49話
進級試験はお互いの釣り合いが取れた者同士であれば、
組む事が可能だった。
逆に言えば、全く実力がかけ離れた相手とは組ませて
もらえないという事だ。
片方がもう一人の足を引っ張るのもそうだが、実力も
ないのに進級させる気はない。
というアカデミーの方針らしい。
「さぁ、お集まりの皆様。いよいよ進級試験が開始
されます。こちらはワープゲートになっており、中
で起きている事はこちらの画面に映し出されます。
もし命の危険が生じた場合は、みなさんの腕のリン
グが赤に光り速やかに退避される仕組みです」
一連の流れが説明された。
要は、ワープゲートの中で命の危険が及べば勝手に
リングが赤になって追い出され、この場所に出てくる。
中で遭遇した魔獣の強さによって得点が加算される。
一定の得点を獲得したチームはワープゲートの外に出
され、リングの色で成績が決まる。
途中で棄権する場合はリングの前で「降参」と言えば、
リングが赤になって、自動退場になる。
制限時間は24時間。
中での24時間は外で言う3時間になるという。
長々と説明をすると、簡単な物資を渡されると皆、散り
散りになってスタート場所にリスポンして始まるのだ。
しかし、この試験にはもう一つ隠れた仕様があった。
貴族による平民への粛清だ。
これは、中で起きた事が全部映し出されるわけではない。
魔獣と遭遇した場合に近くの魔道具が起動して映し出す
設定になっている。
では、人同士の衝突はどうなるのか?
全く外部に漏れる事なく好きなだけ痛めつける事がで
きるのだった。
ただ、命の危険が生じると腕につけたリングが反応し
てしまうので、あらかじめ奪ってから行われるのだ。
これはルベライトがシトリンにした嫌がらせの一部で
あったのだ。
いつも一緒にいた取り巻きと一緒になって平民同士で
組んで入ったシトリンを虐める場面なのだ。
だが、実際はシトリンは貴族であるルベライトと組ん
でいる。
もし、シトリンに手を出せばルベライトも黙ってはい
ないし、ルベライトの成績も下げる事になる為、そん
な無謀な事をする人物はいないと信じたかった。
「シトリン、中に入ったら絶対に逸れるなよ」
「うん、分かってる。ルベライトくんは僕が絶対に護る
んだからね!」
「ありがとう、シトリン」
物語りだったら、こんなほんわかした会話などなかった
だろう。
本当に主人公は可愛いし、優しい。
こんな子を虐めるなんて、全く……。
と憤慨しながらルベライトは時間になるのを待つのだ
った。
自分たちの番になると、ワープゲートの前に立って深
呼吸した。
少し緊張はするけど、大丈夫だ。
どんな魔獣が出ても怖くない。
対応方法は心得ている。
「行こう」
「うん」
ルベライトはシトリンと一緒にゲートの中に消えてい
ったのだった。




