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2話

アメトリン殿下の側付きとしてコーラルは国の政治を

動かすように父に命じられていた。


アメトリン殿下は警戒心が強く、一回でも失敗すれば

即座に異動させられると言われるほど難しい人だと聞

いていた。


だが、実際に会ってみると気さくな方で、どこか温和

な雰囲気を醸し出していた。

弟のタンザナイト殿下の方は人を寄せつけない。

そんなトゲトゲした性格に見えた。


そんなタンザナイトに弟のルベライトは仲良くなった。

コーラルはアメトリン殿下に取り入る為に各地に賄賂

を渡してやっと今の地位についた。

信頼と実績を金で買ったはずだった。


アメトリン殿下の情報を逐一父に報告していると、予想

外の事が起きたのだ。


ルベライトが怪我をしたという。

その治療にアメトリン殿下の所属している飼育生物が関

わっているというのだ。

要は実験台というわけだった。


好きで実験台になりたい者などいない。

だがルベライトは拒否しなかったのだという。

それがきっかけでアメトリン殿下の興味がルベライトに

向いたのだった。




    ♦︎♦︎♦︎




「お前がアメトリン殿下の実験台になったせいで

 俺はルベライト!お前とかわれと言われたんだぞ」

「それは……ですが俺はアメトリン殿下に仕える気は

 ないのです…」

「弟の分際で兄の立場を脅かすとは……」


何を言っても無理そうだった。

血がのぼった状態では何を言っても無意味となるだろう。


「ですが、これだけは言わせてください。俺はこれから

 もアメトリン殿下に仕える気はないです」

「ルベライト。お前が殿下に取り入ってコーラルを推挙

 するべきだろ?弟殿下などに仕えるなど全くもって価

 値もない。さっさと現実を見てみろ」


父の言う事はきっと正しいのだろう。

それでも、タンザナイトを裏切る気にはなれない。

それがどんな状況であっても、裏切りたくないのだ。


「出来の悪い弟のせいでコーラルがどれほど傷つい

 たことか……反省しなさい。おい、ルベライトを

 仕置き部屋へ連れていけ!」

「お待ちくださいっ、これは兄さんだって悪いので

 は?アメトリン殿下の信用を失う事をやったとい

 う事ではないですか!」

「人のせいにする気か?それでも子爵家の人間か!」

「ですが父上…」

「早く連れて行け!」


屈強な兵士がルベライトの両脇に来るとがっしりと

腕を掴み引き摺るように地下室へと連れていった。


出来の悪い弟より、兄のが大事なのだろう。

もし、ルベライトが闇の属性魔法を使えるとバレれば

隠した子爵家すら破滅するからだ。


そんな危険な者を国の中枢に置くわけにはいかないの

だろう。

結局は兄の出世の為の道具でしかないのだ。


「父上、俺に今回の仕置きをさせてもらえませか?」

「コーラル。お前がか?仕置きは体力もいるんだぞ?」

「我が弟をこの手で調教したいのです。弟とは従来兄

 の為に働く者でしょう?」

「それもそうだな。分かった、任せよう。ただし、見

 た目に分かるような怪我は負わせるなよ」

「感謝いたします、父上」


そう言うとコーラルはさっきの兵士を追うように地下室

へと向かったのだった。


そこには、捕まえたスパイや捕虜などを自白させる器具

が並んでいた。


一番奥の牢に身ぐるみ剥がされたルベライトが宙吊りに

なっていた。


「無様な格好だな」

「兄さん……どうしてこんな事をするんです?」

「そんな事もわからないのか?お前が目立つからこう

 なったんだろ?まだ分からないのか?」


最近では進級試験もトップの成績で通過した。

それだけならまだしも、出て来た後タンザナイト殿下

に抱き抱えられながら退場したのだ。

これほど目立つ事はないだろう。


そのあと、あろうことかアメトリン殿下も見舞いに

行ったのだと聞いた。


「お前さえいなければ……」


ギリッと歯を噛み締めるとコーラルは手近にあった

鞭を手に取った。


「いつまでそうやって口ごたえできるかな……」


バシッ…バシッ……。


「うっ……うぅっ………」


全裸の肌に鞭が打ち付けられた。

痛みは段々とひどくなる。

何度か打ち付けられた皮膚には真っ赤な痕が浮かび

血が滲みだした。


「二度と反抗しないようにしっかり躾ないとな」

「こんな事を父上が許すと思っているんですか? 

 アメトリン殿下にだって伝われば二度と……うっ」

「それがどうした?父上も了承済みだ。弟の躾は

 兄がしてやらないとな」


鞭を握る手に力が籠る。


声を噛み締めるルベライトが気に食わないのか、

鞭を振り下ろす手は深夜まで続いたのだった。






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