44話
タンザナイトが授業を終えた後、講師の先生から
呼び出しを受けていた。
今日も中庭でルベライトと待ち合わせをしていて、
一緒に帰る事になっているのであまり遅くはなり
たくはなかった。
無駄な話に付き合わされ、少し不機嫌になりながら
も急いで向かった。
その先で、地面に拘束された女性と、その前には
アメトリンとインディゴライト、そしてルベライト
が立っていた。
真剣な顔付きに少し不安になった。
すると、一瞬アメトリンと視線が合うと、にっこり
と微笑み、こちらに話題を振ってきたのだった。
「そうか、そうだろうね。ルベライト君の失態はひ
いてはタンザナイトにも……おや、来たかい?」
一斉にタンザナイトの方に視線が集まった。
そして、顔色の悪いルベライトを見てすぐに近寄った。
「何を言われたんだ?おい、私のルベライトに何を
したんだ?」
「人聞きが悪いですね」
「タンザナイト殿下、アメトリン殿下はそのような
事をなさる方ではありません。こちらの女性に見
覚えがありますよね……」
インディゴライトは彼女の顔を上げさせてよく見える
ようにした。
「メイドの顔などいちいち覚えるわけがないだろう?」
「タンザナイト殿下…あの日食事の準備をしたメイド
の一人です」
「なに?まさかっ……」
ルベライトがポツリと漏らすと、それに一番反応した
のはタンザナイトだった。
懐に入れてあった杖を出すと即魔法を放った。
それは光の魔法。
一瞬で焼けるような熱つさと熱量を凝縮した光線を
放ったのだった。
下から悲鳴が漏れる。
さっきまで地面に座っていた彼女の右腕が地面に転
がっていたのだった。
「うっ…………」
腕が千切れるなど、しかも一瞬で……。
タンザナイトの魔法がどれほど危険か、今まで考えて
もいなかった。
泣き叫ぶ彼女の姿を見ると、吐き気がしてルベライト
はその場に蹲っていた。
「ルベライトっ!」
「殿下……服が汚れてしま……」
「構わない。さぁ、一緒に帰ろう」
「………」
彼女を見ないようにと気を使ってルベライトを抱き寄
せたのだった。
すぐにでも立ち去ろうとするタンザナイトにアメトリ
ンが呼び止める。
「タンザナイト。彼女はこちらで始末してもいいかい?」
「勝手にしろ、ただし……そいつの家族も始末しておけ」
「はいはい、そうでもしないと、君が事を大きくしそう
だからね」
アメトリンが言うと、インディゴライトは彼女を引きず
りながら連れて行ったのだった。
馬車に乗り込んでからもルベライトは一言も話さなかっ
た。
彼をここまで不安にさせる奴など許せなかった。
「さっきの女…目の前で家族を処刑すべきだったか」
「タンザナイト殿下……今はそういう事は…」
「しかし………ルベライト、大丈夫か?」
「……」
タンザナイトの言葉にこくりと頷くだけで、何も話
そうとはしてくれなかったのだった。




