58話
一応、ルベライトはタンザナイトの友人なのだ。
側近にはなれないけれど、良い友人でありたいと
言った。
その言葉に嘘偽りはない。
だが、タンザナイトにとってはそれはあまり嬉し
くはなさそうだった。
「タンザナイト殿下…」
「ルベライト、無事でよかった」
「はい、ご迷惑をおかけして……」
「画面に映ったルベライトを見て、どれほど肝を
冷やしたか分かるか?それにあんな格好で戻っ
て来ておいて……まぁ、無事だったからいいが…」
何か不満げだが、それでもルベライトの事を心配
してくれていた事には変わらないようだった。
「殿下の一番の友人として、最もいい成績を取り
たかったんです。殿下の恥とならないようにと」
「そうか……」
目を輝かせて言うルベライトにタンザナイトは目
を少し細めると口元を緩ませた。
ゆっくり手をルベライトの頬に滑らせると、指先に
あたった髪を撫でた。
「私の目の届くところにいなさい」
「それは……どういう」
「ルベライト、お前は私の友人だろ?そばを離れて
はいけない。分かったか?」
「……はい?」
一瞬呆けた顔をしたルベライトの頭を撫でるとタン
ザナイトは少し機嫌が良くなったのか子供の時のよ
うに撫でて来たのだった。
横目で見ていたアメトリンはため息を吐くと紅茶に
口をつけた。
「不器用なんだよ、弟は」
「はい?」
ルベライトには何を言いたいかが理解できていなか
った。
タンザナイトの側近騎士であるアレキは頭を抱え、
インディゴライトは笑いを堪えるのに必死だった。
シトリンだけは、ニコニコとしている。
「ルベライト君、殿下に愛されているんですね」
「は?」
シトリンの言葉にルベライトは一言疑問を投げかけ
たが、誰も否定しない事にすぐに訂正したのだった。
「何を言ってるんだ?俺は…」
「そうだな、私はルベライトを愛しているよ」
「タンザナイト殿下!何の冗談を言ってるんですか!」
もう、それに乗っかるタンザナイトにルベライトは
声を荒げたのだった。
こうして、ルベライトとシトリンは無事2学生へと
進級を果たしたのだった。
アメトリン殿下をはじめ、タンザナイト殿下と側近
達も難なく進級を果たしたのだった。
この後一ヶ月の休養を経て、物語りはルベライトと
タンザナイトの処刑まで後一年となったのである。




