56話
意識はあるのに、身体が痺れて動かない。
そんなルベライトの元に見知った生徒達が現れたの
だった。
「本当に倒しちまうとわな…」
「おい、ルベライト様、平民と一緒にいるからこう
いう事になるんですよぉ〜分かってます?」
「聞こえてますか〜」
ルベライトの頬をペチペチと叩くと言いたい事を言
ってきた。
「最近、アメトリン殿下と仲がいいですよね?俺達
にも紹介してくださいよ?ほら、辱められたくな
いでしょ?ね?」
「平民とやるより俺達のがいいですよ?それとも、
殿下とも情を交わしてましたか?」
言いたい放題のようだ。
本当ならシトリンを凌辱するのだが、どうしてそれが
ルベライトなのだろう。
ルベライトは考え込むと、いつのまにかシャツまで
はだけられていた事に気づかなかった。
肌にざらつく手の感触がしてハッと気づく。
「触るなっ……穢らわしい…」
「おいおい、まだそんな事いうのか?殿下とどっちが
いいか比べてもらうか?」
それではまるでルベライトが殿下の愛人のような言い
方だった。
全く違うのに、どうしてそんな事になっているのだろ
うか?不思議でしかない。
「殿下がこんな事をすると思うのか?馬鹿げた考えは
想像だけにしておけ」
「はっ、ルベライト様、いつまでそんな強がりが言え
ますかね?」
平らな胸を揉むように触れてくる手に気色悪さを感じる。
ズボンに手をかけると、脱がしにかかった。
「やめろよ!ルベライト君にさわるな!」
「おい、平民が騒いでいるぞ?汚い平民だが、顔は悪
くない。後で楽しませてやるよ」
いやらしい笑みを浮かべると、ちょうど時間になった
のかカウントダウンが終わり、シトリンは目の前から
突然消えたのだった。
「おい、平民はどこ行った?」
「あんな奴どうでもいいだろ?平民の言葉なんて誰も
聞き入れるわけがないからな」
「クックックック……」
「なにが可笑しい?今からナニをされても助けなんて
来ない、ここは戦闘中じゃないからモニターにも映
らないんだぞ?証拠もないし、訴える事もできない
んだ」
ルベライトが笑いだすと、3人の生徒はルベライトの
不適な笑みに気圧されたのだった。
「なんで平民が消えたと思う?クリアポイントが貯
まっていたからだよ。そして俺もな。どういう事
か分かるだろう?」
いつ転送されるか分からないという事になる。
そして、その転送先は観客のいる前なのだ。
転送相手と側にいる人間も一緒に転送される。
という事は、ナニかをしている最中に転送されよう
ものなら赤っ恥をかくのはどちらか判断は簡単だ。
「なら、その格好のまま転送されるルベライト様も
恥をかくのでは?」
「どうかな…俺はただ気絶していれば周りが邪推す
るだろうさ」
「このっ……」
悔しそうな顔を向けた時、後ろから黒い影が近づ
いてきていた。
ルベライトは咄嗟に地面に転がると、伏せる。
何事かと振り返る生徒の腕輪するりと奪うと
一気に走り出した。
「おい、待て!返せ!」
「誰か捕まえろ!」
一瞬のうちに一人の腕輪を奪うと転がっていた剣
を手に取った。
そして振り返った時には、さっきまで騒いでいた
生徒の首に黒い狼の牙が突き刺さった瞬間だった。
「うわぁー」
「おい、なんでやられてるんだよ。危険になったら
転送されるって言ってなかったか?」
「なんでだ……どうして」
やっと自由に動けるようになったルベライトは手に
持った腕輪を見せた。
「これがハマってれば……だろ?」
ハッとした顔の生徒を見ると、すぐに剣を振り下ろ
していた。
一人の生徒の腕を腕輪ごと切り落としたのだった。
「うわぁぁぁーー!なにを……」
「お、お前……」
まだ周りにいただろう黒い狼はジリジリと距離を詰
めてきていた。




