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1話

休暇になると貴族は実家に帰る事となる。

だが、ルベライトは実家ではなくタンザナイトの

屋敷で一緒に寝起きしていた。

これには色々と事情があったのだ。


まずはルベライトの実家がタンザナイト殿下の兄

であるアメトリン殿下を推すと表明した事だった。


ルベライトの兄のコーラル・ファールマンはアメ

トリン殿下のお付きとなるはずだったのだ。


だが、アメトリンのたっての希望がルベライトを

自分の側に付ける事だった。

我儘放題で口の悪いルベライトをアメトリン殿下

に付けるわけにはいかないと思ったファールマン

家はルベライトに辞退するように迫ったのだ。





     ♦︎♦︎♦︎




「ルベライト、本当に実家に帰るのか?」

「はい、このままなにも言わないままでは良くない

 と思うので、しっかり父と話をしようと思ってます」

「しかし……」

「大丈夫ですよ……一応親子ですから。そんな心配

 するような事はないですよ」



ルベライトは笑ってタンザナイトの屋敷を出たのだ

った。

多分、なにもないと思う。

ルベライトの父は少し思い込みが激しいところはあ

るがそれでも息子が王族に親しい関係にあるのだ。

なんの問題もないだろう。


少し気になる事といえば、兄のコーラルの事くらいだ

ろう。

アメトリン殿下と上手くいっていないように見えたか

らだ。

タンザナイト殿下が王になった時は弟のルベライトを

兄のアメトリン殿下が王になった時は兄のコーラルが

側につき、政治の中枢に常にいる事を望んだのだ。


だが、タンザナイト殿下は全く王座には興味がなく、

アメトリン殿下とも争う気がないのだ。


そこでアメトリン殿下一本に切り替えたのだ。

そうなるとタンザナイトの側にルベライトがいつま

でもいては困るのだった。

両陣営に一人づつ身内がいては他の貴族にスパイ行

為だと言われかねないのだ。

そこで、ルベライトにはタンザナイトから距離を置く

ようにと指示を出したのだった。


それ以外にもタンザナイトにはあまりいい噂がなかっ

たのもあった。


だが、実際はタンザナイトは優しい人で、ただ言葉が

足りないだけの不器用な人なのだ。


それを一番よく知っているルベライトはどうしても

タンザナイトのそばを離れる事ができなかった。



馬車に揺られて、久しぶりに帰って来た我が家は

なにも変わらず、税を尽くした外装に中に入って

見るものもどれも高価な品ばかりが通路に並べら

れていた。


「悪趣味だな……」


ぼそっと呟くとルベライトは父がいるであろう

執務室へと向かった。


コンコンッ。


「父上、ルベライトが戻りました」

「入れ」


声を聞く限りは怒っているようには聞こえない。

そっとドアを開けると部屋の中へと入った。

すると、そこには兄のコーラルもすでにいたの

だった。


「ルベライト、前にお前に言った事を覚えているか?」

「………はい、覚えています」

「では、なぜいまだにタンザナイト殿下の側にいる 

 んだ?」

「それは………友人として側にいるのであって、他意

 はありません」


ガシャンッ!


と音を立ててカップがルベライトの横の壁に当たって

砕けた。


「ルベライト、お前のせいで俺は……俺は…」

「兄のコーラルがアメトリン殿下の側から外されたの

 だ。お前がそれを知らないわけはないよな?」


いきなりの事に、ルベライトは全くの初耳だった。









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