ろうな」

「……足りないようでしたら、言っていただきたい」

「足りないとまでは言っていないが………もう少し

 誠意を見せて欲しいものだと思いませんか?父上」

「誠意だな……ルベライトもこれでは納得がいかな

 いだろうな」



この親子は似たもの同士な気がした。

だが、先ほどからルベライトは姿を見せる事はない

のが不思議だった。

こういう時に嫌味を並べるのはルベライトの特権と

ばかりに昔からしてきた行為だ。

なのに、最近は平民であるシトリンや他の下級貴族

にも紳士な態度を貫いていた。


今目の前にいる親子の家族なら、当然納得がいく。

それでも、最近の彼を思うと、この場に来ない事の

方が意外でならない。


「あの、ルベライト君と話をさせてもらえないでし

 ょうか?会ってしっかり謝罪するように父上から

 硬くいい使っておりまして…」

「それは……今日は遅いゆえ、客間にでも泊まって

 いくがいい。部屋を用意させよう」


外は暗くなって来ていた。

ファールマン家の当主は寛大な態度で泊まる事を

許した。

だは、兄のコーラルの方はあまりいい顔はしてい

なかった。


食事も質素なものが出された。

あきらかに貴族の食事ではない。

使用人達が食べる食事のようであった。


それでも泊まれるだけマシと思わなければならない。

こちらは謝る立場であって、何かを要求できる立場

ではないのだから。

インペリアルトは深くため息を吐き出すと、客間の

ベッドに寝転がった。









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