5話
兄に殴られてから数日、ルベライトは学校を休んだ。
あの日の出来事は他の生徒には伏せられている。
なので事情を知っているのは当事者である、ルベラ
イトとシトリン、そしてインペリアルトと駆けつけた
騎士達に限られる。
治癒師の手によって傷は治ったが、暫く謹慎を言いつ
けられた。
その間に、色々とまとめておきたい事があった。
そもそもこのルベライトという青年はどういうから立
ち位置のキャラかという事だった。
ここは学園ファンタジーの世界で、主役はシトリンと
いう平民が貴族達の通う学校へと来るところから始ま
るのだ。
唯一の味方は幼馴染みの一学年上の先輩、インペリ
アルトだ。
今回ルベライトを焼き殺しかけた張本人だ。
好感度を高める事で、信頼度MAXになったキャラの
得意属性の魔法をも使えるようになる仕様だった。
攻略可能対象は第一皇子のアメリトン・フォン・イ
ープルシア、その側近のインディゴライト・ノース
第二皇子のタンザナイト・フォン・イープルシアと
その側近のアレキ・サンドライト、そして幼馴染み
のインペリアルト・パーズの5人だ。
各々、髪の色が属性を差しているなら、金髪と銀髪
の王族は光属性、真っ赤な髪のインペリアルトは光
属性。
二人の側近候補のインディゴライトは緑の髪をして
いたので風属性、アレキは茶色なので土属性だろう。
そして、ルベライトの兄も父親も茶色の髪をしてい
るので土属性である。
なのだが、どうしてルベライトだけが闇属性なのだ
ろう?
そもそも、物語りの最初出てきた時には、茶色の髪
をしていた気がする。
どこで黒に変わった?
いくら考えても、ルベライトの過去はわからない。
今、やる事はこの先に起こるであろう事を回避する
事だった。
まずは物語りで思い出せる事といえば、最後の処刑
シーンが印象的だった。
綺麗な銀色の髪を振り乱してシトリンを呼び続ける
タンザナイト殿下の顔がどうしても記憶に強く残っ
ていた。
民から投げつけられる石が当たって額に血が滲む。
その横で縄縛られたルベライトは石を投げた民に
怒りを露わにしていた。
彼の吐く暴言は呪いとなり民を苦しめる。
そして、すぐに処刑が執行されたのだった。
愛する主君に看取られながらルベライトは命を落
とすのだった。
「いやいやダメだろ!なんでそんな事になってん
だよ」
ルベライトが頭を掻きむしると思い出せる事を紙
に書き出す。
そして、じっくりそれを眺めると分かった事が
一つあった。
シトリンに一目惚れしたタンザナイトが何かにつ
けて気にかける度に裏目に出て、それを言われる
ままに実行するルベライトはシトリンに嫌がらせ
をし続ける。
そんな物語りだった。
嫌がらせがあまりに危険な事ばかりでその行為が
またまた、民のを危険な目に遭わせてしまう事に
なる。
それが原因で卒業と同時に収監されると、その
数日後に処刑が決まった。
王族の処刑など普通だったらあり得ないのだが。
それほどまでに非道な行いをしてしまうのだ。
そして、タンザナイトの目の前で先に処刑されて
悔しそうに主君を見つめるルベライトはあまりに
哀れな存在だった。
タンザナイトに付き従ったが故に身を滅ぼした
のだ。
もし、タンザナイトの側近がアレキ・サンドラ
イト子爵だったら?
もしかしたら、強行手段も止められたのではない
だろうか?
いつかの約束を果たせる日が来るのだろうか?




